diary 2004.5.

diary 2004.6.


2004.5.31 (Mon.)

日ごろ夜遅くまで補習をしている成果なのか、中3コンビの片方が学年2番の成績をとった。
もともと能力があるのはわかっていたが、いまいち調子の波が激しくて、ここ半年ほど苦しんでいた。
それだけにここでバッチリ結果を出してくれたのがうれしい。問題は、これが次も続くかどうか。
調子の悪いときでもある程度の結果を残せることこそが重要なのである。


2004.5.30 (Sun.)

暑い!

5月って、ビミョーな季節だと思う。世間的には春に分類されるのに、暑い。
紫外線は強いし、実際に街に出てみればほとんど夏のような気配。
でも、もしこういった季節感の波が一様だったらどうだろうか、と想像してみる。
ヨーロッパとかあっちみたいに寒暖の差が小さい一年。それはきっと、つまんない。
春に夏が割り込んできたり、秋に夏が割り込んできたり。短い夏の氾濫が、きっと季節を面白くするのだ。

──そう思えば、この暑さも少しはガマンできる……はず。


2004.5.29 (Sat.)

渋谷のブックファーストにふらりと寄ったら、平積みになっている本に目がとまった。
鷲田清一が書いているメルロ=ポンティの本。『現代思想の冒険者たち』のソフトカヴァー版。
パラパラとページをめくってみると、なかなか参考になりそうなことが書いてある。
日記にもちょこちょこ書いているように、このところ「身体」が気になっているのだが、
それについて一定のまとまったアイデアを提供してくれそうな予感がする。
それで結局、衝動買い。就職活動の暇をみて読み進めていくことにする。


2004.5.28 (Fri.)

今度は別の会社の筆記試験。10冊ほど本のタイトルが並べられ、その内容をまじえて作文を書く課題が出る。
『モモ』(→2004.3.2)を読んでおいてよかった……。と心から思うのであった。


2004.5.27 (Thu.)

自転車で神保町へ行く。いもやで天丼を食べる。もちろん大盛。
一粒も残さず食べると、大盛の50円分がサービスになる。ありがたい。

竹橋、ビルの一室で筆記試験だけを専門にやるスペースがあり、そこで試験を受ける。
計算用紙と鉛筆を渡され、ノートパソコンで出される問題を解いていく。
制限時間がそれぞれの問題にあって、全然自分のペースで解かせてもらえない。
やっぱり試験は紙じゃないとダメだ!と思う。アナクロ万歳。


2004.5.26 (Wed.)

なんだかマニアックな研究書を出している出版社があって、その採用試験を受けてきた。
とにかくひたすらに問題を解かされる。午前中も筆記、午後も筆記。ひたすら筆記。
15時くらいになって解放されるが、疲れたの一言。人生いろいろ、会社もいろいろ。


2004.5.25 (Tue.)

中2に明らかにオヤジな女子がいて、こいつが面白いのだ。事務のおねーさんにやたらとからむ。
「だって、なんか、雰囲気がふわふわしててかわいいんだもん」
だったらお前もそういうおしとやかーな性格になれよと言うと、おねーさんを見ているのが楽しいのだと返事。
それって若いOLにちょっかいを出すオヤジそのものじゃん、と笑うと思いっきりぶったたいてくる。けっこう痛い。
そういったやりとりにどことなく懐かしさを感じながら、塾の夜はふけていくのであった。


2004.5.24 (Mon.)

潤平に頼まれて、「無職の証明書」なるものの手続きをする。
この「無職の証明書」という表現、なんかひどい。いや確かに必要だけど、それにしても直接的だ。
民生委員に証明してもらう(実際にはハンコ押してもらうだけなんだけど)、無職。
フリーター、無職、就職活動。人間ってのは、どうしてこうもカテゴリーを好むものか。


2004.5.23 (Sun.)

「ラジオ、ラジオ!」
なんだかよくわからないままにラジオをつける。矢口真里の番組。
ずーっと聞いていたら、最後になって飯田・石川の卒業が発表された。
4年前にはあれだけ面白かったのに、その痕跡が跡形もなくなってしまう。
もはやコメントする気力さえない夜なのであった。


2004.5.22 (Sat.)

