本日は新人戦・決勝トーナメント1回戦である。
相手はこないだ戦った(→2012.9.9)、いつも練習試合でお世話になっているチーム。
きちんとやるべきことをやれば勝てない相手じゃないんだ、ってことで基本を確認してピッチに送り出す。集中してプレーできていた前半は0-1。失点はしてしまったものの、逆転可能なスコアでよく切り抜けた。
ハーフタイムに3-4-2-1での約束ごとを再度確認してから後半に入ったのだが、いきなりの失点から始まって、
あれよあれよという間に3失点。最後は集中が切れてしまってぐちゃぐちゃで、監督はキレてしまったとさ。
サイドバックの裏を狙えってさんざん言っているのに、相手は隙だらけなのに、指示を完全に無視して中央でドリブル。
引っかかってカウンターを食らって押し戻されて、そのまま押し込まれ続ける。やっとボールを取ってもサイドに出さず、
また中央でドリブル突破を目指す。同じ失敗を延々と繰り返してばかり。味方を使うパスなんて1本も出やしない。
自分のやりたいプレーしかせず、チーム全体で戦っているという意識がまったくなくなってしまった。
単発のわがままなプレーばかりが飛び出す内容に、もう腹の底が煮えくり返る思いだった。
試合が終わって開口一番、「もうオレは二度とお前たちに指示を出さない。出しても無視されるだけだから。
小学生みたいに自分ひとりだけが満足するようなサッカーをやりたいんなら、オレが関わる必要ないよ」
怒りを通り越して諦めの境地である。「冬の大会も春の大会も自分たちで勝手にやってちょうだい。
顧問として最低限の仕事はするけど、もう監督としての仕事は絶対にしない。お前ら相手に絶対やりたくない」と宣言。そりゃお前に監督としての能力が足りないからそうなったんだ、と言われればそれまで。そりゃそうなんだろう、きっと。
でも、肝心の試合になって味方を信じることができず、個人のわがままを繰り返すチームに育てた覚えはない。
ご存知のとおり、僕は一度決めたことは絶対に貫きとおす性格をしているわけで、監督としての僕はもう終わり。
精神的に未熟なガキがそうしたいなら、勝手にそうすればいい。そうして負けて終わればいい。それだけ。
OKB48総選挙・握手会に参加してきたよ!
OKBとは「お 気に入り ボールペン」のこと。握手会(人気投票)は昨年(→2011.9.3)に続いて2回目である。
で、部活が終わって時間をつくることができたので、「OKB劇場」ことKKベストセラーズ本社ビル2F会議室に行ったのだ。
マサルに連絡を入れて会場へ。「今日はあまり人がいない」とのことだったが、熱心な文具マニアがきちんといるじゃないの。
L: マサル手書きの「OKB48握手会場」の案内。今年も握手(試し書き)しに来てしまったぜ……。
C: 会場の様子。「この柱があるところがAKBの握手会場そっくりなんよ」と説明されてもよくわからない……。
R: AKBの写真だけだった去年と比べて、今年はちょっと凝っている。わざわざこんなものをつくるとは。
L: 前回総選挙で下位になったボールペンは卒業。 C: 代わりに携帯性に優れた新メンバーたちが加入したのだ。
R: 今回は「ユニット部門」ということで、多色ペンの投票も行うようになった。こだわってますねえ。さっそく1本1本、感触を確かめながら試し書きしていく。僕は試し書きするときには必ず「山田」と書くのである。
もしどっかの東急ハンズの文具売り場に「山田」と書かれた文字があったら、それは間違いなく僕の犯行です。
まずは「山田」の書き味で候補を絞っていき、気に入ったものについてはコロ助の絵を描いてさらにチェック。
僕の場合、ボールペンは絵を描く役割もそれなりに大きいので。そうして1時間半ほど黙々と吟味していく。
48本ものボールペンをひとつひとつチェックするってのは、本当に時間がかかるのだ。集中力もかなり使う。
L: 握手(試し書き)中の僕をマサルが激写してくれました。番号順に几帳面に書いていっております。
C: 真剣な眼差しの私。メーカーが一生懸命開発した製品たちだから、こっちもしっかり吟味しないとね。
R: 僕の試し書きはこんな感じ。山田とコロ助のほか、細かい感想を忘れないようにちょこちょこ書き入れている。ちなみにマサルが自分のiPhoneで延々とBGMを流していたんだけど、見事にももクロばっかでやんの。
AKB48のパロディ企画なんだけど、AKBを流さずにももクロを流すというボケで、たいへんすばらしいと思います。さてそんな具合に吟味していった結果、今年の僕の投票は以下のようになった。
1位・ゼブラ(チームZ)「サラサ」。個人的にはペンの軸がちょっと太いと感じたのだが、好みの文字が書ける。
2位・ぺんてる(チームPII)「エナージェル」。やはりこれも軸が太い。でもこれも字が思いどおりになる。
3位・ぺんてる(チームPII)「ハイブリッドテクニカ」。軸の太さでいうとこれくらいが好み。色の種類が多いのもいい。
4位・ぺんてる(チームPII)「スリッチ」。こちらは逆に軸が細いのが気になる。でも字の仕上がりはかなり好きだ。
そして5位に、いつも使っていて昨年1位にしたパイロット(チームP)「ハイテックC」を入れた。
今回は「ハイテックC」を合格ラインに設定し、それより好みの字が書けるボールペンを4つ選んでいった感じである。
やはり個人的な好みであるゲルインクボールペンばかりとなった。ゲルインクは僕の最大のこだわり、かな。ユニット部門では1位にパイロット「ハイテックCコレト」を選出。やっぱりハイテックCは好みなのである。
2位にぺんてる「スリッチーズ」。こちらはさっき4位に選んだ「スリッチ」の多色版で、そりゃそうなるわな。
3位はトンボ「リポータースマート」。いわゆる昔ながらのボールペンでは今回唯一の選出である。文具ファンの女性から投票用紙をうれしそうに受け取るマサルなのであった。
集中して48本+10本の多色ボールペンをひとつひとつ試し書きしていくというのは、正直、非常に疲れる。
でも文具の最新事情が体感できるすばらしい機会なので、これに参加しないというわけにはいかないのだ。
マニアというレヴェルでは決してないのだが、ひそかな文具ファンとして、しっかり楽しませてもらいました。投票を終えると池袋に出てスタ丼をいただき、山手通りをぶっ飛ばして帰る。
自転車で池袋から山手通りで帰るのはけっこう久々で、工事がすっかり終わっていて驚いた。
もう本当に涙が出そうなくらいすばらしく、自転車で走りやすい道になっていたのである。ありがたやありがたや。
まあそんなわけで、たいへん充実した一日を過ごさせていただきました。マサルは編集作業がんばってください。
今いるサッカー部員の能力を勘案しつつ、自信を持って試合に臨めるシステムはないか、といろいろ研究した結果、
3-4-2-1にチャレンジしてみることにした。いわゆるペトロヴィッチ型のサッカーをやってみようか、ということ。
もちろん浦和や広島のような高等なことはできるわけないんだけど、特殊なシステムにウチは慣れているわけで、
相手とのギャップをつくりながら連動して、サイドから深く入り込んでいくサッカーを志向してみることにした。
体格的にも身体能力的にも恵まれた部員がほとんどいないので、相手をパスでかわしながらカウンターを仕掛けよう、と。ミーティングで、それぞれのポジションでの役割を説明しながらやりたいサッカー像を刷り込んでいく。
相手の特徴は練習試合とこないだの予選リーグでわかっているので、それをふまえたうえでどう自分たちの色を出すか。
ポジションごとの動き方やプレーの優先順位を整理していって覚え込ませる。で、明日の練習でそれを確認するつもり。
まあフォーメーションを変えたところで、ウチのサッカーの基本的な部分はまったく変わらないのだ。
ただ、いつもよりもカウンターからサイドへ仕掛ける意識を高めようってだけのこと。3-4-2-1はそのための合い言葉だな。
所詮は付け焼き刃だし、どこまで通用するかはわからない。でもまあ、できそうなことをやっていこう、ということ。
ふだんの練習で言っていることをきちんと表現できれば、勝機は十分あるはずなのだが。果たして、どうなりますやら。
本日はサッカー部の顧問会なのであった。予選リーグの結果をもとに決勝トーナメントの組み合わせを決めるのだ。
しかしながらどの学校もスケジュールが非常にタイトで、くじの結果を空いている日にちにはめ込む形で決めていく。
そしたらなんと、ウチの学校の入ったブロックは丸ごと、こないだの予選リーグのグループとなったのであった。
こんなこともあるのか、とびっくり。しかも対戦相手はいつもいつも練習試合でお世話になっている学校でやんの。
まあそれはそれでやりやすいんだけど、いいかげん公式戦できちんと勝ちたい。みっちり作戦を練りますかー。
移動教室3日目つまり最終日である。菅平のホテルを出発すると、途中で野辺山にほど近い牧場に寄る。
ここでいろいろ体験しちゃってから東京へ帰るのだ。牧場は子どもの受け入れに慣れているので教員は楽なのだ!
L: 牧場はウェスタン風味なのであった。観光向けの牧場っていうと、どうしても西部劇的なイメージを強調するもんなのね。
C: 生徒たちはトラクターで牧場の敷地を一周。なんだかドナドナ的な光景で思わず爆笑してしまったのであった。不謹慎でごめんよ。
R: こちらはポニー。ほかにもふつうの馬やヤギなど多数の動物がいた。都会っ子たちはエンドレスで大はしゃぎだったよ。この日は思わずうっとりしてしまうほどの快晴で、八ヶ岳がもう、美しいという形容詞では追いつかないほどに見事だった。
ふだん山を撮影する習慣のない僕でさえ、ひたすら見とれて何度も繰り返しシャッターを切って過ごすくらい。
心奪われる光景とはまさにこのことだったね。ずーっと眺めていても絶対に飽きない。八ヶ岳に惚れちまったでありんす。
L: 八ヶ岳がもう、あまりにも見事で……。職場のパソコンの壁紙は、移動教室以来ずっとこれにしております。
C: 絞りたての牛乳でつくったソフトクリームをいただいたぜ! わざわざ撮るなとか言うな! 大変おいしゅうございました。
R: 犬がいたよ! けっこうな老犬みたいだけど、のんびりうとうとしている姿はとってもかわいいのであった。牧場ではジンギスカンをお昼にいただいたのだが、子どもたちはマトンが苦手なんじゃねーの?ってことで豚肉に。
オレなんかは、そんな過保護なこと言ってないでマトンでいいのに、って思うんだけどなあ。これが羊だ、食え!って。帰りのバスの中では、定番の劇場版ドラえもん鑑賞である。
今回はあの名作(→2006.3.2)のリメイク・『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~』だよ!
そしたらひとりの女子が「せんせー、なんで私たち中学生なのに『ドラえもん』なんですか?」って訊いてきやがったので、
いかに『魔界大冒険』が名作であるかを滔々と説明してやったら「もういいです」って観念しやがったよ! 正義は勝つ!そんなわけで、マツシマ先生は半年前までランドセルを背負っていた連中と一緒に固唾を飲んで最後まで真剣に見たよ!
感想としては、美夜子さんの声が相武紗季ってのはやっぱり違和感があるわ。のぶ代じゃない違和感よりはるかに上。
あと満月博士が完全にジャイアンと同じ顔じゃん。そこはきちんと描き分けてもらわなくちゃいけないわ。
原作と大きく違うのは、メジューサが実は美夜子さんの母ちゃんだったという点で、これはわりと上手くねじこんだな、と。
まあこの伏線は序盤でわかっちゃったけどね。でもリメイクならではの味付けということでは、大いに賛成できる。
しかしじっくりと見れば見るほど、原作のすばらしさに感動させられる。あの時期のF先生は手がつけられないわ。夕方、無事に学校に到着して解散。大きなトラブルがなくてよかった。そしてオレはそのまま部活でサッカーなのであった。
移動教室2日目の本日は、根子岳に登るのだ。根子岳は標高2207mで、それほど難度の高い山ではない。
その名前は「隣の四阿山(日本百名山)と並んでいると猫の耳みたいに見えるから」というのが由来である。
(ちなみに、同じ由来で阿蘇にも根子岳がある(→2008.4.29)。人間の考えることは一緒だなあ。)バスで登山口である菅平牧場へ移動。かつてはなんと、根子岳の山頂までが牧場だったそうだが、現在は違う。
でも植生はその事実をはっきりと示しているという。現在、根子岳の山腹で大半を占めている木は白樺なのだが、
これは植生の遷移では初期の段階にあたるそうだ。この後、成長の早い白樺から別の木が主体になっていくとのこと。
ある程度登っていくと、森林限界を超えて低木が中心となる。根子岳山頂はだいたいそんな感じの場所だそうだ。牧場の子牛がめちゃくちゃかわいい。そりゃもう、撮らざるをえないですわ。
一列の隊列を組んで、いざ登山開始。僕は教員の中ではいちばん若いので、しんがりである。
みんな順調に登っていくのだが、体力のない男子が約1名おり、どんどん引き離されていく。
ガイドさんが先頭と最後尾で2名おり、最後尾のガイドさんに励まされて登る生徒と隊列の中間で僕は板挟み。
結果、トランシーバーで報告を入れつつ、リンドウを中心に高山植物の写真を撮りつつ、マイペースに進むことに。
L: まだ牧場になっている山腹から眺めた景色。のんびりとしているなあ。 C: 山の間にあるのは長野の街かな?
