diary 2023.10.

diary 2023.11.


2023.10.31 (Tue.)

新しいMacBookProが出たそうで。当方、「Pro」ほどの性能は必要ないが、「Air」の方はつねに気にしている。
というのも、いま使っているMacBookがかなり限界に近いので。買ってからもう7年近くになるのか(→2016.12.10)。
表面的にはキーボードが削れているくらいで問題なく動く。このままとことんまで行きたいと思っているのだが、
バッテリーとUSBポートの接続不良がかなり深刻になってきている。いいかげん潮時なのはわかっているが、しかし……。
買い換えるにあたって最大の問題は、CPUがIntel製でなくなったこと。Apple自社開発のM1チップはいいが、
そうなると現行のソフトが動かなくなってしまうことが予想される。Rosetta 2は本当にうまく動いてくれるのか?
なんせDreamweaverもPhotoshopもIllustratorもCS5ですので。買ったのがもう13年も前ですわ(→2010.12.18)。
これが動くという保証がないとねえ……。地獄のAdobeサブスク生活はなんとしても避けたいのであります。

でも最優先で解決しなくてはいけないのは自転車なのだ。なんだかんだで11年乗り続けており(→2012.6.252012.7.4)、
3年前の時点ですでにお店の人から限界を指摘されている(→2020.8.30)。それでもなんとかごまかし続けてきたけど、
さすがにもうどうにもならない状況になってきている。物が壊れるときは一気に来る(→2016.11.232019.9.17)。
順番をしっかり考えてやりくりしながら、いろいろ更新していかなくてはなるまい。いやあ、切ないねえ。


2023.10.30 (Mon.)

午後に川崎へ出る用事があったのだが、ものすごい晴天の下、新しくなった市役所の前を通る。
そういえば去年の今ごろはまだ建設中でボヤ騒ぎがあったっけなあ、完成したんだなあと思いつつ見上げる。
そこでようやく気がついた。これ、午前中を休みにして新庁舎の撮影に専念すればよかったんじゃないか!?と。
なるほど、これは貴重な平日市役所チャンスだったのである。しかも最高の青空で、中も外も撮り放題だというのに。
今になって地団駄を踏んでも、もう遅い。キエーと叫んで全力で悔しがりながら目的地へと向かうのであった。

それにしても南武線は、「谷保」と「矢向」、「分倍河原」と「向河原」の音が似ていてドキドキせんか。
うつらうつらしているところでアナウンスを聞いて、乗り過ごしたのかとびっくりしてしまうではないか。
どっちも立川サイドと川崎サイドで見事に逆方向になっているのがまた胃に悪いのである。


2023.10.29 (Sun.)

では昨日鑑賞した八王子市夢美術館『めぐりあう大津絵』について。どうでもいいが、夢美術館って名前だと、
演歌歌手が社長の愛人疑惑でおなじみの通販とコンサートの会社をどうしても想像してしまいますな。ゲスで申し訳ない。

笠間日動美術館の小絲源太郎コレクションと神戸女子大志水(しすい)文庫のコレクションという2部構成。
「芸術家の視点からの蒐集品と、研究者としての視点からの蒐集品」とのことだが、これがピタリとハマった展示だった。
前半は小絲コレクションで「大津絵とは何か」を徹底的に見せてくれる。大津絵はその名のとおり、近江国大津の名物。
大津宿は東海道五十三次の53番目にして最大の宿場だったそうで、比叡山や三井寺(→2010.1.9)が近いこともあり、
絵仏師たちが仏画を描いて売ったものが土産物や護符として定着したという。内容はだんだんと世俗化していったが、
江戸時代を通して人気があった。しかし安価なこともあって雑に扱われることが多く、保存状態のよい物は少ない。
富岡鉄斎や北大路魯山人がかなりのコレクターで、海外に流出したものはジャポニズムにも影響を与えている。
特徴は、庶民向けということで素朴な筆致であること。「鬼の念仏」が非常に有名だが、たいへんユーモラスであり、
また縁起のよい題材や教訓などが盛り込まれている。柳宗悦をはじめとする民藝業界が注目したそうで、まあなるほど。
小絲コレクションは「これが大津絵だ!」という典型的な作品を質でも量でも楽しめて、本当に充実した内容だった。