潤平から貸してもらった、矢沢あい『NANA』を読む。
ヤスがサイコー。潤平に「やっぱり。」と笑われそうだが、しょうがないじゃん。ヤスサイコー。

論じる切り口はいろいろあるけど、「最近の女子が憧れるのは、こういうセレブな世界」という平凡な指摘はしたくない。
むしろ「ナナ」と「ハチ」で対比されている男性遍歴(なんかこの書き方はいやだな)、=理想と現実に注目したいところだ。
話の動きがけっこう激しい佳境に入っているので、現時点での感想はこの程度にしておく。
完結したら、いずれじっくりとこの作品について考えてみたいと思っている。

それにしても少女マンガを読んでいると視野狭窄の錯覚に陥る。
登場人物が少ないこともあるんだけど、主人公を取り巻く世界(空間)が少年マンガに比べると狭く感じるからだ。
それはつまり、「わたしとあなたがいればそれでいい世界」と「ぼくが暮らしている、ぼくが変えていく世界」の違いでもある。
だから少女マンガを読んでいると、自分の立ち位置が急に不安になることがある。
屋上で天を眺めるときの、足元の覚束なさにも似ている。自分の存在が確かめられない浮遊感。
女性は自分がつねに中心にいる(中心を持っている)ことを知っていて、男は自分を囲む世界を把握しないと不安になる。
男はいつまでも胎児で、子宮の全貌を眺めてみたいと思っている、というのはよくある話だけど、真実なのだろう。


2004.5.21 (Fri.)

国語ができない……。頼むから、空気を読んでくれ……。
なんか毎週金曜日はこんなんばっかりだ。


2004.5.20 (Thu.)

潤平とゲームミュージックについて語る。

たいていの人は「ゲームミュージック」と聞くとドラクエやFFといったRPG方面を想像するようだが、
僕ら兄弟はカプコン・コナミのアクションゲームやシューティングゲームの影響を強烈に受けている。
特にコナミはフュージョンっ気が濃くって、僕はそこからT-SQUAREへと移っていった(潤平は違うけど)。
アクションやシューティングにおけるBGMの鉄則は、「1分でループするカッコいい曲調」ということ。
いろいろと聴いているとそれはもう職人芸の世界なのがわかる。洗練された構成なんかが見えてくる。

おかげで「アニキのつくる曲はぜんぶグラディウスかツインビーだ」と潤平に言われたことがある。
熱海ロマンで曲をつくっているときにはそのクセを抜くのにずいぶんと苦労した。最後まで抜けなかった気もする。
良くも悪くもそれが自分の特徴なのだから、それを生かす方向でポジティヴにとらえないといけないわけです。


2004.5.19 (Wed.)

研究室の引越し。情報理工学研究科から社会理工学研究科の建物に移るのだ。
自分は引越し先での荷物整理担当になったので、社工棟の部屋でじっと待つ。
待っている間はすごく暇なので、寝転がっているうちに、本格的に寝る。寝る。とにかく寝る。

で、起きたら荷物の搬入が開始されていた。教官室の膨大なダンボールの中身をまず棚に戻す。
その作業をしながら、暇を見て自分の荷物も元に戻していく。
戻しながら、ムダな荷物が多いことに愕然とする。アパートの整理もしよう、とこっそり決意を固める。


2004.5.18 (Tue.)

借りてきたCDの感想。

モーニング娘。『浪漫 ~MY DEAR BOY~』
最初、Do As Infinityのできそこないかと思った(DAI自体、できそこないが多いと思うけど)。
紫のチャイナの衣装はカッコいいけど、まあ、それくらいしか特に言うべきことはない。

奥田民生『サウンド・オブ・ミュージック』
なんというか、奥田民生はこういう路線をたまに出すことで確実にメシが食えるからいいよね。
別の表現をすれば、ある種の職人芸。

安倍なつみ『一人ぼっち』
一部では名盤という噂だったが、聴いてみると確かに一定の水準はクリアしているデキ。
正直、なっちの歌唱力は後藤・松浦に比べると数段落ちると考えているのだが、
その弱みをうまく魅力につなげることに成功している。今後もこれを維持できるかが勝負。

松浦亜弥『×3』
松浦のアルバムは1st(→2002.4.22)、2nd(→2003.3.17)と正統派路線で着実にレベルアップさせてきたが、
今回の3rdも期待を決して裏切らないデキだと言える。松浦のパフォーマンスにはまったく穴がない。
しかも、アレンジの充実ぶりは特筆に値する。どれもシングル曲にひけをとらないクオリティなのは脱帽。


2004.5.17 (Mon.)

もうすっかり、月曜と水曜の授業終了後に中3コンビの補習をやるのが習慣として定着している。
やる気があるのは大歓迎なので、こっちも一日で最後の気力をふりしぼって相手する。
正直、やっている内容がきちんと身についているのかどうか不安なのだが、やらないよりははるかにマシ。
地道にがんばろーぜーなどと言いつつ、時間ぎりぎりまでお互いがんばっているしだい。


2004.5.16 (Sun.)