R: 上で述べたように、植生は白樺が中心。牧場としての手入れがなくなると、真っ先に生えてくるのは白樺なんだって。途中でほかの先生と交代して隊列の後ろにつく。こっちとしては休みを入れずに一気に行く格好になり、けっこう疲れた。
低木を切り開いて岩を積んだような道を進んで山頂に到着。まったく迷う要素がない分、休むタイミングはつくりづらい。
まあともかく、無事に山頂に着いて一安心。遅れていた生徒もどうにかなりそうということで、お昼の時間となる。
L: 山頂より眺める菅平高原。もちろん実際はとっても雄大な景色である。山登りは面倒くさいけど、やはり絶景がすばらしい。
C: 山頂にある祠。 R: 東へ行けば四阿山なのだが、ご覧のようにそのルートの難易度は急に高くなるので、今回は行かない。帰りは別ルートをゆっくりまわって下りていく。遅れた生徒はやっぱり下山でも遅れてしまい、ガイドさんとマンツーマン。
そしてやっぱり、僕は気ままに景色や植物たちの写真を撮りながら下っていくのであった。優雅なもんだわ。
L: 下山時に見た菅平高原。立体的に流れていく雲のスクロールっぷりがたまらんね。 R: 途中には2127mの小根子岳。何より印象的だったのが、リンドウの青。リンドウは日光を浴びて開花するので、曇り空では半端な開き具合になる。
それでも十分に美しい。リンドウは長野県の花になっているのだが、なるほどこういうもんなのか、と今さら理解した。
L: リンドウ。こんな感じで生えている。 C: 花のつぼみに近づいてみた。こんな青があちこちにあるのだ。
R: 開花しかけのリンドウ。残念ながら、全開のものは見つからなかった。もっとしっかり晴れていればねえ。結局、遅れてしまった生徒は経験豊富なガイドさんに任せ、僕は隊列のすぐ後ろにつくことに。
ルートの最後は再び麓の牧場に出たのだが、思った以上に牛がいっぱいいて、なかなかの迫力なのであった。
そしてなぜか、牛たちがみんなオレの方を見ている。視線が生徒たちでなく、オレ個人に向いているのをヒシヒシと感じる。
なぜだと考えてみて、富士登山の際に購入した真っ赤なウェア(→2012.7.14)を着ていたという事実に思い当たった。
闘牛士のマント感覚で牛が襲ってこなくってよかったわ、と今になって胸をなで下ろしているしだい。
L: マツムシソウとミツバチ。 C: 麓の牧場でのんびりと草を食んでいる牛たち。うーん、戻ってきたぜ。
R: とにかくやたらと牛たちがオレを見ていたのは、真っ赤なウェアを着ていたからか。冷静に考えるとちょっと怖い。ざわ……ざわ……冬はスキー場になる丘を下りて無事にホテルに到着。ひとり遅れてしまった生徒もどうにか帰ってくることができた。
そいつは優しいガイドさんにいろいろ教えてもらったようで、それはそれで充実していてよかったな、とは思うのだが、
そのことでめでたしめでたしにしようとしたら大間違いだ。調子の悪い女子も含めてみんな同じペースで歩いていたのに、
それができなかったという事実を反省し、きちんと日常生活につなげてもらわないと困る。
本来ここで書くことではないけど、終わりよければすべてよし的な態度に少々腹が立ったので記録を残しておく。
こういう子どもを甘やかすのは、教育ではない。◇
帰ってきてからは、昨日と同様に風呂の順番を待つ生徒たちと芝生でボールを蹴り、鳥かごなどをして過ごす。
そしたら後日、クラブチームに所属する生徒たちから「先生は左足でのキックがとても上手い」と褒められたよ!
その際に面白かったのが、両足が使えるサッカー選手というと宮間や田中陽子など、女子選手の名前がまず挙がること。
中学生たちから男子選手よりも先に女子選手の名前が出るという事実が示唆するものは、けっこう大きいと思う。
まあとりあえず、僕は「(両足が使える)オレは田中陽子と同じ、すなわち陽子はオレのもの」と答えたわけですけどな。
昨夜は上野で飲んだくれたわけだが、そんなものはお構いなしに本日から2泊3日の移動教室なのである。
例年なら裏磐梯へ行くのだが(→2009.6.10/2009.6.11/2009.6.12)、東日本大震災の原発事故の関係で、
わが長野県の菅平高原に行き先が変更になった。というわけで校内では「マツシマさんの地元」という扱いになっているが、
僕としては旧真田町役場や真田氏歴史館までは行ったことがあるけど(→2010.3.13)、それより先には行ったことがない。
それでも知識は一般の都民に比べれば圧倒的にあるわけで、例年よりは若干頼りにされつつこの日を迎えたのであった。というわけで移動教室の1日目、高速道路で埼玉・群馬を経由して上田市内に入り、菅平高原へ。
菅平の手前は2年前にプライヴェイトで歩きまわった真田の里である。なんとも懐かしい気分になる。
そしてバスは先へと進んでいき、ダム湖を右手に眺めながら菅平高原の中心部に入る。いかにも高原らしい風景に、
やっぱりホームの感覚をおぼえる。まったくアウェイな気がしないところに長野県人としてのアイデンティティを感じる。宿舎に到着してバスを降りると、荷物を運び入れて一休みして、まずはオリエンテーリングである。
菅平ではオリエンテーリングの国際ルールにのっとったコースが設定されていて、子どもたちが挑戦できるのだ。
しっかり歩いてしっかり疲れて今夜はぐっすり眠れよーと念を送りつつスタート。見送ると軽く打ち合わせ。
そうしてある程度時間が経ったところで、宿舎に向けて帰るように指示を出すべく、外に出る。
で、歩きながら菅平のなんでもない風景をデジカメで撮っていく。今回は自前のデジカメを見事に忘れてしまい、
職場の備品のデジカメでの撮影となったのだが、これがなかなか悪くない。いい気分で散策してしまった。
L: 宿舎の前にはスキーのゲレンデ。夏場はこんな感じでいい感じの開けた空間となっている。ここもオリエンテーリングのコースだ。
C: 少し高い場所から山と畑を眺める。高原だねえ。 R: あちこちに芝生のフィールドがあるのがうらやましいわ。
L: 菅平は国道406号を中心に宿や店が点在している。こういう高原がホームに感じられるのはやはり長野県人だからか。
C: 畑と山と青空。 R: オリエンテーリングのコントロール(ポイントのこと)の印。ぶら下がっているパンチでカードに穴を開ける。途中ではぐれる班があったり時間いっぱい粘ろうとする班がいくつもあったりで、意外と手間がかかった。
まあその分だけ生徒たちはオリエンテーリングを満喫できたようなので、そこはよかった点である。宿舎に戻ると風呂の時間。宿舎の隣には芝生のグラウンドがあり、風呂の番を待つ生徒たちとボールを蹴って過ごす。
芝生の上でボールを蹴る経験は僕は初めてだったのだが、これは本当に楽しいものだ。トレーニングシューズだったせいか、
少し濡れている芝生の上は容赦なく滑るのだが、それも含めて楽しい。鳥かごをずっとやって過ごしたのであった。
で、時間の後半は入浴指導。風呂のマナーを知らないやつが若干いて、少し呆れた。親はきちんと指導してほしい。なかなかに豪華な晩飯を食った後は、明日の登山についてガイドの方の話を聞く時間。生徒たちも僕も興味津々。
そんなこんなで就寝の時間。生徒たちは素直に寝てくれたのでよかったよかった。文句なしの初日でございました。
前回の姉歯祭りでリクエストのあった、国立科学博物館の特別展「元素のふしぎ」をみんなで見に行く。
展示可能な元素はぜんぶ展示するということで、なかなかそういう機会はない。元・理系として非常に楽しみだ。13時半に上野駅に集合。しかし地下鉄利用のみやもり夫妻が公園口に来るのに手間取るのであった。
生憎の雨模様だが、公園口から出ていく人の多さに内心驚く。上野には美術館や博物館に動物園などが集中しており、
それ目的の人たちがいっぱいいるわけだ。しかし、それにしても多い。この時点で僕はなんとなくイヤな予感がしていた。みやもり夫妻と無事に合流すると、そのまま国立科学博物館へと移動。しかし企画展の入口に来たところで唖然とする。
そこには雨にもかかわらず、しっかりと行列ができていたのだ。毎度おなじみ無印良品の七分袖を着てきたが、寒くて閉口。
雑談をしつつ順番を待ったのだが、これはけっこうつらい時間でしたなあ。やっとの思いで中に入る。
入場券を買う際の行列でまあ想像はついていたが、やはり中も凄まじい混雑ぶりなのであった。まともに歩けないんだもん。
どれくらい元素を愛しているかテストして合格者だけ入れればいいのに、と思う僕。展示どころじゃないほどのひどさだった。
L: 最初の展示はやっぱり周期表。僕らは103番のローレンシウムまでの表に慣れているけど、今は118番まであるのね。
R: 鉄隕石をぶった切った断面を展示していた。結晶状の模様ができていて驚いた。デジカメだとこれが限界か……。ひどい混雑の中を気合で見ていく。元素は原子番号順に並んでおり、詳しい説明の書かれたパネルがまずあって、
その下にその元素の単体が置かれている。さらにその元素や化合物が使われている製品も一緒に置かれている。
製品のジャンルも非常に多彩で、マグネシウムのところに豆腐の食品サンプルが置いてあったのが妙に印象的だった。
L: 展示スペースはこんな感じ。 C: 頭上にはヘリウム入りの飛行船型の風船も。 R: とにかく混んでいた。ひとつひとつ順番に見ていったのだが、最初のうちは馴染みのある元素が多くて「なるほどこう見せるか」と思いつつ見たが、
金属元素に入ってしばらくすると、量が多すぎてひとつひとつの区別が曖昧になってきてしまう。まあ30番台までだな。
後はもう、キテレツなエピソードを見ては爆笑したり、見てくれのいいやつを必死で撮ったりで過ごすのであった。
L: ホウ素(5B)。半金属で正式には金属ではないとのことだが、この質感は金属にしか見えないわ。
C: マグネシウム(12Mg)。これは大迫力。 R: ケイ素(14Si)。光沢がなんだかかっこいいのであった。勉強になったのは、18族元素の「希ガス」は正式には「貴ガス」と書くという話。そのため展示ではすべて「貴ガス」表記。
rare gas(希ガス)という割にはアルゴンは大気中に0.93%もあるじゃねえかってことで(窒素・酸素に続き3番目に多い)、
他の元素とはほとんど化合しない孤高な性質ってことでnoble gas(貴ガス)となったそうだ。貴金属の「貴」だね。
L: というわけで「貴ガス」シリーズ。まずはアルゴン(18Ar)。このアルゴン電球は非常に時代を感じさせる貴重品である。
C: アルゴン入りのプラズマボールも展示されていた。昔、東急ハンズにあって、妙に心惹かれたなあ。
R: クリプトン(36Kr)。電球ぐらいしか用途がないようで、なんだか非常にさびしい展示となっている。あとは見てくれのいい金属元素の写真を貼り付けていくことにする。レアメタルはロマンだな、ロマン。
L: チタン(22Ti)。単体はこんな感じなのか。ウチは腕時計も中華鍋もチタン製だぜ。チタン大好き。
C: バナジウム(23V)。ホヤやキノコがバナジウムを貯め込むそうで、こんな大胆な展示となっていた。
R: クロム(24Cr)。ただの破片みたいだけど単体。化合物になった六価クロムはめちゃくちゃ危険だぜ。
L: マンガン(25Mn)。電池の電極など地味に活躍。 C: 鉄(26Fe)。単体の鉄は珍しいのでお目にかかれてうれしいわ。
R: コバルト(27Co)。有名なコバルトブルーはこのコバルトとアルミニウムの化合物が原料とのこと。
L: ニッケル(28Ni)。磁石にくっついたと噂の、昔の50円玉も展示されていた(穴なしと穴あきのどちらもあった)。
C: 亜鉛(30Zn)。世の男性はみんなお世話になるものさ。 R: ゲルマニウム(32Ge)。ゲルマニウムローラーは展示されず。
L: ニオブ(41Nb)。性質の似ているタンタルから区別されたため、タンタルの名の由来であるタンタロスの娘・ニオベから名がつけられた。
C: モリブデン(42Mo)。クロムモリブデン鋼は自転車のフレームでおなじみ。 R: インジウム(49In)。液晶ディスプレイなどで大活躍。
L: スズ(50Sn)。現在ではブリキとハンダ以外の用途があんまりないらしい。かつては合金が食器に使われていたのだが。
C: アンチモン(51Sb)。出版社出身には活字でお馴染み。 R: テルル(52Te)。名前の響きだけで来場者に人気だったのであります!