後半の志水文庫は研究者・信多純一の軌跡をたどる内容で、大津絵をめぐる状況を多角的に探るのが勉強になる。
大津絵は江戸時代の文芸作品や絵画作品の元ネタにもなっており、全国的に人気が広まっていたことが窺える。
たとえば近松門左衛門の浄瑠璃『傾城反魂香』では大津絵の絵師・浮世又平(岩佐又兵衛を意識したという)が登場し、
彼の描く大津絵お馴染みのキャラクター(大津絵十種)が絵から抜け出すという場面がある。これは歌舞伎にもなり、
さらにこれを題材にして歌川国芳(→2023.5.29)が描いた作品も展示されていた(『程芳流行大津絵』など)。
大津絵の軽妙な作風もいいし、それを踏まえる国芳もさすが。単なる大津絵の展示会で終わらない内容がすばらしい。

というわけでビフォーアフター、確実に賢くなって八王子を後にしたのであった。いや夢グループが悪いわけではないが。



2023.10.27 (Fri.)

生徒に頼まれて「ヘイトスピーチを言論の自由で通していいのか」について、見解を書くことに。

僕は生徒とのやりとりでは、敬体で文章を書いている。なお、ふだんの常体はこの日記を読んでもらってのとおりで、
自分自身のアイデンティティは昭和軽薄体にあるのだ(→2007.6.6)。内心、正統な後継者を目指すつもりで書いている。
さて、敬体で「読ませる」文章を書くのは、常体よりもはるかに難しい。だから基本的にはやらないのだが、
マジメな生徒とのやりとりはふだんから丁寧語になってしまうので、その延長線上で文章も敬体になってしまうのだ。

今回あらためて自分の敬体について考えてみたのだが、鴻上尚史の影響が極めて大きいことに気がついた。
丁寧でわかりやすく、そしてメッセージとして強く。そう考えると、僕の理想形は鴻上尚史に収束するのである。
劇場で配られるルーズリーフに手書き丸文字の「ごあいさつ」、また戯曲の「あとがきにかえて」。
どうもそのあたりが原体験として焼き付いているようだ。「ほがらか人生相談」の切れ味は唯一無二だし。
まあそんなわけで、常体については椎名誠と東海林さだお、敬体については鴻上尚史が僕の先達ということになると自覚。


2023.10.26 (Thu.)

『劇場版「SHIROBAKO」』。TVシリーズについてはこちら(→2018.4.18)。

いきなりピンチの状態からのスタート。どうしてそうなったのかが説明されるまで少し時間がかかったので、
その分だけこちらとしてはフラストレーションである。もうひとつ、これまでもちょこちょこ書いてきたように、
追い詰められてからのカウンターというのは制作側が思っているほど面白いものにはならない(→2023.9.27)。
ただでさえアニメ制作者の言い訳めいた感触が強い作品なのに、劇場版ではそれが凝縮されているように思える。
途中で展開されるミュージカル的演出も「アニメ業界を描いた作品だからアニメの技術を見せたい」というもので、
必要性をまったく感じない。冗長で話の流れを壊しているだけではないのか。やはり、基本的に自己弁護なのである。

話の大枠を意地悪に表現すると、あえてムサニを半壊させて、そこからの再生によってお涙頂戴している。
ただ、「一度壊れたものも全盛期と同じように再生することができる」というメッセージ自体はすばらしい。
特に劇場版ではTVシリーズから4年ということで、主人公たちの成長ぶりもたっぷり描かれており、そこは魅力だ。
なのでやっていることは悪くないというか、むしろいいんだけど、どうも素直に受け入れられないものがある。
クライマックスに向けて登場人物たちはいろいろ取り戻していくのだが、TVシリーズでやったことをもう一度やる、
その回顧によって受けを狙おうとしている。そこがなんだか閉鎖的なのだ。いや、それ、ただの繰り返しでは?となる。
最も引っかかるのは劇中劇で、劇中劇(『SIVA』)の新たなラストだけをじっくり尺をとって見せられたところで、
そこに至るまでのストーリーがまるまる欠如しているんだから、盛り上がるわけがないだろうと思うのだが。
ラストをつくり直す努力こそが本当のドラマであって、そこをきちんと描くべきじゃないのかと思うのだが。
死にそうになりながらつくり直している現場を描いても面白くならない、という判断なのかもしれないが、
そこを劇中劇でごまかされても。がんばる人を愚直に描いてこその「お仕事シリーズ」ではないんですかね?
あんたら、人間(キャラクターの)ドラマをつくりたいんじゃなくて、ただアニメをつくりたいってだけだろ。

とりあえず、小笠原さんと興津さんに窘められたいです。



2023.10.23 (Mon.)