買っておいた『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』のDVDを見る。
TVシリーズの方(→2004.1.23)は毎回楽しみに見ていたわけで、ドキドキしながら再生。

話の内容はもうめちゃくちゃで、ファンならわかるしそうじゃなければわからない。
そう割り切ってつくっているのがわかる。賛否両論なんだろうな、と思う。
個人的にはそういうものに対しては「どっちでもいーやー」なので、素直に楽しむことにする。

確かに細かいところの辻褄合わせというか、脚本の職人芸は健在。
でもやはりTVシリーズに比べると、あまりにイケイケドンドンなので途中で食傷気味に。
勢いがあるのはいいんだけど、ギミックの精度に明らかに差があるのだ。使い捨て感覚というか。
部分部分の集中力はすごい。でも全体を眺めると、「はて?」となってしまう、そんな感じ。
まあ、TVシリーズの後日談の詰め合わせ、と考えればいい。それが正しい楽しみ方なのだ、きっと。


2004.5.15 (Sat.)

塾で保護者会。午前中から出勤して、ひたすら中学生のお母さま方のお相手。
講師としてしゃべることは、授業方針くらいなもの。あわせて今年一年の心構えを話す。
途中で自転車を撤去されかかるというハプニングがあったくらいで、無事に終了。
秋の保護者会もこれくらいスムーズに済むといいのだが。


2004.5.14 (Fri.)

それにしても本当に国語ができない! ここまでできないのは人としてまずい!
確かに国語のテストはある程度テクニックが必要だけど、そういうレベルじゃない。
特に説明文・論説文の読解がマズい。筆者の言いたいことが、要点が見つかっていない。
当たり前だと思っていたことが当たり前ではない世界。教えるこっちにも修行が必要だ。


2004.5.13 (Thu.)

ものすごく恐ろしい夢を見た。

まず、父親が産経新聞を読んでいた。

部屋の中だけで戦争が起きていた。家の中の一室、そのドアを開けると戦争が広がっている。
外はなんともないのに、その部屋の中だけは轟音と錆びた土と鉛色の空が広がっていた。

部屋の中に転がっていた死体は、どれもどこかを損傷していた。原形をとどめていないものもあった。
父親の怒鳴り声が聞こえてくる。居間からの声が、戦場に降り注いでくる。

僕はその隣に寝転がってみる。死体の気持ちになってみる。隣に転がる身体を自分の身体だと思ってみる。
それまで人間だった身体は、もう人間じゃなくなって物体になっている。
そうすると、人間でない物体として死ぬということに対して、猛烈な恐怖感が湧き上がってきた。
人間としての尊厳というのか、人が人として認められないで終わることへの底知れない恐怖。

こういうことを作品として提示できればかっこいいんだろうなあ、と思う。まあ、思うだけじゃダメなのだが。


2004.5.12 (Wed.)

今日もちまちまと作文を書く。去年塾でやった作文添削の要領をもとに、書いていく。


2004.5.11 (Tue.)

塾で運動会があった関係で賞金が入り、呼び出されてみんなでカニを食らうことに。
自分は病院で健康診断をしていたので運動会には出なかったのだが、おこぼれを頂戴する。

思えば飯田にいるときにはカニを食ったことなどなかった。ごちそうといえばピザであった。
山国出身なので「カニ食うぞ!」と息巻いて食べるのは初めて。ちょっとドキドキする。
出てきたのは毛ガニ、タラバガニ、ズワイガニ。でもどれがどれだか区別がつかない。
食べてみても区別はつかない。次から次へと出てくるんだけど、「うん、カニだ」と思う程度。
そのうち飽きてきて、猛烈にコメが食いたくなる。そのタイミングで雑炊が出てきたのでおいしくいただく。

そんなわけで感想としては、カニの味の平均値を知ることができて有意義だった。
でも騒ぐほどのごちそうって感じもしないなあ、と思った。物の価値がわからない人間でごめんなさい。


2004.5.10 (Mon.)

塾で英語のテスト。男子は「こいつら何があっても90点台を取れるな」という雰囲気が漂う。
でも、必ずイージーミスをして100点は取れないのがなんとも。tennisをスペルミスした奴さえいる。
生徒たちは自分が中学生のときに比べると明らかにできるんだけど(意欲もあるんだけど)、
じゃあ自分の最盛期(浪人中)くらいの迫力があるかというと、ない。その差はなんだろうかと考える。
だけど考えても結論は見つからない。勉強ができるってことは、なかなか難しいことだ。


2004.5.9 (Sun.)

神宮前のライヴハウスでドラムスの発表会が開催される。
自分は3番目でたたく。途中で構成が頭の中から抜けるが、無視してそのままたたいちゃう。
終わったら潤平がいたのに気がついた。ジンジャエールを飲みながらブツクサ話す。
自分とは比べ物にならないほどダイナミックにたたく中学生くらいの女の子がいて、本気でへこむ。
後半にはオジサマたちが登場。動きはカタいけど、しっかり音が出ているから聴ける。
やっぱりドラムスは音量がないと話にならないんだなーと痛感。いい勉強になるのであった。


2004.5.8 (Sat.)