L: イッテルビウム(70Yb)。頭の悪い中学生に人気の元素。デンマークのイッテルビー村に名前が由来する元素はほかに3つもある。
C: ハフニウム(72Hf)。原子炉の制御棒くらいしか用途がないみたい。 R: タンタル(73Ta)。コンデンサに使われる。人体に無害。
L: タングステン(74W)。融点が最も高いことでお馴染みの元素。知らない元素ばかりの中に突然現れて、一息つける感覚。
C: 白金(78Pt)。これまで人類が掘った白金は一辺6mの立方体程度だと。 R: 水銀(80Hg)。わかっちゃいるが表面張力がすげー。やはり人類に馴染み深い金・銀・銅の展示は気になるもの。文化史的な側面もきちんと押さえてあったのだが、
個人的にはオリンピックのメダルがさりげなく置いてあるとかっこよかったかなあと。警備が難しかったり、
混雑がよけいひどくなったりするから回避したのかもしれないけどね。でもやってほしかったなあ。
L: 銅(29Cu)。貨幣に使われまくりである。 C: 銀(47Ag)。 R: 金(79Au)。もちろん金箔の展示もあった。単体として取り出すのが非常に難しいのか、あるいは非常に貴重なのか、小さいチップが置かれただけの元素も。
なぜそのような展示になっているのか、むしろそっちの理由を知りたいところである。
L: ルテニウム(44Ru)。ノーベル化学賞御用達。 C: レニウム(75Re)。幻の43番元素・ニッポニウムになりそこねたとか。
R: イリジウム(77Ir)。昔、「イリジウム計画」ってのがあったおかげで妙に覚えている。非常に珍しい元素とのこと。個人的にかなり面白かったのが、61番のプロメチウム。名前の由来はもちろん、ギリシャ神話のプロメテウスである。
人類に火という究極的に便利なものを与えてくれた神様の名前がつけられているにもかかわらず、
プロメチウムは放射性元素(安定同位体が存在しない)であるために、現在は特にこれといった用途がない。
周りがレアメタルとしてがんばっている元素ばかりの中、プロメチウムだけがさびしい展示となっているのは印象的だった。
L: プロメチウムの展示。その使えないっぷりが妙に強調されているように思えて、やたらと印象に残ったわ。
C: さすがに後半になると熱心に展示を見ていく客は減る。それでもこれだけ盛況なのであった。
R: レアアース特集。さまざまなレアアースの単体や化合物が一気に展示されている。ぜんぶでいくらぐらいするんだろ。プロメチウムとともに深く印象に残ったのは、ビスマス。これは僕もまったく知らない事実だったのだが、
実はビスマス(209)は半減期が約1900京年ととんでもなく長い放射性同位体だと最近わかったそうだ。
あまりにも半減期が長いので崩壊しても問題になる量にはならず、特段の注意は必要ないのが面白い。
むしろ、よく放射性元素だとわかったなあ、と呆れるのであった。元素の世界は本当に奥が深いぜ。
L: ビスマス(83Bi)。整腸剤のほか鉛の代替品として使われているけど、実は放射性元素。でも展示可能な安全さ。
C: ラジウム(88Ra)。秋田県・玉川温泉産の北投石(ラジウムを含む重晶石)だけがポツンと展示されているのであった。
R: ウラン(92U)。紫外線で光るウランガラスの食器などが展示されていた。さすがに大量に集めると、それなりに危ないとか。現在、天然に存在するのは92番のウランまでで、あとは人工的に再現というか合成された元素である。
逆を言うとつまり、93番以降はそれなりに半減期の短い放射性元素ばかりということになるわけだ。
ということで、さすがに実物の展示はなされないのであった。しょうがないんだろうけど、残念である。
そして現在、確認されている元素は118番までということで、この辺まで来ると半減期が短い短い。
展示パネルの「主な用途」の欄にはひたすら「研究上の興味だけで、用途はない。」が並んでいる。
その「研究上の興味」というフレーズがなんだかおかしくて、みんなで指差して笑うのであった。93番以降はそんなんばっか。
118種類の元素についての説明をすべてチェックすると、ちょっと戻って体験コーナーへ行ってみる。
ここで印象に残ったのは、金の重さ。金が非常に重い金属であることは知っているが、体感するとやはり驚いてしまう。
アルミニウム、銅、銀、金という順番で実際に持ち上げていったのだが、金は本当にずっしり。
また、実際に金属を叩いてどんな音がするか確かめるコーナーもあったのだが、あまりに来場者が多いせいか、
軟らかい金属はたっぷり叩かれてすっかりぐにゃぐにゃになってしまっていた。無残だったなあ。
L: 金の重さに驚くみやもりさん。絶妙な表情をありがとうございます。重いとわかっているけど、その予想以上なんだよな。
C: 実際に金属を叩いて音を聞いてみるコーナー。こちらは丈夫なチタン。 R: 軟らかいアルミニウム。これは無残なことになっとる。最後は元素の人気投票。一日に投票できる人数は限られているようで、残念ながらわれわれはできなかった。
壁には現時点での票数が書き込まれていたのだが、これがなかなか面白い。やはり身近な元素は人気があるが、
けっこうクセのある元素にもきちんと票が入っている。この人気投票を思いついたこと自体が面白い。1位はやはり金。2位が酸素。3位は水素で、ビリがホルミウムでした(9月21日現在)。
さらに壁には、けっこうな量の投票用紙が貼られていて、これが本当に面白かった。
それぞれの「推し元素」への熱いメッセージが読み応え抜群。いちいち読んでいくけど、まったく飽きない。
来場者の皆さんの元素愛がストレートに伝わってくる内容ばかりで、たいへん素晴らしいのであった。
この投票用紙をネタにすれば、延々と飽きることなく元素トークが楽しめる。最高だわ、ホントに。
ちなみに僕は今回の展示で、やはりプロメチウムの無用の長物っぷりが気に入ってしまった。
まあぜひ皆さんも自分の「推し元素」について考えてみてください。楽しいよ。◇
国立科学博物館を出ても冷たい雨は降り続いている。御徒町方面へと歩いていく中で店を探す。
みやもり夫人・マユミさんが肉を欲しておられたので(なんかイヤらしい書き方になってしまったな)、
けっこう迷った末に焼肉をいただくのであった。結果としては、非常にリーズナブルな店で大満足。
話の内容も面白く、たいへん楽しい時間となったのであった。よかったよかった。上野駅方面に戻りつつ、先ほど客引きをお断りした店に入って二次会。中はまったく客がいなかったのだが、
客引きの兄ちゃんの言葉に偽りはなく、たいへんメシが旨かった。いずれわざわざもう一度行きたいと思うくらい。
ここではHQSの後輩・ラビーが結婚するという話(→2012.9.1)がメインとなる。マユミさんはラビーを知らないので、
僕らはラビーのエピソードをあれこれ語ってみせるのであった。ウチのサークルは一癖あるやつばっかりだな!
で、やっぱり直接ラビーに電話をかけちゃう。みやもりやニシマッキーがやりとりをするのだが、
ラビーがしゃべればしゃべるほど、僕に対する上から目線の発言がどんどん出てきてこっちは呆れて笑うばかり。
「マツシマさんに言ってやりたいですよ!」ということがいっぱいあるそうなので、僕が電話に出てやると、
ラビーは急に沈黙して歯切れが悪くなるのであった。そんなラビーの様子にまた皆さん大爆笑。
来月のラビーの上京が非常に楽しみな展開となるのであった。やるよー! クラウザーさん暴れちゃうよー!
休みということで日記を書くのに追われているよ! わかっちゃいたけど、北海道旅行の負担でけえー!!
そこにサッカー観戦があったもんだから、いろいろなかなか厳しいでございます。自業自得なんだけどね。
今年はさらに教員免許更新講習の内容についても書くつもりでいるので、もう地獄。終わりが見えんぞ。
まあでも、やるしかないんだけどね。日記のおかげで、経験したことが自分の中で2倍以上の濃さになっているのはプラス。
土日を挟むので「前日」ではないんだけど、移動教室への前日準備に追われる。
でも土日を挟むせいか、ぜんぜん「移動教室に行くんだ」という感覚がない。なんだか申し訳ない。
日常生活がとにかく忙しくて、その日の予定をこなすのが精一杯で、心の準備ができていないのである。
準備が不足していると絶対に本番で何かしら困ることになるので、そこがちょっと心配だ。
冷静に物ごとを考える時間が欲しいなあ、とあらためて思う。
特にこれといったネタがないので、僕がHQSに入ったときの話でもしましょうか。
ジョン=ケージという現代音楽の巨匠がいるわけですが、この人、もうなんでもありの領域にいっちゃいまして、
『4分33秒』という曲を作曲してしまった。演奏者はステージに現れると、休符に従って4分33秒間、そのままでいる。
で、4分33秒経ったら曲は終わり。つまり4分33秒間にわたって無音が続くという、そういう曲なのである。
ちなみに今年の5月、TBSラジオが『4分33秒』を本当にオンエアしたそうで。聴きたかったなあ。さてHQSなんだけど、これをイントロクイズで出すわけだ。そしてそれを正解する先輩がいるわけだ。
その光景を見て、「オレは恐ろしいところに来てしまった……」と思ったわけです。そういうサークルだったわ。
もともと人数が少ないところに数学では3分割の少人数授業をやっているので、今日は生徒5人だけの研究授業だった。
前に体育館で少人数授業の研究授業が行われたこともあったが、今回も強烈な光景だったなあ。
生徒が5人だけならもう、手取り足取りかゆいところに手の届きまくる授業ができるなあ。うらやましいもんだ。放課後は泥だらけのグラウンドでの部活となった。ボールを体でトラップするだけで泥だらけになってしまう。
もうこうなったら覚悟を決めて、積極的に泥を身にまとっていかなければならないのだ。あーあ。
生徒は相変わらず自分の得意なことだけをやってばかりで、練習は苦手なことにチャレンジする場にしろと何度も怒鳴る。
自分の課題を正確に把握してその解決を図れるのが中学生だとしたら、ウチのサッカー部は小学生ばかりである。
体格的にもちっこいのが多いのだが、それ以上にまだまだ精神的に幼いってことなのだ。困ったものである。
Perfume『JPN』。先日のcapsuleといい、中田ヤスタカづいております。
しかしこれが抜群にいい! Perfumeは『GAME』で世間の度肝を抜いてみせたわけだが(→2008.5.3)、
今作はその衝撃に匹敵するくらいの完成度を持っている。きちんと聴いてみると、これは本当に傑作。
やはり冒頭に「レーザービーム」から「GLITTER」へのメドレーをもってくる構成がめちゃくちゃ効いている。
その後もシングル曲を中心にして、魅力的なメロディが次から次へと流れてくるのだ。実に密度が濃い。capsuleは中田ヤスタカ本人のユニットということで本人のやりたいことが直に投影されていると思うが、
Perfumeでは3人の女の子がうまくフィルターになっていて、聴きやすいバランス調整がとれた格好なのだ。
よくまあこれだけ打率の高いアルバムがつくれるもんだ、と呆れてしまう。捨て曲が1曲しかないよ。
Perfumeの人気はすでに安定期に入っていると思う。良くて当然、これくらいのことはやるでしょ、と。
ゆえに、『GAME』前後の衝撃はもうありえないだろう。でも『JPN』はそれに劣らない、確かな傑作である。
まだまだ平然とこれだけのものができてしまうってのは凄いことだよ。素直にそう思わされるアルバムなのだ。
本日は新人戦のシード権決めグループリーグ、第3試合である。相手は部員不足が解決して久々に復活した学校。
かつてのウチも似たようなもんだったわけで、そういう学校は失礼ながら強いはずがないのである。
相手は2~3人ほどそこそこ上手い選手がいるものの、そこを抑えながらこっちの圧力を高めていけば間違いなく勝てる。
いかに一方的に押し込めるか、それをテーマに指示を出す。生徒はいつになく強気でプレーしているが、
連携がとれていなかったりよけいなところで引っかかったりして、スムーズに押し込む態勢になかなかなれない。結果は3-1で勝利。いちおう、これが監督として4年目(実質3年目)での公式戦初勝利である。
しかしながら満足のできる内容ではなかった。もっと点を取れたろうし、何より失点したことが情けない。
だから本当に、ぜんぜんうれしくない。生徒は喜んでいたし、喜んでいいんだけどね。でも内容には不満だ。
自分たちがどのレヴェルまで行きたいのか、そのために目の前の対戦相手にどういう内容のサッカーをするのか。
生徒たちにはそこまで考えてプレーしてほしいと思う。自分たちのサッカーを確立するまで、まだまだ道のりは遠い。
capsule『STEREO WORXXX』。capsuleのアルバムはここ最近、だいぶマンネリ感の強いものとなっていたのだが、
今作についてはけっこう「持ち直した」という印象が強い。これといった特別なキラーチューンはないと感じるのだが、
(皆さんにしてみれば『LIAR GAME』でお馴染みの「Step on The Floor」なんだろうな。まあそうなるかな。)
平均点からいくとなかなかレヴェルが高いと思う。アルバムとして完成度が高い。各曲をうまくまとめているのだ。
このクオリティを今後どこまで維持できるかが勝負だと思う。上から目線で申し訳ないけど、ほっと安心したアルバムだ。
タダですよ、と誘われて、最初はやめとこうかなあと思ったのだが、タダの誘惑に負けて結局行ってしまいました。
横浜・F・マリノス×浦和。サッカー観戦で横浜国際総合競技場(以下、日産スタジアム)に乗り込むのは初めてになる。
菊名で乗り換えると両チームのサポがいっぱい。そしてかなりの人が新横浜で降りた。ゆえに新横浜駅は大混雑。
大混雑な新横浜の街を歩き、途中でコンビニに寄って食料と水分を買い込むと、早足で日産スタジアム方面へ。
今日は土曜なのに授業が6時間フルであるという、人間を人間扱いしないウチの教育委員会の方針が露わな日なのだ。
おかげで日産スタジアムに着いた頃にはけっこうな夕暮れ具合となってしまっていた。もう少し早く来たかった。
L: 横浜国際総合競技場(日産スタジアム)。ここに来るのは4年ぶりってことになるんだねえ。時が経つのは早い。
C: 大いに賑わっているこちらはバックスタンド。4年前にもここは大賑わいだったなあ。思い出してホロリとなってしまう。
R: 恒例のスタジアム一周を敢行。日産スタジアムはデカいなあ。一周する間に空がずいぶん暗くなってしまった。巨大な日産スタジアムに呆れながら、毎回恒例ということでスタジアムを一周するべく歩いていく。
非常に残念なことに光の具合が完全に夕暮れモードで、なかなかすっきりとした写真を撮ることができない。
シャッターを切りつつ早足でまわっていくが、日産スタジアムはやはり予想以上に大きかった。
一周し終えた頃にはすっかり日が落ちて、文字どおりの「誰そ彼時」となってしまった。こちらがメインスタンドなのだが、バックスタンドに比べてえらく静か。なぜ?