今日はジャニー喜多川の誕生日! そしてオレも誕生日!
こないだマサルには「10月23日生まれは変態ばっかりなんよ!」と言われてしまったよ! ペレとやべっちに謝れ!
あと松井稼頭央にも磯山さやかにも渡辺直美にも謝れ! 小室真子さんはえーと……、好きにしろ!


2023.10.22 (Sun.)

大倉集古館『恋し、こがれたインドの染織-世界にはばたいた布たち-』が最終日なので慌てて行ってきた。
ちなみに大倉集古館は、現存する日本最古の私立美術館とのこと。訪れるのは初めてだが、正直これは……。
伊東忠太設計の国登録有形文化財だが、帝冠様式と中国のキメラって感じで、はっきり言って悪趣味でございましょう。

  
L: 大倉集古館。周辺のスケール大きめな港区感も好きではない。  C: 庭は狭いが物は置くぜ!  R: 2階ベランダ。

さて展示。「ヨーロッパに渡ったインド布とその展開」「東南アジア、ペルシャ、日本へ渡ったインド布とその展開」
「インド国内で使用された布」の三部構成だが、第1章の「ヨーロッパに渡ったインド布とその展開」がまず圧倒的。
昨年度、歴史総合の授業でやった内容が目の前にあるという事実が衝撃なのであった。これが歴史そのものか!と。
1枚つくるのに最低3年はかかるという綴織のカシミールショールだが、その恐ろしいほどの繊細さに度肝を抜かれる。
毛織物を得意にしていたイギリスをインド製の綿製品が魅了して産業革命へとつながったということで僕は説明したが、
模様という想像力、デザインへの憧れ、オリエンタリズム──まさに百聞は一見に如かず。なるほど、これは別次元だ。
これだけ見事なものをどうやってつくっているんだか想像がつかない。工芸には無名の天才がいるもんだと呆れるのみだ。
木綿の染色が難しくて当時はインドの独擅場だったそうだが、これを自力で再現したいという欲望は、深く理解できる。
産業革命を経て生産されたヨーロッパ製の綿製品は「倣カシミールショール」ということで展示されていたが、
やはり手作りと機械製では確かな品質の差があること、でも廉価で気軽に扱えるようになって広まったこともわかる。
歴史のリアリティを突きつけられて、その厚みというか絶対性、説得力に言葉を失った。百聞は一見に如かずなのだ。

デザインとして見ても、曼荼羅やイスラム幾何学と似ていながらも、それらとは違う独自性があるのが面白い。
動物のモチーフはきわめて少なく、植物、花が多い。ペイズリーは生命の源である胎児、勾玉ということで納得。
そういったデザインソースもひっくるめてヨーロッパは模倣したわけだが、そこには純粋な敬意が確かに見えるのだ。
またその一方で、手描きの文様とプリントからは、浮世絵の版画や陶磁器の絵付けとの関連性をなんとなく思う。
布と紙、そして陶磁器。印刷の技術的側面という視点からしても、これは示唆するものが大きいのではないか。
そしてヨーロッパで発達した木綿モスリンの繊細さもまたとんでもない。知識が飛躍的に広がる快感を味わった。

展覧会図録が大人気で品切れだったが、僕も資料としてぜひ欲しかったので迷わず注文したのであった。
純粋に文様のデザインを味わうという点でも楽しめたが、それ以上に本物の歴史に出会えたことが嬉しかった。



2023.10.19 (Thu.)

六本木ヒルズの東京シティビューでやっている『手塚治虫 ブラック・ジャック展』を見てきたよ。
ブラック・ジャック連載開始50周年ということでの企画だそうで、開催期間は1ヶ月。けっこう慌てて突撃。

  
L: BJ邸の居間を再現した一角。椅子には実際に座れる。  C: こちらはシウツ室よのさ(ピノコ的表現)。
R: 何かが再現されているのだが、何を再現しているのかよくわからない机。「ベトナム和平合意」の新聞がある。

同様のパターンでは『冨樫義博展 -PUZZLE-』(→2022.12.9)があったが、その反省がしっかり生かされた展示である。
具体的には、実に500点以上にも及ぶ直筆原稿がいちおうテーマに沿っているものの実質ランダムに並べられており、
来場者は空いているところから見ていける工夫がなされているのがすばらしい。混雑を想定した対処がとても上手い。
原稿は第1話「医者はどこだ!」を丸ごと展示してスタートし、以後は膨大な各話からだいたい見開き2ページずつ、
という豪華さ。イヤというほど手塚治虫の生原稿を見られる、たいへんありがたい機会なのであった。ちびりそう。