履歴書に添える作文を、ひたすら書いている。
どの程度の力加減で書けばよいのか読めないため、とりあえず1日1本を目標に書く。
これはけっこう集中して本気で書いているということ。その日の自由時間をまるまる費やすのだから。
以前に比べると自分の考えていることが素直に書けていると思う。スピードも上がった。
ムダだと思ったこの2~3年の生活スタイルも、意外なカタチでスキルアップにつながっていたのかもしれない。


2004.5.7 (Fri.)

成績証明書の申請をするために一橋に行ったら、タヌキに会った。
生協の本屋に寄ってみたら、懐かしい教官たちの名前が。
生徒は入れ替わっているのに、時間の流れはとてもゆっくりとしているよう。
大学という空間の存在の意味を、現実に目にしたような気がした一日。


2004.5.6 (Thu.)

20歳を過ぎると聴くことのできる音楽が限られてくるということは、以前書いた(→2003.5.19)。
ただ、「いいなぁ」とこだわる曲が存在するのは変わらない。それについて少し、触れる。
(理由は研究室でいろいろ聴いている中でできてきた「お気に入り」について考えてみたかったから。)

The Chemical Brothers 『Star Guitar』。
おそらく今いちばん気に入っている曲。これを聴きながら風呂に入るのが最高。
ずーっと聴いていてもまったく飽きない。とにかく、やたらと好き。

Cymbals 『Higher than the Sun』。Cymbalsはわりと好きだが、個人的にはこれがベスト。
打ち込みと生音のバランスが絶妙に思えるし、複雑な構成も気に入っている。

THE MAD CAPSULE MARKETS 『FLY HIGH』。ライヴ盤の『020120』収録のもの。
前に書いた“残酷な気分を満たせる音”(→2004.3.23)に、いい意味で今のところこれがいちばん近いと考える。

スネオヘアー 『ウグイス』→『セイコウトウテイ』。
この人のシングルは、おそらくこのコンビネーションが最強。どっちも捨てがたいし、セットで聴きたい。

『チャーリーズ・エンジェルのテーマ』。実は映画のサントラを聴いたことがない。
TVシリーズの音源を聴いた限りだが、映画音楽の職人がつくった曲の凄味を感じる。芸、というか。


2004.5.5 (Wed.)

髪を切る。毎回思うのだが、切られた直後はすごくいい感じ。
一度風呂に入ってしまうとそれが自力で再現できないのが、なんか悔しい。


2004.5.4 (Tue.)

就職活動をもう一度ゼロからスタート。がんばってエントリーシートを書くのである。つらいけど、やるしかないのである。


2004.5.3 (Mon.)

調子が出ない。だからってじっとしていてもしょうがないので、研究室でプリントをつくる。
研究室の中はわりと作業に集中できるし、何より涼しいのがいい。


2004.5.2 (Sun.)

circo氏が上京してきた。いつものごとく潤平と合流して3人でどこかに出かけることに。
今回はcirco氏が「パイプ見てぇ」と言い出したので、銀座に行くことになった。

銀座に着くと昼メシどきだったので、潤平のススメでライオンのビアホールに入った。
ライオンはサッポロビールが直営している店で、飯田にいるときから各地でお世話になっている。
で、銀座7丁目のビアホールは1934年建設当初の内装をそのまま生かしてある。
天井も、壁も、当時のモダンがビシビシ伝わってくる。お金を払う価値のある、空間体験。

黒ビールを飲みながら、潤平のヨーロッパ話を聞く。
circo氏も若い頃にヨーロッパを回っているので、節々で時代の変化を重ね合わせて聞いていく。
聞いている間、うらやましくてウキウキする心が半分と、くすぶっている自分への不満が半分。
いつか、僕も世界を回らねばいかん。

その後、裏手のコーヒー専門店に入った。本当に専門店で、見たこともない名前がメニューに並んでいる。
とりあえず、コーヒー豆の原産地という理由で「エチオピア」を頼んでみる。
口にしてみると酸っぱくて、赤い大地の味をなんとなく思い浮かべた。

そのまま、なぜか神田まで歩いたところで解散。ほっとできてよかった。


2004.5.1 (Sat.)

「せんせーおねがい」と、中3コンビの補習。完全タダ働きなんだけど、ボランティア。
午後1時から教室を借りて、午後6時までぶっ通し。よく体力もつよなあ、と感心する。
科目は片方英語で片方数学。ホワイトボードを左右に分けて、同時進行。
終わったら足元がなんとなくフワフワする。家に帰ってメシ食ってぶっ倒れる。
一方、中3コンビは夜には理科・社会の授業。なんか、歳くったなーとさびしくなる。


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