ここで軽く日産スタジアムについてのあれこれをまとめておこう。ご存知のとおり2002年の日韓W杯の決勝戦の舞台だが、
実はそれだけでなく、日本代表がW杯で初勝利(ロシア戦、→2002.6.9)を挙げたスタジアムでもあるのだ。
設計は松田平田と東畑建築事務所のJVで、1998年に竣工。72,327席もの収容可能人数を誇る巨大な施設だ。
L: バックスタンド側広場のお祭り騒ぎを見下ろす。 C: エントランスでは正体不明のゆるキャラたちが大集合。すごいなニッポン。
R: W杯の決勝戦開催を記念するオブジェ。W杯の価値がきちんとわかるようになった今、あらためて考えるとすごいことだった。さて、日産スタジアムは僕にとっては思い出の場所なのである。会社を辞めてからしばらくの間、
僕はイベントスタッフとして食いつないでいる時期があった。そして日産スタジアムで仕事する機会があったのだ。
(そのときの詳しいログはこちらを参照なのだ。 →2008.10.23/2008.10.24/2008.10.25/2008.10.26)
このときの経験はもう本当に強烈で、現場で働く人たちのたくましさに圧倒されっぱなしだった。
仕事の厳しさを学ぶ一方で、人の優しさもしっかりと感じた時間だった。とにかく、僕の原点といえる経験だった。
4年前から僕の立場はずいぶん変わったが、あのときの記憶は一瞬一瞬を大切に覚えている。そこは変わらないのだ。そんなことを思い出しているうちに、チケットを用意してくれた2人組と合流。中へと入る。
彼らはいつも最前列で観戦することにしているようで、迷うことなく一番前の席へ着いた。
フィールドとスタンドの間には乱入禁止のための堀があって、ああそうだったと思い出す。懐かしい記憶だ。
最前列とは言っても堀がある分だけピッチとは距離があるわけで、遠いし低いから見えづらいしでちょっと残念。
でも選手のテクニックを見るには、確かにここが一番だ。この辺が選手と監督の物の見方の違いなのかもしれない。
L: 買い出しに出かけたついでに撮影。広いなあ。 R: ホームのゴール裏はマリノスらしく三色に染まっている。僕らが陣取ったのはバックスタンドで、だいぶアウェイ側のゴール裏に近い位置だ。すぐ目の前に浦和サポの大軍がいる。
彼らはアウェイであるにもかかわらず、容赦なくブーイングを飛ばしてくる。ホームのとき(→2012.8.4)と変わらない勢いだ。
浦和レッズでないものすべてにブーイングを飛ばす勢い。それはそれで徹底しており感心する気持ちも正直なくはないが、
相手がいなけりゃサッカーの試合はできない。相手をリスペクトすることは必要だ。彼らはあまりにその要素に欠けると思う。
とりあえず一緒に観戦する2人組と一緒に「浦和サポ怖ええー」と茶々を入れて過ごすのであった。さて試合開始。今シーズンのマリノスは序盤に凄まじい不調に陥り、日産OBの樋口監督は解任直前までいった。
しかしそこをフロントがガマンした結果、どうにか状況が好転して中位まで成績を回復させている。正直よくわからん。
対する浦和はペトロヴィッチ独自のパスサッカーが浸透しつつあり、上位にぴったりつけている。
僕は監督目線でマリノスが浦和のペトロヴィッチサッカーをどう攻略するかに焦点を絞って観戦するつもりだが、
一緒に観戦した2人組はあくまで選手目線で、小野に齋藤、中村俊輔にマルキーニョスらの個人技が一番の目当て。
お互い補完しあっていろいろしゃべりながら観戦できれば楽しくなるな、とデジカメを構える僕なのであった。始まっていきなり5分、横浜・F・マリノスが先制。右サイドを突破した小野が上げたクロスにマルキーニョスが反応。
あっさりとヘディングシュートを叩き込んだのだ。目の前でいきなりゴールが決まって皆さん大喜びなのであった。
その後もマリノスは積極的に攻撃。右から小野、左から齋藤、真ん中では中村俊輔がどんどん浦和陣内に入り込む。
序盤から畳み掛けることで浦和のサッカーをする時間を減らすという目論見だったのだろうか。
だとしたら、なかなか追加点を取ることができなかったのが痛かった。ゆっくりと浦和は自分たちのペースを取り戻す。
L: 開始5分、マルキーニョスがヘッドで先制。結局日本で活躍するんだな、この人は。 C: 中村俊輔のCK。すごいフォームだ。
R: 中村俊輔のプレーというのは非常に独特で、どの瞬間を撮影しても、中村俊輔だとわかる体勢をとっている。唯一無二だな。僕は話をしつつもいつもどおり呑気にデジカメのシャッターを切りながら観戦したのだが、やはり中村俊輔は面白い。
7月のチャリティーマッチでも書いたが(→2012.7.21)、これだけ撮影しがいのあるプレーヤーはなかなかいない。
そう思いつつカメラの焦点を遠くに移すと、マリノスのマスコットであるマリノス君がボールボーイと並んで座っている。
試合中にそんなふうに過ごしているマスコットなんて初めて見た。中の人は本当に大変でございますね。試合中のマリノス君。その安直な名前はなんとかならんか。
ピッチとスタンドの距離も、観戦しているうちにだんだん気にならなくなってくる。
慣れてくれば、選手たちのテクニックをしっかり堪能できるようになるのだ。J1トップレヴェルの身のこなしを味わう。
でも遠い反対側のサイドの状況は非常にわかりづらい。23分に浦和が左サイドで速いパスをきれいにつないで崩し、
最後は柏木のシュートで同点に追いついたのだが、もう何をやっとるのかぜんぜんわからんかったもんね。
L: 目の前でマルキーニョスと浦和の平川が競り合うの図。目が慣れれば迫力ある真剣勝負を十分に味わうことはできる。
C: 横浜・F・マリノスの樋口監督。正直なところ、この試合では浦和対策にどんな戦術を実行したのかよくわからなかった。
R: 浦和のボランチにして最終ラインからのフィードも担当する阿部。隣はマリノスの若き10番・小野裕二。前半はそのまま1-1で終了。最初のうちはマリノスが押し気味だったが、途中からは浦和のペースとなる。
得点経過はその趨勢をそのまま反映したもので、まあ妥当なゲームだな、というのが僕の感想である。
ハーフタイムにはサブのメンバーが練習する姿を見ながら、2人組が今シーズンに日産スタジアムで見たプレーの話を聞く。後半に入ってマリノスは小野と中村俊輔の位置を変える工夫をしたらしいのだが、僕らはそんなことに気づけない。
64分、浦和は僕らの目の前でマリノスを押し込むと、最後はこぼれ球をDF槙野が叩き込んで逆転。
3バックのはずなのに、ゴール前のこぼれ球を押し込むといういかにも彼らしいプレーが決勝点となった。
試合終了後も浦和サポはずっとアウェイのゴール裏にいて、延々と気勢を上げ続ける。いやー怖かった怖かった。
L: 試合終了直前、足がつったのかマリノスの中澤が動けなくなってしまった。そんなに深刻ではなかったらしいが、驚いた。
C: バックスタンドに挨拶に来たマリノスの選手たち。こうして見ると、やっぱり最前列というのは近いのだ。
R: 挨拶する浦和の選手たちを迎えるアウェイゴール裏。試合が終わっても浦和サポたちは帰る気配なし。2人組の立場にしてみれば、マリノスの選手の個人技を堪能することは確かにできた。
小野も齋藤もドリブルの切れ味はさすがで、思わず「おお」と唸ってしまうプレーがあった。
さらに中村俊輔の存在感は抜群で、ボールを持つと変化が生まれた。FKがバーに直撃するシーンもあった。
しかしながら、僕としてはそういう個人技をどのように足していくのかがまったく見えてこなかったのも事実だ。
浦和が「やりたいサッカー」を明確にピッチ上で披露していたのに対し、マリノスのチーム戦術は見えなかった。
自分たちの型がないままでテクニックだけを積み上げていっても、それはひどく非効率であるように思える。
つまりは、ひとりの選手のやりたいことが、チーム全体のやりたいことまで高まっていないのだ。
だからマリノスの得点は、反射神経のいい外国人選手の序盤の1点のみに留まった。結果は何よりも雄弁である。思うに、J1というのは個人がチーム戦術を凌駕することがある。その頻度がJ2よりも高いように感じる。
それは組織的な守備を個人技で破ることがあり、また個人の活躍で相手の攻撃パターンを封じることがあるということ。
さらにはチームの戦術を逸脱したエゴイスティックなプレーが決定的なゴールを生む、ということにもつながる。
でもそれは、90分間ずっと発生している現象ではない。試合中の一瞬、隙が生まれたほんの一瞬に発生するのみなのだ。
90分間を担保するチーム戦術と、一瞬の隙から流れをつくる個人技と、両方があるからサッカーが成立するのである。
今回は90分間の戦術のないチームが敗れ、一瞬の隙を個人技で衝いたチームが勝利した。そういうことなんだろう。
でも浦和もまだ、ペトロヴィッチの目指すサッカーを90分間続けるだけの集中力は持っていない。明らかに発展途上だ。
その隙間を破るだけのものをマリノスは用意できていなかった。やはり結果は何よりも雄弁なのである。
ギャグとして劇団四季っぽくしゃべって授業をしたら、ファンの女子に蹴られた。
ドラッグストアで歯磨き粉や洗濯用の洗剤を買ったんだけど、菓子売り場にヨーグレットがあるのを目にしてしまい、
懐かしくってついつい買ってしまった。ヨーグレット。何年ぶりですかなあ。昔はかなりよく食ったもんだが。職場で糖分を補給すべえと開封してみたら、なんと、ヨーグレットの表面に笑顔が彫ってあるのを発見。
「コアラのマーチ」のまゆげコアラみたいなことを、ヨーグレットでもやるようになっていたとは知らなかった。
これってどれくらいの比率で入っているものなのか。どれくらいラッキーなのか知りたいわ。
L: ヨーグレットを買うのは何年ぶりずら。 C: 右がニコニコヨーグレット。 R: アップにしてみる。菓子業界ではこういう工夫をよくやっているみたいだけど、発想が優雅でいいなあと思うわけです。
運よく、劇団四季の『美女と野獣』を観劇する機会があったので、けっこうウキウキしながら大井町へ。
前々から「いつか劇団四季はきちんと観ておきたいなあ」とは思っていたのだ。いちおう。
でもチケットの値段が高いこともあって、それほど積極的に観たいという気も起きずにここまできた。
そしたら本日、運よくたまたま観ることができたわけだ。どうしてかって? ……お察しください。で、感想。もう本当に申し訳ないんだけど、僕が今まで観た演劇の中でワーストでした。とにかく、合わない。
役者の努力はわかる。でも、自分にはそれが間違った方向への努力にしか思えない。すべては演出のせい。
ヒロインのしゃべり方が典型的なのだが、セリフが聞こえやすさを優先して発することになっているのか、
ものすごくわざとらしくて会話として成立していない。「つくっている感じ」がいちいち気に障る。
そもそも最初に王子が魔法で野獣に変えられるシーンをナレーションをメインにしてやっている時点でアウト。
もっと面白くできるものを、演劇のステレオタイプにのっとって、わざわざつまらなくしている。最悪だ。
ステージ上で目立つセットや花火などの仕掛けで物語の本質をごまかしている。何から何まで子どもだまし。
これを喜んで観られる人の気が知れない。僕の人生の中でも非常にムダな3時間としか言いようがなかった。この日記を読めばわかるとおり、僕の価値観は小劇場演劇で鍛えられている(→2002.1.12/2002.6.30/2005.12.8)。
演劇とは想像力で見えないものを見る駆け引きだと思っている僕には、本当に苦痛に満ちた時間だった。
平田オリザ的な会話のリアリティ(→2002.6.23)という点では、ここまで日本語を壊せるのが不思議なくらい。
そこに想像力をはたらかせる余地がないほどに歌と踊りが割り込んできて、おまけに拍手で物語の流れがブチ切られる。