生原稿は印刷されたものとほとんど変わらない完成度で、ホワイトや切り貼りでの修正はかなり少ないと感じた。
スクリーントーンを使うのは本当に最小限で、影から何からぜんぶ手で描いているのが凄まじい。他にも連載を抱えつつ、
これを毎週やっていたとはいったいどういうことなのか。しかも物語はたいへんテンポがよく、構成が考え抜かれている。
というよりは、ページ数に応じた最も効果的なコマの展開が、自動的に生み出される脳みそだったのだろう。恐ろしい。
アングル・演出も含めてマンガとしての正解が完成されている凄み。一にして全、という言葉を見せつけられている感じ。

展示を見ていくと各話の展開を思い出し、その濃密な人間ドラマに圧倒されてしまう。
『火の鳥』(→2003.9.42010.2.16)もそうだが、人間の強さと愚かさがこれでもかというほど的確に描かれている。
仏教の四苦八苦では根本的な「四苦」として生苦・老苦・病苦・死苦が挙げられるが、そのすべてに医学は関わる。
そんな医学を軸にするからこそ描ける本質があるわけだ。またもうひとつ鋭いのが、高額な報酬を要求する点。
金が直接的に絡むからこそ、われわれ読者も登場人物と同じ次元に引き込まれてしまうという仕組みなのである。
そうして人間の根源的な部分を設定に組み込んだうえで、古今東西のサブテーマが縦横無尽に展開されていくのだ。
僕は「日本を代表する芸術作品をひとつ選ぶなら『火の鳥』」と公言するほどの『火の鳥』大好きっ子だが、
きわめて象徴的な主人公がいるという点で『ブラック・ジャック』に軍配を上げる人がいるのも十分理解できる。
また、時間軸を豪快にすっ飛ばす『火の鳥』に対し、『ブラック・ジャック』はつねに「現代」に寄り添っており、
その点にも普遍的な価値があると思う。人間性──つまり人間の強さと愚かさを見事に描ききっているからこそ、
『ブラック・ジャック』の「現代」は現在進行形でありうるのだ。残酷な時間の経過にも耐えうる古典になっている。

 出口のところにいた間久部緑郎。彼を主人公にした『火の鳥 大地編』を読みたかった……。

蛇足ではあるが、今回の展示で再認識したのはピノコのかわいさである。美人さと表現した方がいいかもしれない。
ロリ的嗜好を正当化する表現として「成長へのベクトルを内に秘めた肉体」と言ってのけたのはHQSの某先輩だが、
あらためてピノコをじっくり見てみると、見事に「将来美人さんになる顔」だと思えたのである。手塚おそろしや。

  
L: 六本木ヒルズ森タワー52階から眺める東京。南東方向、水平線の手前にお台場がうっすら見える。
C: 展示室から出て北西、青山霊園の先に国立競技場。  R: 南西、広尾ガーデンヒルズが要塞のようにそびえる。

量が膨大だったので、ぜんぶ見るのに1時間半かかった。でもそれだけたっぷり手塚治虫の生原稿を味わえて幸せなのだ。



2023.10.17 (Tue.)

谷村新司が亡くなったとのこと。

今でもはっきり覚えているのが、谷村新司といえばエロなトークが得意ということで知られているんだけど、
「エロオヤジ」ではなく「エッチなおじさま」と呼ばれたい、と言っていたことである。やっぱり一流は違うなあと。
おかげで僕の中では「谷村新司=エッチなおじさま」という公式が揺るぎないものとして成立しているのだ。
男として目指すべき「エッチなおじさま」の境地、その第一人者が亡くなられた。謹んでお悔やみ申し上げます。


2023.10.16 (Mon.)

『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』を見たよ(過去ログ →2018.2.52019.6.172021.4.8)。

あんこうチームが脱落するという衝撃のエンドから待たされること2年半。大洗の成長ぶりを味わう展開となるわけだが、
正直なところ、今まで以上に何をやっているのか、何がどうなっているのか、見ていてもワケがわからねえのであった。
継続高校のミカもかなりの戦術家であり、そこに残ったメンバーが知略で勝っちゃうと西住殿の立つ瀬がないのである。
というわけで総力戦に持ち込まざるをえなかったのであろう。しかしそのせいで勢いまかせの映像勝負になった感じ。
背景が雪で白一色なのは作画の負担を軽減するためかもしれないが、それによって客観的なわかりづらさが増している。
相変わらず凝り方はすごいんだけど、本質的なゲームの楽しみが改善されないので、不満は募るばかりである。

さてここからはネタバレになってしまうが、予想が当たって次回からいよいよ決勝戦である。
(しかしまあ、大洗×継続は南葛×ふらの感、聖グロ×黒森峰は東邦×武蔵感があり、キャプ翼の雰囲気がありますな。)
噂されていた島田愛里寿の編入を本当にやるとは。第5話で理由が明かされるんだろうけど、また2年半悶えるのか。
最後の第6話までは5年間悶えるのか。ファンは覚悟が極まっているからいいけど、やっぱり長いよねえ。


2023.10.15 (Sun.)