ひどい表現で申し訳ないんだけど、劇団四季がやっていることは、日本語の破壊であり、想像力の破壊である。
目の前で幻想的な光景を見せて幼稚な人間を満足させることはできるかもしれないが、それ以上のものはない。
劇団四季には今すぐ活動をやめてもらいたいくらいだ。観客の想像力を鍛えない演劇は、人間を退行させると思う。
逆の言い方をすると、劇団四季が支持されているということは、今の日本の演劇事情は非常に低レヴェルってことだ。かなり過激な批判をしたところで、じゃあタカラヅカ(→2012.2.26)と比較してどうかと考えてみると、
似た要素は確かにあるが、タカラヅカの方がはるかにレヴェルが高いと僕は考える(というか、劇団四季が最悪なのだ)。
タカラヅカではなんといってもBGMの生演奏が効いている。生演奏の説得力が圧倒的なのである。
セリフの発し方も声優的ではあるが不自然さは感じなかった。会話のレヴェルでイラつくことは一切なかった。
何より、スターシステムがうまく機能している。劇団四季の役者の匿名性(タカラヅカと比較して)はマイナスだ。
当て書きのタカラヅカと、役者が交換可能な上にディズニーの力を借りる劇団四季とでは、演技の勢いが異なる。
「ディズニーのキャラクター」から逸脱することのできない役者の演技は、リアルな人間のレヴェルに達しない。
そこがまた、セリフのリアリティの欠如にもつながる。アニメでいいじゃん、なんでわざわざ舞台でやるの?となる。繰り返すが、演劇とは「役者と観客の双方が想像力を刺激しあって楽しむメディア」である。
決して、「人間の演じるキャラクターが舞台上で物語を再現する装置」ではない。そこを劇団四季はわかっていない。
とにかく、ひどい3時間だった。人間のエネルギーが間違った方向にムダづかいされているのを直視するのはつらい。
サッカー・日本代表のイラク戦をテレビ観戦。ブラジルW杯のアジア最終予選で、イラクの監督はジーコ。
マスコミとしては盛り上げる材料に事欠かないカードとなった。まあ代表の皆さんは粛々とベストを尽くすだけと思いますが。試合はスローインから隙を衝いて走り込んだ岡崎がうまくクロスを上げて、前田がヘッドで先制。それが決勝点。
いやしかしこれは上手い得点だった。岡崎はしっかり存在感を見せつけたし、やっぱりワントップは前田だな!と納得。
イラクの攻撃はCKを中心にヒヤッとさせられる場面が何度かあったものの、きっちりしのいで無失点で終えた。
日本代表が最終予選を楽に戦えているように見えるのは、川島によるところが大きいなあとあらためて思う。表面的には日本代表がきわめて順当に勝利。冷静に考えると、順当に勝てるレヴェルにまで来たってことがすごい。
来月にはヨーロッパ遠征でフランス・ブラジルと対戦するけど、どこまでやれるのか。鼻血が出るほど楽しみだぜ。
昨日のボロ負けのショックを引きずりつつ部活の指導を始めようとしたら、去年の卒業生がやってきた。
そんでもって人生相談される。こっちはそんな相談を受けられるほど立派な人間ではないのだが、
照れ隠しな態度をとってはいるけど卒業生が真剣に考えているのはよくわかるので、こっちもできるだけ真摯に対応する。
相手の考えている内容を発言から読み取りつつ、「これはあくまでオレの価値観」と前置きしたうえで答えていく。
オレにとっての正解が相手にとっての正解には必ずしもならないわけだが、重なる部分はもちろんあるはずで、
それをお互いに探っていく感じで話は進んでいくのであった。校庭で突っ立ったまま話すこと2時間。
僕らの様子を見ていた生徒たちは「疲れないのかな……」と呆れていたらしい。疲れも感じず真剣に話していたってことだ。
おかけで一段落つけて話を終えたときには、蚊に刺されまくって両足ともすねが見事に水玉模様ですよ。
まあ、この経験が彼にとってかけがえのないプラスにはたらいてくれることを望む。ただひたすらにそれだけ。
本日は新人戦のシード権決めグループリーグ、第1試合と第2試合。2年生主体の新チームのデビュー戦なのだ。
第1試合はきわめて個人的な事情で絶対に負けたくない相手(その事情はきちんと生徒には話したけどな)。
何年か前には区内最強の地位を欲しいままにしていた古豪だ。最近はやや弱体化したが、勝ち方を知っているチーム。
ここと戦うのは初めてだ。「オレのために、自分のために、なんとしても勝ってこい!」と送り出す。ヤツを絶対に許さないのだ。
この試合は4バックを希望する生徒たちの意向を汲み4-3-3のフォーメーションで挑んだのだが、ケツが重い感じがする。
4バックは運動量が少なくてラインをつくったまま停滞、また中盤を3枚にしたせいでセカンドボールが拾えない。
それ以前にボールや相手に対してもう一歩踏み込む勇気を持ったプレーができていないのだ。それで結局、押し込まれる。
とはいえ守備面ではそれなりに踏ん張り、2失点に抑えたところでこっちのカウンターが右サイドから決まって1-2。
追い上げムードになって喜んだのも束の間、前半終了間際にCKからあっさりと決められてハーフタイムを迎える。
この失点が痛かった。「CKから失点するチームは弱いチーム」ということをあらためて突き付けられた感じで、
後半開始早々に失点すると足が止まって後はもうサンドバッグ。最終的には1-11という情けない結果となってしまった。へこたれている間もなく次の試合に主審で出る。しかし炎天下に怒鳴り続けた疲労はそれなりにあったようで、
前半はFKの壁の対応を度忘れするなど申し訳ない審判ぶり。塩分を補給した後半はきっちりできたけど、しょんぼりだ。で、第2試合。いつも練習試合でお世話になっているチームで、勝っても負けても3-2になるだろうと予想していたが、
これまた足が止まって0-7。途中からもう完全にキレたね。監督を辞めるべきだった(→2012.6.11)と思ったわ。
しょうがないんで後半から強制的に3-3-1-3にしたけど、それでも2失点したしなあ。勇気がないならサッカーやるなよ。僕はよく「勝ったら監督のおかげ、負けたら選手の責任」と生徒に冗談を飛ばすことがあるんだけど、
今回の試合については本気でそう言わせてもらいたいくらいのひどさだった。単純な指示もぜんぜん実行できないし。
3年生と一緒にじっくりと積み上げたはずのものが、2年生主体になったことで跡形もなく崩れてしまった感じだ。
いったいどうすりゃいいんだか。連中が精神的に成長するのを待つしかないのか。もう本当に困った。
ヤングなでしこ! 残念ながら準決勝でドイツに完敗してしまったので(→2012.9.4)、出番は3位決定戦となってしまった。
15時30分キックオフということで覚悟を決めて、今日はほぼ一日、国立競技場でサッカー観戦といくのである。
午前中の部活が終わると、銀座のFREITAGのオフィシャルショップでHAZZARDとFRINGEを確認してから千駄ヶ谷へ。
ドイツに敗れたとはいえヤングなでしこの人気はまったく衰えておらず、駅周辺はなかなかの混雑ぶりである。
競技場の中に入ってもどんどん人が増えていく。この試合は日本がアウェイ扱いで、前回(→2012.8.30)といろいろ逆。
僕の指定席も逆ということで、対戦相手のナイジェリアサポーターがわりと近い。こっちも観察しがいがあるぜ。
L: 国立競技場。何度か来てはいるのだが、昼間に訪れたのは初めてになる。 C: ピッチの様子。いい天気だなあ。
R: キックオフ直前、円陣を組むヤングなでしこと彼女たちを見守るゴール裏のサポーター。びっしり埋まっとる。試合が始まったころには、メインスタンドも日本サイドのゴール裏もびっしり。バックスタンドには若干の余裕があるが、
いちばん上の席まで開放されている。これは前回の日韓戦では見られなかった光景だ。うれしいもんである。さて、この試合は注目度が高かったので、あちこちできちんとしたレヴューが書かれていると思う。
だからこの日記では、詳しい経過については特に追いかけないでおくことにするのだ。
試合中に撮影した写真にあれこれコメントしながら、ヤングなでしこの最後の時間を味わってみる。
L: 田中陽子3題。やはりこの選手はフォトジェニックで、撮影しがいのあるプレーがすごく多いのだ。つい撮っちゃう。
C: フリーキックを蹴った瞬間。 R: これは先制点となる左足無回転シュートを撃つ瞬間。きれいに決まって大興奮だ。開始4分、ナイジェリアのFKがワンバウンドしてポストに当たった場面には大いに肝を冷やした。
しかし24分に中央でボールを受けた田中陽子が左足を振り抜くと、キーパーの手を弾いてゴールし、日本が先制。
ゴールからはけっこうな距離があり、あそこであのタイミングでシュートを放つのはさすが。客席は興奮のるつぼそのものに。その後は互いに持ち味を発揮しての攻め合いとなる。が、日本はどうも前線にスピードがない。
ナイジェリアとの身体能力の差を差っ引いても、横山も道上も圧倒的に速さが足りない。言っちゃ悪いが、重そうだ。
そしたら横山に替えて柴田が登場。ハーフタイムには道上に替えて西川。こうなると「ベストメンバー」という印象になる。
後半が開始してすぐ、柴田が見事なドリブルで中央に切り込み、ディフェンスを十分に引きつけたところで西川にパス。
これをきっちりと決めて日本がリードを2点に広げる。ヤングなでしこ本来の攻撃性が戻ってきて、客席は満足感に浸る。
L: 後半に入ってすぐの50分、西川が決めて2-0となる。喜ぶディフェンス陣の皆さんがかわいくってたまらないのであった。
C: 73分、ナイジェリアがFKを直接決めてゴールした瞬間。これは上手いシュートだったわ。相手を褒めるしかない。
R: 喜ぶナイジェリアサポの皆さん。ナイジェリアの皆さんは試合中ずーっと、すごく良質なBGMを提供してくれていました。集中してよく守っていた日本だったが(土光はスライディングなど相手を止める技術が確かに高かった)、
ナイジェリアの9番・オパラノジーの切れ味は凄まじくって、73分にFKから得点を決められてしまう。
これでナイジェリアに勢いがつき、日本は押し込まれる展開が多くなる。スリルの連続でヒヤヒヤものだった。なお、試合開始からナイジェリアサポーターはずっと音楽を演奏して盛り上がっており、これが非常にいいBGMだった。
ミュートしたトランペットがプロ野球の応援っぽい印象もしたのだが、きれいにハモってみせて聴き惚れてしまいそう。
複数のドラムによるリズムの取り方もよくって、穏やかなグルーヴを楽しませてもらった。さすがアフリカ系は違うわ。
前に見た試合でも日本を応援してくれたし(→2012.8.30)、ナイジェリアへの好印象が止まらないでございます。
L: バックスタンドの聖火台。この試合の観客は29,427人。最上段も開放されるほどの盛況ぶりだった。
C: 後半に入ってナイジェリアの攻撃は本当に怖かった。終盤にはかなり際どいヘディングシュートもあった。
R: 猶本も撮っちゃうぜ! 本当に視野が広く、判断が速い選手だ。空いているスペースにポンポンとボールを出してくる。結局、日本がこのままナイジェリアの猛攻をしのいで2-1で勝利。どれも見事なゴールだったし、
ゲームとしての面白さも抜群で、なおかつ最後には日本が逃げ切って3位に輝くという、言うことのない展開。
ナイジェリアサポのBGMも含めて、本当に本当に充実した時間を過ごさせてもらった。何から何までよかったわー。
L: 田中陽子と猶本。いいですなあ。 C: 土光に笑顔を見せるポム。かわいいのう。そうです、僕はDD(誰でも大好き)です。
R: ピッチを一周して、メインスタンドにポーズをとるヤングなでしこの皆さん。あまりにも青春な光景で涙が出てくるわ。史上初となるU-20での銅メダルが確定し、ヤングなでしこはピッチを一周してサポーターに挨拶。
もうなんというか、これだけの幸福感に包まれた時間ってのはなかなか味わえないと思ったわ。おめでとう!
決勝戦のキックオフは19時20分ということで、けっこうな時間が空いた。軽く食料を買おうと客席から出たら、
ナイジェリア楽団が大行進中。こういう光景を味わえるのも国際大会の醍醐味ってことなんだなあ。
で、富士宮焼きそばとお茶を買って席に戻る。しばらくしたら決勝戦のウォームアップが始まって、
手前ではドイツが、向こうではアメリカが練習を開始。ウォームアップの方法はけっこう国によって違うようで、
それをじっくりと観察するのもまた面白い。サッカーってのは本当に奥が深いスポーツだと思う。やがて練習が終わり、決勝戦のセレモニーが始まる。ドイツとアメリカ、両国の国旗が登場して荘厳な雰囲気に。
W杯とはいえ女子でU-20なので、どこか牧歌的な風味もある(その原因は僕たち観客の穏やかさにもあるのだが)。
なんとも不思議な空気の中で、大会最後の試合がキックオフとなった。さあ、始まった。
L: ウォーミングアップ中のドイツ(手前)とアメリカ(奥)。ドイツのウォーミングアップはけっこう独特な印象。
C: 決勝戦のセレモニー。今大会を象徴するアイテムであるらしい折り鶴を掲げた皆さんが登場し、次いで国旗が登場。
R: 試合が始まるとアメリカがよく攻める。ドイツは得意の堅守で対抗。どちらも守備が堅実で、とても熱い試合となった。今大会のドイツの堅守ぶりは凄まじく、ここまでの試合をすべて無失点で勝利している。
グループリーグでアメリカはドイツに0-3で敗れており、下馬評はドイツ有利という見方がほとんどだ。
しかし試合開始からアメリカは果敢に攻め込んでいく。ドイツの守備に対し、スピードを生かしてサイドから切り込む。
集中して守るドイツは最後の最後のところでしっかり守りきるものの、アメリカが予想外に押している印象である。
もちろんドイツもやられっぱなしではなく、自分たちが攻める時間帯をつくって対抗しようとする。
が、アメリカの守備はドイツの攻撃陣以上の集中力を見せ、決定的な場面をつくらせない。積極的ないい守備だ。
もともと僕は日本のドイツ戦を見て、それほどドイツの攻撃力が激しいとは思わなかった(→2012.9.4)。
ドイツはとにかく、イヤになるほど守備が堅いのだ。そこがベースで、攻撃は隙をつくらなければ怖くない。
日本はフワフワした状態で試合に入って痛い目に遭ったが、ミスをしなければ対応できるレヴェルの攻撃なのだ。
アメリカの守備は自信に満ちあふれており、その気迫は明らかにドイツの攻撃を上回っていた。これはうらやましい。スタートからの勢いで点を奪うことのできなかったドイツに対し、切れ味鋭いカウンターをかけるアメリカ。
特に右サイドの選手が良く、ドイツは深い位置をえぐられて徐々に受け身になっていく。
そして前半終了間際になって、アメリカは速いパスワークでドイツの守備に隙をつくると、中央で7番・オハイがシュート。
これが鮮やかに決まって、なんとアメリカがドイツの無失点記録を破る先制点をあげてみせた。
「破れるんだ、あの守備……」とつぶやくしかない見事な攻撃。まさにいいお手本、勉強になるサッカーだ。アメリカの1点リードという予想外の展開でハーフタイムを迎える。と、サブの選手たちが練習しているピッチに、
本家なでしこジャパンの皆様が登場した。選手たちはスーツ姿で、これがめちゃくちゃかっこいい。
まずはキャプテン宮間の朴訥ながらも真摯なコメント、そして佐々木監督の威勢のいいコメント。
佐々木監督は実際に声を聞いて立ち振る舞いを見てみると、メディアを通した印象とかなり違って、
グイグイと前に出るタイプの人って感じ。いい意味での体育会系の雰囲気をしっかり持っている人のようだ。
観客は得点の入りそうな場面にだけ反応するんじゃなくて、もっと全体的に応援をしてくれ、とのコメントだが、
正直なところ大半の人たちはどっちが勝っても構わない、内容が良ければそれで満足、と思っているわけで、
たとえばゲーム展開に関係なくウェーヴをおっ始めて勝手に盛り上がるようなのはあまり好ましくないのだ。
確かに客席は大半の時間で静かなのだが、それはそれでしょうがない気もするのだ。難しいところである。やはりドイツの攻撃は守備に比べればイマイチで、結局、アメリカは後半も集中力を切らすことなく守りきる。
カウンターの切れ味をチラつかせながらのハードワークが完璧にハマった印象。文句なしに強かった。
「強いヤツが勝つんじゃない。勝ったヤツが強いんだ」とはよくある言葉だが、まさにアメリカはそれだった。
それにしてもアメリカ・ドイツともにパスも速けりゃ攻撃の展開も速い。プレーの判断じたいがすごく速い。
その点、まだまだヤングなでしこは足りない。前線が勝負にならないほどに「重い」。だから攻めきれない。
ドリブラーがスピードに乗って切り込んでいき、相手を深い位置に押し込めるサッカー、それが必要だなと認識。
というわけで、僕の結論は「ポムがんばれ!」になるのであった。文句あるか! ポム大好き! 誰でも大好き!
L: スピードに乗ったサイド攻撃で中央に隙ができる。アメリカはドイツ守備陣にできた綻びを鮮やかに衝いて、先制点を奪ってみせた。
C: ハーフタイムに登場した本家なでしこジャパン。皆さんかっこいいのだが、鮫島(左端)だけはかわいいなコレ。
R: 決勝戦は1-0でアメリカが勝利。優勝を決めた瞬間、ベンチからも選手が飛び出してきて大喜び。見事なサッカーだった。試合に決着がつくとすぐに表彰式である。この準備が見ていて非常に興味深い。
特に僕は一時期イベントスタッフの下っ端として食いつないでた時期があったので、面白くってたまらん。
手際よくパーツが運び込まれて、あっという間にステージが組み上がる。3位のヤングなでしこもジャージで登場。
ジャージ姿でかわいい女の子は本物だよなあ、なんてことを考えているうちに表彰式が始まった。
L: 試合が終わって表彰式の準備中。こういう作業を眺めるのもまた面白い。イベントスタッフ時代を思い出すわ。
C: ステージに近い側に優勝したアメリカが陣取り、その後ろに準優勝のドイツ。3位の日本は手前で待機。
R: 記念撮影するヤングなでしこ。ここでもみんなでこのポーズ。仲のいい女の子たちを見るのはいいもんです。まずはフェアプレー賞の表彰から始まり、得点ランク3位以上の選手の表彰へ。2位に田中陽子が入ったので、
観客席はそれだけで大盛り上がり。そして優秀選手の表彰で、ここでも2位に柴田が選出された。よかったよかった。
個人の表彰が終わると、いよいよチームの表彰。日本、ドイツと滞りなく進んでいき、いよいよ優勝のアメリカ。
そしたらさすがはW杯、ド派手な銀とピンクの紙吹雪が打ち出され、真っ赤なハート型の花火が打ち上げられる。
やっぱり国際大会のセレモニーは違うわーと大いに感動。ヤングなでしこという目的を抜きにしても、
これは実際に目にすることができてよかった。日本で国際大会を開催する意義をしっかり実感させてもらった。
L: 打ち出される紙吹雪。国立競技場の照明を浴びて輝きながら舞っていくのが本当に美しかった。
C: さらに花火が打ち上げられる。ハート型から始まるのがなんとも粋だ。これは感動的な演出だったなあ。
R: この大会では勝手連の皆さんが活躍。ゴール裏で参加した各国の旗や言語の横断幕を揺らして祝祭ムードがつくられた。優勝したアメリカはこんなものを用意していたのか。うれしいねえ。
というわけで、サッカーの内容もセレモニーも本当に感動的で、すばらしい時間を過ごさせてもらった。
わざわざスタジアムで実際に見るだけの価値があった、いや、見逃さなかったことを誇りにしたい、それほどの時間だった。電車での帰り道、いろいろと考える。僕らがヤングなでしこに夢中になったのは、単純にその容姿に惹かれたからではない。
まあ確かにきっかけとして容姿が重要な要素であったのは疑いないが、それはあくまできっかけだったはずだ。
彼女たちが展開した野望に満ちたサッカー、ドイツにはボコられたものの、つねに前に向かって進んでいくサッカー、
その勇気あふれる姿こそが僕たちを惹き付けたのだと思う。まあこれは人によって差のあることではあるだろうが。
そしてもうひとつ、女子ではU-20が最後の育成年代となっており、これ以降は年代の枠はなくなる。
つまり同年代の彼女たちがひとつのチームを構成できる機会は、この大会が最後だったわけだ。
その「最後の時間」だとわかって戦っていた彼女たちの覚悟、その精神が彼女たちをさらに輝かせていたと思う。
彼女たちが発していた光は、ある意味では「最後の輝き」だったのだ。失われゆく時間の持ついとおしさ。
オジサンたちが応援していた(→2012.8.30)のは、きっとそこだと思う。過去への優しい眼差しが、
彼女たちを後押ししていた。……でもそれがわかるようになったってことは、オレもそれなりに歳をとったってことじゃねーか。
そんなわけで少しがっくりしつつ、でもすばらしい時間の余韻に浸りつつ、なんともいえない気分で家まで帰った。◇
後日わかったことだけど、けっこーウチのサッカー部員、国立競技場にいたみたいね……。部員は顧問に似るのか。
『黒部の太陽』。ずっと見たいと思っていたのだが(→2012.5.20)、運よく地元の大田区でチャンスがあったので行く。
まずは『黒部の太陽』についてのあれこれ。ひらたく言ってしまえば「土方が3時間ひたすら穴を掘る映画」なのだが、
石原裕次郎と三船敏郎が共演した作品、そして黒部ダム建設工事の困難さを大迫力で再現した作品として有名だ。
しかし裕次郎が「ぜひ映画館で迫力を味わってほしい」ということで、いまだにビデオ化もDVD化もされていないのである。
(でも実は、来年にはDVD化されることが決まっているらしい。石原プロも大変なのだ、きっと。)
まあともかく、裕次郎の遺志どおりにスクリーンで味わうことのできる貴重な機会である。仕事が終わると喜んで移動。運のいいことに、事実上の最前列だった。もうちょっと真ん中で見たいところだが、まあ許容範囲ではある。
映画が始まる前、客席を振り返ってみたのだが、やはり全般的に年配の方が多い。未成年の姿はほとんどない。
今回が初めての『黒部の太陽』である僕みたいな客は、いったいどれくらいいたのか、少し気になるところだ。映画は三船敏郎の登山シーンからスタート。三船敏郎は関西電力に勤めるダム工事監督のエキスパート・北川なのだ。
関西電力は高度経済成長での日本の莫大な電力需要を見越し、社運を賭けて黒部峡谷に巨大ダムの建設を決める。
ダム工事は5つの工区に分けられて、それぞれ大手の土木系ゼネコンが担当。そのうち第3工区・熊谷組の下請けで、
資材を運ぶトンネル(後の関電トンネル)を掘るのが岩岡班。裕次郎は親方の息子で、北川の娘を紹介されて登場。
さすがに3時間の大作映画だけあり、いくつもの伏線が用意されている。まず、北川の娘(岩岡と結婚しない方)の病気。
そして、岩岡の父親に対する憎しみと、それを引きずりながらもトンネル工事に従事することになる顛末。
最も強烈というか、暗い影を落としているのは黒三発電所をめぐるエピソードだ。信じがたいことにこれは現実の話で、
戦時中に電力確保のため、160℃を超える岩盤を作業員に冷水を浴びせながら掘り抜いてトンネルをつくったという。
ダイナマイトが自然発火して暴発する事故を繰り返し、また宿舎が雪崩の直撃を受けるなどして300名以上が亡くなった。
そんなとんでもない事実があったとは知らなかったのだが、これが宇野重吉(が演じる森さん)の回想により語られる。
またこの工事では岩岡の兄が父親に殺される格好となったことから、岩岡親子の確執の原因ともなっている。
この「高熱隧道」の知識があれば、この作品の設定はもっと背筋に響いてきたはずだ。自分の勉強不足が悔やまれる。スタート当初は順調だったトンネル工事だが、破砕帯にぶち当たってしまったことで状況は一変。
破砕帯とは断層の一種で、断層を生んだずれの力によって岩盤が砕かれた状態となっている部分のこと。
砕かれた岩盤の隙間には水が入り込んでおり、破砕帯を掘削すると大量の水が噴き出すのだ。
手探りでの工事のため、破砕帯がどれくらい続いているのかわからない状況の中、作業員たちは少しずつ掘り進んでいく。
『黒部の太陽』では、この破砕帯を抜けるまでのドラマが中心となっている。なお結局、黒部の破砕帯は80mもあり、
ここを掘り抜くのに7ヶ月もかかった。関電トンネルの全長は5.4kmで、工期は1956年8月~1958年2月。
つまり、単純計算で、トンネル全体のわずか1.5%を掘るのに工期の40%近くを要したことになる。とんでもない難工事だ。で、映画の感想。この作品は、本当にものすごいリアリティをもって、破砕帯を抜けるトンネル工事の困難さを描いている。
CGや特撮(→2012.9.1)では絶対に再現できない、巨大なセットを組んでの実写ならではの贅沢な迫力が味わえる。
そこに三船敏郎や辰巳柳太郎(岩岡の父)のキレた演技が展開され、その壮絶な工事の軌跡にただ感心するしかない。
熊井啓監督は丁寧にひとつひとつのエピソードを出してくる。それが丁寧すぎての3時間という結果ではあるのだが、
この作品はストーリーの見せ方で観客を魅了しようとする作品ではない。困難な工事をやり遂げる人間の力、
それを的確に描くことが目的の作品だ。だから物語としての面白さは実はそれほど大きくないのだが、
圧倒的な力を持つ自然に挑む人間たちのひたむきさは、愚直なまでにしっかり描かれている。見応えは抜群なのだ。
だからこの映画は素直に自然の力に感服し、それを乗り越えた人間たちの強さに感動すればそれでいいと思う。
そう、『黒部の太陽』とは、困難に挑んだ人間たちの弱さと強さのバカ正直な記録、その一言に尽きる。この映画を見ている間ずっと、工事に従事する作業員たちの姿が蟻に見えていた。蟻のたくましさ、それを感じた。
無数の黄色いヘルメットが資材に群がり、運び、持ち上げ、仕上げる。それはまさに、蟻の運動そのものだった。
ひとつひとつの作業は単純で小さいかもしれないが、それがあっという間に見事に大きな結果をつくりだす。
上意下達の指揮系統に忠実に従うブルーカラーたちが、経験を頼りにして、実に洗練されたものをつくりあげる。
頭でこねる理屈を凌駕する方法論は、確かに広く社会に存在している。その光景がみっちりと記録されているのだ。
蟻というと小さく弱いイメージを持たれてしまうかもしれないが、僕はあれほど強くたくましい昆虫はないと思う。
その蟻たちの持つ恐るべき強さ、たくましさ、忠実さ、そういった生存と労働の本質を、僕は『黒部の太陽』に見た。もうひとつ興味深いのは、たっぷりと昭和のオヤジの生態を味わうことができるという点だ。
第二次大戦をくぐり抜けて、高度経済成長へと足を踏み入れた海千山千の昭和のオヤジたちが、自らの力を発揮する。
僕は日本人特有の家父長制はいずれ克服すべきものと考える立場をとっているが(→2012.9.5)、
家父長の権化であるようなオヤジたちの迫力(それはポジティヴな面としては責任感として出る)を、これでもか!
というほど強烈に見せつけられて、さすがの僕も圧倒されずにはいられなかった。この点でも貴重な記録である。というわけで、『黒部の太陽』は本当にストレートな映画なのであった。すべてにおいて直球勝負。
直球勝負だけに単調な面があるのは否めないが、だからこそ得られる迫力があるのもまた事実。見事な映画でした。
仕事でやらかし、自己嫌悪でのた打ち回っとるよ。自業自得なんでしょうがないけど。いや本当にのた打ち回っとるよ。
具体的なことはとても書けないが、自戒を込めて記録は残しておく。短慮の塊のような自分がイヤでイヤでしょうがない。
橋下徹率いる大阪維新の会が国政に進出しようとしている。そんでもって台風の目になろうとしている。
オレは本気で日本国民に問いたい。お前らは、小泉の郵政選挙、そして民主党の政権交代で懲りてないのか?と。
まずここで結論を書く。奴らは危険だ。奴らが権力を握ると、日本が壊れる。短絡的な橋下は間違いなく日本を壊す。
何も考えない人間ばかりが選挙権を行使する現状は、本当に危ない。冷静に事態を見つめないといけない。今から思えば、小泉の中身のなさは恐ろしいものがあった。イメージだけが先行し、善悪のレッテルだけで物事が進んだ。
そもそも郵政民営化というたった1つの論点だけで4年間の任期がある衆議院議員を選出しようとしたこと自体が異常だ。
しかし誰もそのおかしさ指摘することなく事態は進んでしまった。結果、日本には停滞どころか混乱がもたらされた。
その揺り戻しと言える民主党の衆院選圧勝劇も、実にお粗末な結果ばかりをもたらすものだった。本当にひどい。
鳩山は政治が現実の対処(→2007.2.22)であることをまったく知らず、ただひたすら自らの理想だけを実行しようとした。
時代の流れもあり自民党時代のメチャクチャな国家運営システムが一気に露呈したが、民主党に事態収拾能力はなく、
ただ時間を浪費しているのが今の日本の現状である。ある意味で民主党は被害者だが、それにしても低レヴェルすぎる。維新の会は短絡的思考の甘言ばかりの集団、民主党は問題外、自民党も理念のない地方の有力者集団ということで、
来るべき選挙はいよいよ選択肢がない。でも投票しなければならない。どこに一票を投じても地獄が待っている。
ここで再び結論だ。僕らがやるべきことは、「政党が何かをしてくれる」と信じることではない。真実はまったく逆だ。
つまり、「何かをしてくれるように政党を成長させること」なのだ。既存政党がダメで新しい政党に走っても、いいことはない。
そうではなくて、既存政党の軌道を修正して、使える集団にがまん強く育てていくこと、なのだ。政治に深く参加せよ、と。
投票後は政党任せでは、事態は悪化するばかりだ。イヤでも既存政党に注文をつけて軌道修正させないといけない。
これは非常に面倒臭い。でもそうしないと正しい政党をこの世に存在させることはできない。これが真実なのだ。
自民党は素直にゴメンナサイしてきちんとした保守を目指すべき。民主党も素直にゴメンナサイしてリベラルをやり直すべき。
そうしてまともな二大政党制を目指すしかない。正体不明の第三極がデカい顔をするのは、成熟した民主主義ではない。究極的には、これは日本人の困った国民性の問題である(→2010.2.3)。
中国や韓国の困った国民性にわれわれが眉根に皺を寄せているように、いろんな国が日本の国民性にウンザリしている。
それは家父長制度だ(頂点にあるのはもちろん天皇制だ)。そしてこれは日本人が将来克服すべき習性だと僕は考える。
政治は政党に任せれば大丈夫、そういう発想が、今の日本を窮地に追い込んでいる。政党はもうまともに機能しません!
僕らは、家父長にすべてを任せるように政党にお任せするのではなく、政党を育てるという意識を持たないといけない。
政党は、間違える。だから正しい政党を選ぼうとするのではなく、政党が正しい選択肢を選ぶように育てていくべきなのだ。
自民党はかつての間違い(領土ほったらかし、国債発行と土建行政、まったく無策な福祉システムなどもろもろ)を謝罪し、
民主党は現在進行中の間違いを謝罪し、国民はそれを許さないとダメだ。「どっちも反省してくれよ」と(→2012.2.12)。
狭い島国の中での覇権争いに精を出すのではなく、国益の観点から是々非々で臨む与党と野党でないといかんのだ。
それができるようにならない限り、日本は「成熟した」民主主義国家として世界から認められることはないと思うのである。日本人の困った国民性の克服と成熟した民主主義のためには、最終的には天皇制の「卒業」が目標になるはずだ。
元寇が典型的だったけど、日本人はどこか、「困ったときには誰かがなんとかしてくれる」という他力本願なところがある。
それを政治システムとして肯定してしまったのが家父長制で、その頂点にあるのは前述のとおり天皇制ということになる。
僕は天皇家が好きだ。でも天皇制は「卒業」すべきものと考えている。好きだから、天皇を尊敬しているから、卒業したい。
(天皇家はがんばりすぎだよ。あちこちに顔を出して励ましたり権威付けをしたり。その努力には本当に頭が下がる。)
外交でもなんでも、明治維新以降、日本人は天皇に頼りすぎている。なんでも天皇に押し付けて済ませているように思う。
確かに天皇家はその道のプロだ。天皇家が面倒臭いことを一手に引き受けてくれているから、われわれ庶民は楽ができる。
でもそろそろ、そうやって天皇家にばかり負担をかけるのはもうやめにしませんか。まだ無理なら、軟着陸を目指しませんか。
そうだなあ、500年くらいのスパンで天皇制をゆっくり卒業の方向にもっていきませんか。天皇家を解放してあげようよ。
たぶんマッカーサーはそのことを見抜いていて、それで天皇制を残しつつアメリカ製の民主主義を持ち込んだのだと思う。
(だから国際的な枠組みとしてはやはり、アメリカを家父長として頼りきる構図になっていたことが指摘できるだろう。)
首相公選なんて半端なことしないで、天皇制を卒業して共和制を敷いて国民の代表たる大統領を選出しませんか。
そのためには他人任せな家父長制をやめて、国民ひとりひとりが政治に関わる主体にならないといけない。
それが上で述べた「政党を育てる」ということの本質なのだ。すべては、つながっているんですよ。まずは次の衆議院選挙だ。僕たちがすべきことは、既存政党の肯定とその軌道修正への責任を持つことだ。
日本人が困った習性を抱えたまま今後も生きていくのか、いいかげん目を覚ましてひとりひとりが自立を目指すのか。
僕は悲観的な結果を予測しているけど、ほんのちょっとの希望をこうして文章にしてみた。まあがんばろうよ、みんな。
ヤングなでしこがドイツに完敗してしまったのであった。国立競技場で生観戦しようと思えばできたけど、
それはさすがに調子に乗りすぎだと思ったので、テレビで見届けたしだい。そしたらあっという間の3失点。悪い夢のようだ。とにかくドイツの守備が堅すぎる。後半はヤングなでしこの持ち味もある程度は発揮できたけど、得点できるかというと、
正直そこまではいけない印象だった。あの守備を崩しきるのは本当に難しいと思う。今までにない特別な何かが必要だ。
日韓戦で比較的あっさり勝利したことで(→2012.8.30)、やはり少なからず油断が生じていたのは間違いない。
ドイツという本物の強敵に対して、もっと集中して警戒して試合に入るべきだったのだ。そこがまだ、青かった。
素人の感想なので的はずれかもしれないが、ドイツの攻撃は守備に比べればそれほどレヴェルは高くなかった。
勢いよく3点取られてしまったが、きちんと対応する準備を練っておけば、防げなくはなかったように思えるのだ。
ヤングなでしこは若いからか、攻撃のことばかり考えすぎてしまって、この試合を落としてしまったような気がする。
本家のなでしこジャパンのフランス戦のように(→2012.8.6)、粘っこい守備で勝つやり方ができないところに、
実際には落とし穴があったのではないか、そう思う。攻め切るという理想に対する、勝ち切るという現実。
サッカーはきれいごとではないのだ、そんな現実を痛感させられる敗戦だった。悔しいけど、そう結論づけるしかない。時よ止まれ、君は美しい。……ヤングなでしこのサッカーを見られるのも、あと1試合。しっかりこの目に焼き付けよう。
今日は記念すべきドラえもんの生誕100年前だぜ! だからって別にどうということはないが、おめでとうだぜ!
◇
夏休み中にやんなきゃいけなかった書類を一気につくる破目になる。まあ、自分が全面的に悪いので(→2012.8.24)、
こればっかりはしょうがない。しょうがないのだが、もうちょいなんとかならんかったか、と思う。でもしょうがない。
授業の合間と休み時間と放課後を利用して、お得意の集中力をフル稼働させて、脇目を振らずに全力で取り組む。結局は期限に間に合ったんだけど、終わったとき、僕には後悔の気持ちはあまりなかった。
むしろ追いつめられた分だけ集中して一気に取り組める結果になったわけで、自分でも惚れ惚れするほどの集中力、
それを引き出せたことはかえってよかったかもしれないな、と思ったのだ。いや、反省しなくちゃいけないんだけどね。
ズルズルとやるべきことを引き延ばしてしまったことは、確かによろしくないことなのだ。オトナとしてよろしくない。
だから追いつめられた状況になる前に、きちんと集中力を発揮できる強い意志を持つこと、そこが課題なのである。
自分のコンディションを自力でコントロールすることは本当に難しい。でもそれを100%に近い形でできるようにならないと。
雨のせいで朝からまったくやる気が出ないでございます。これはラビーのせいでもある、ということにする。
将来のことを考えると絶対にやらなくちゃいけないことがあって、夏休み中からの課題でもあるのだが、
どうしても重い腰が上がらない。集中して一気に片付けてしまうべきなのだが、これがどうしてもダメ。
昼を過ぎて多少天気の状態がよくなってきたので、とりあえず外に出て日記を書きつつコンディションを上げていく。
おかげで北海道旅行の前半戦とヤングなでしこ日韓戦観戦記と昨日の姉歯祭りの顛末を仕上げることができたのだが、
肝心の課題の方がイマイチ。まあこれはもう、家に帰ってから全力で取り組むしかない。やるしかないのだ。
追い込まれるまで本気を出せないのがカッコ悪い。……と、わかっちゃいるけどできないんだよねえ。困ったもんだ。
土曜日だけど本日より2学期スタート! ふざけるな!
……とは言っても9月1日ということで、始業式の後は学活を挟んで避難訓練。今回は生徒たちの引き取りの訓練。
親に連れられて帰っていく生徒と、早く帰れるのをうらやましがる生徒の世話をする感じになるのであった。
終盤になってくるとだいぶ余裕がでてきて、3年のサッカー部員とヤングなでしこについて語り合って過ごした。◇
勤務時間が終わって、急いで木場へ移動。リョーシ氏が東京にやってきた!ということで姉歯祭りなのだ。
午後1時の集合に間に合ったけど、僕だけメシを食っていないのでコンビニに寄らせてもらって、いざ出発。
今回は東京都現代美術館でやっている「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」を見る。
マサルが提案したのだが、結局仕事の都合で本人は来れなくなってやんの。まあでもみんな興味のあるテーマだし、
ということでそのまま現美へ。常設展・もうひとつの企画展も込みのセットで、いざ鑑賞スタート。「特撮博物館」は案の定、人でいっぱい。最初は日本のSF特撮映画から始まってテレビへ移っていく感じ。
資料やら模型やらが豊富に展示されておりひとつひとつ見ていくが、実際の作品を見たことがないのが切ない。
当時デザインされたメカにはやたらとドリルがついており、「ニッポンジン、ドリル、ダイスキネー」と茶化しつつ見る。
面白かったのは、映画界ではいまだに尺貫法が使われており、ミニチュアも尺貫法でつくられていること。
さらには小松崎茂ワールドもきちんと押さえてあって、立体造形ももちろん面白くて、楽しませてもらいましたわ。
『ウルトラマン』をはじめとするウルトラシリーズの比重は思ったよりも小さく、その分、それ以外の作品、
特にどちらかというと無名の作品たちにもていねいにスポットを当てていった印象である。名前をざっと見ていって、
『ドラえもん』でパロディされたタイトルがやたらと多いのが印象的だった。『快傑ライオン丸』のマスクのクオリティが高かった。そしていよいよ目玉である短編映画・『巨神兵東京に現わる』。「企画:庵野秀明 監督:樋口真嗣」はいいとして、
「巨神兵:宮崎駿」ってなんだこりゃ、着ぐるみの中に駿が入っとるんかい、とツッコミを入れつつ見る。
内容は……ほかの皆さんがどう思ったか知らんが、10分間弱壊して壊して壊しまくりなので、退屈極まりなかった。
林原めぐみのささやきモノローグもうれしくないし。過度な期待をしてしまったか、と思いつつ次のコーナーへ。
で、わかった。そこはさっきの映画のメイキングについての展示。つまりこの企画展で特撮の過程を紹介するため、
わざわざ短編映画を一本つくってしまったということだろう。そうだとしたら、それはものすごい根性だ。
そしてやっぱりこのメイキングの説明がとにかく面白い。抽象的なアイデアを実現するための具体的なアイデア。
実に細やかな工夫が詰め込まれていて、その発想にひたすら圧倒されるのであった。いや本当に面白かった。
映画本編よりもメイキング展示・映像の方がぶっちぎりで面白く、みんなで「これがDVD化されたら買っちゃうわ」と話す。ただ、気になることもあった。それは、かつての特撮と違い、現在の特撮はCGの影響を受けている、ということだ。
さっきの短編映画を見て、僕は特撮の作品を見ているのではなく、CGの作品を見ている気分にしかなれなかった。
説明の展示を見ていると確かに特撮100%でつくっているのだが、どうにも腑に落ちない。それで考えた結果、
上記のように、現在の特撮はCGの発想でつくられているんじゃないか、と思ったわけだ。想像力がCG化しているのだ。
たとえば熱線で溶けるビルという発想は、これはCGを経ないと出てこない。特撮でできることをCGがやるようになり、
コストのかかる特撮は衰退したわけだが、今回はその逆でCGでできることを特撮でもやってみせた、ということだと思う。
そもそも、いくら特撮で撮影したところで、結局はコンピューターによる合成を行うわけだ。デジタルゆえの無機質な感触。
かつてのように、フィルムにオプチカルプリンターで焼き付けるようなアナログな合成をしているわけではないのである。
そこがまた、現在の特撮とCGとの境界線が曖昧な印象へとつながっているのだ。いい意味での手づくり感が半減している。
「リアリティ」ということを考えた場合、どこまで実物であればフィクションが許されるのか、境界線が難しくなっていると感じた。地下に下りると、そこは特撮美術倉庫。薄暗い中に多数のミニチュアが息を潜めており、この雰囲気を再現するとは、
もうそれだけでワクワクしてくる。その先はさらに職人芸としか言いようのない技術の説明で、かなり感動した。最後はアトリウムに設置された「特撮スタジオ・ミニチュアステージ」。ここでは実際に巨大ヒーローや怪獣気分になって、
ステージ立って記念撮影ができる。が、当然のごとく長蛇の列ができている。さらっと外側を撮影してそれでヨシとする。
さらに家の窓から外を見ると巨大怪獣が、という構図で撮影できるスポットも長蛇の列。残念だけどパス。
L: 特撮スタジオ・ミニチュアステージ。本当によくできてるわー、と感心。 C: 向こうを通りがかる人が怪獣に見えちゃう構図ってわけ。
R: 感心するリョーシ・ニシマッキーの両氏。真ん中にいるのは樋口監督(「特撮博物館」副館長)のポップ。展示がすべて終わったらミュージアムショップというのが定番だが、この「特撮博物館」ではとにかくショップが広大。
DVDに書籍から始まり、ありとあらゆる文具に手ぬぐい、キーホルダー、ソフビ人形など、凄まじい量のグッズが並んでいた。
エヴァグッズもあったくらいだ。会場限定のガチャガチャもしっかり置かれて大賑わい。この商魂のたくましさには驚愕したわ。
「こうしてさっきの巨神兵の制作費を回収しているわけかー」などと呆れるのであった。結局、何も買わずに出る。だいぶ「特撮博物館」で歩きまわったが、そこは気合で次の「Future Beauty 日本ファッションの未来性」展を鑑賞。
こちらは2012年のファッションの最新作を中心にした内容だが、現在進行形の内容だけに、まとまりはかなりなかった。
1990~2000年代の日本のファッションは山本耀司と川久保玲(コム・デ・ギャルソン)を押さえておけばいい、
というかなり乱暴な僕の持論を紹介しつつ、3人でテンポよく見ていく。まあファッションはわからんもんですわ。最後に常設展。僕は現美のコレクションが大好きなのだが、久しぶりに来たら恐ろしいほどにレヴェルが下がっており、
これにはただ愕然とした。本当に面白い収蔵品がほとんど展示されておらず、しょうもないものばっかりが並んでいる。
まず最初に特別展示ということでオノサト・トシノブ特集だったのだが、そんなものが面白いはずがないじゃん。
続いて新収蔵品展。これがまたしょうもないものばっかりで、奈良美智のクソ絵を広々と展示。空間のムダだ。
2階では前からあるやつも並んでいたが、もっと面白い作品たちの方が引っ込められた印象。 とにかくひどかった。
現美の常設展は、「現代美術の古典」の展示であってほしい。日本でそれができる施設はほかにないんだから。
誇りを持って、戦後の現代美術の流れを学べる場所であり続けてほしい。とにかく今の展示はあまりに低レヴェルだ。◇
現美を出ると、仕事で使うカバンを見たいというリョーシさんの意見により、バスで直接銀座まで行くことにした。
このバスが終始混雑しており、なかなか大変だった。バスで酔ったのは久しぶりだったぜ。銀座四丁目でバスを降りると、僕のオススメということで、FREITAGのオフィシャルショップまで歩いていく。
が、僕が正確な場所を忘れてしまっていて、派手な遠回りにはならなかったものの、迷惑をかけてしまった。
FREITAGはさすがに弁護士先生には派手なようだったが、リョーシさん、ぜひプライヴェイトでいかがでしょう。
ちなみに僕はFRINGEで柄のいいやつがあったら買いたいなあ、という気持ちがここ1年ほどあるのだが、
あろうことかHAZZARDでいい感じの柄に出会ってしまい、悶絶する。FRINGEってどれも柄がイマイチよくなくって、
それで今まで買わないままでいたわけだが、真四角で形がちょっと好きじゃないHAZZARDにやられるとは。
そしたらニシマッキーがみやもり化して、「YOU買っちゃいなよ」とささやいてきた。うおー勘弁してくれー!ひととおり見終わると銀座の東急ハンズへ移動。思っていた以上にビジネスバッグが大量に置いてあったのだが、
ビジネスバッグってのはモノが多いだけに一長一短が目立つものだと思う。100%気に入るということがないのだ。
それでやっぱりリョーシさんはあれこれ迷って結局今回はスルーということに。まあしょうがないよね。
ちなみにリョーシさんが迷っている間、僕は僕でさっきのHAZZARDの件で悶絶しつづけるのであった。
ニシマッキーはそんな僕を見るたびに、「YOU買っちゃいなよ」と言ってくる。うおー困るー!みやもりに合流のめどがついたこともあり、そのまま新橋方面へと歩いていく。今日は見事に歩きどおしだ。
で、またしても僕のオススメということで、銀座七丁目のライオンビヤホールへ。やはり銀座で飲むならここなのだ。
ビールにザウアークラウトやソーセージをいただきつついろいろダベる。1杯目を飲み干していい感じに酔ったところで、
みやもり登場。ヤングなでしこに初音ミクにいろいろと社会学的考察を加えながらビールをしっかり堪能した。二次会はさらに歩いて新橋駅前へ。ビルに入って飲んだのだが、ここでの話題はラビーの結婚報告について。
まず本当なのかどうなのか確認するために、みやもりがラビーに電話して質問タイム。ニシマッキー・リョーシもそれに続く。
で、さらに「相手の写真見せろや」ということで、メールを送らせる。ラビーが僕のケータイにも送ってきやがったので、
当然のごとくそれを拡散してやるのであった。これでラビーが結婚するというのはどうやら事実のようだ、となる。
それにしてもラビーが僕に送ってくるメールの文面が、実に浮かれポンチで上から目線で解釈できるものばかりで、
僕以外全員その場で大爆笑。これはクラウザーさん(→2009.9.20/2010.5.3)が出動するしかねえぜ!と荒れる僕。
だって、「はいはい。ほめ言葉と受け取っておきます(笑)」とか「まぁ、人生何があるか分からないってことで。」とか、
もうお前はどんだけ浮かれポンチなんだと。これはもう、クラウザーさんに嫁もろとも締めていただかないといかんわ。みやもりの嫁は「(僕が)結婚しようとしていないだけ」とのたまっているようだが、結婚しないんじゃねえ! できないんだ!