では信州ダービーなのだ! 天皇杯長野県予選の決勝(→2023.5.7)、長野ホームのJ3・第10節(→2023.5.13)に続く、
今シーズン3度目となる信州ダービーである。戦績はここまで長野の2勝で、松本山雅としては絶対に負けられない状況だ。

それにしてもこんな形で信州ダービー第3戦を迎えることになるとは思わなかった。5月の第2戦に勝利した長野はなんと、
クラブ史上初のJ3首位に立つ。が、ここからほとんど勝てずに負け続け(八戸では0-4の大惨敗だったなあ →2023.7.8)、
坂道を転がるどころではない崖からの自由落下ペースで順位を落としていった。そして8月28日にシュタルフ監督は解任。
3週間前に4位ながら今治の監督を解任された高木理己氏を新監督に迎えることとなった。いや、一寸先は本当に闇である。
対する松本山雅は霜田監督への批判の声も大きいがどうにか持ちこたえ、再びJ2昇格圏へ入り込もうとしているところ。
J2昇格へ向けて脇目も振らずまっしぐらだった昨年と比べると、ダービーマッチとしての意識は少し戻ってきた感触。

 日記を書いてから小木曽製粉所の蕎麦を食ってシャトルバスに乗る。

シャトルバスの行列は想像したほど混んでおらず、つまりその分だけ松本山雅に対する地元の熱が落ちたのかなと思う。
しかしアルウィンに着くとなんだかんだで緑のユニを着た人はいっぱいいた。オレンジを飲んでやる!ということで、
ペットボトルのなっちゃん片手に歩いている人もいたので、なんだかんだで一定の盛り上がりは維持されている模様。

  
L,C: 芝生広場はさまざまな出店で賑わっているのであった。  R: 農産物の直売がいかにも長野県でいいではないか。

  
L: 雨がやんだおかげで活気があるのであった。  C: が、ガンズくんのエア遊具は雨の影響でお休み。
R: 福島ユナイテッドの農業部も店を出していた。どういう縁があって出店しているのかはよくわからない。

いざ入場。南長野はほとんど自由席だから行列が長くて困るが、アルウィンは指定席のエリアが広いので楽でいい。
なお、SS席とS席は完売していたが、A席と自由席は当日券を売っていた。信州ダービーで満員にならないのは淋しい。
(それでも入場者数は12,457人で、5月の南長野での信州ダービーと比べて1人少ないだけだった。昨年は15,912人。)
そしてもうひとつ淋しかったのが、今年のアルウィンでは信州ダービーグッズがなかったこと。そりゃないだろうと。
松本山雅としては信州ダービーをone of themとしたいのか。盛り上げる気をそこまで感じなかったのが実に残念だ。

  
L: 去年もこんな感じの構図で撮った気がするが、ホーム側サイドスタンド裏。  C: アルウィン内の喫茶山雅。
R: ディスプレイに「信州ダービー」の文字はあるが、そこまで特別感がない。なんとも残念な対応である。

選手入場前、『信濃の国』を歌う山雅サポーターと無視する長野サポーター。まあかつての分県騒動のときには、
長野側が議会で歌ったんだけどね。国歌斉唱のような感じで、きちんと歌う時間をとる方がいいと僕は思うのだが。
山雅サポは去年は歌っていなかった気がするので、やっぱりサポーターレヴェルではダービーを意識しているようだ。

  
L: アウェイ側のサイドスタンド。半分を緑が押さえているということは、長野サポの盛り上がりはまだまだ。
C: エプソン社長によるキックイン。松本山雅の会社サイドはダービーよりエプソンを強く意識している印象だなあ。
R: 山雅のスタメンは背番号40台ばっかり。DF4人にFW4人ってペレの時代の4-2-4かよ。まあ長野もFWいないけど。

試合が始まると松本が全力で攻め続ける。しっかり気持ちの入った攻撃で、前回の対戦とは正反対の構図となる。
あのときは長野の勢いに松本の選手たちが戸惑っていたが、今日の松本はとにかく前へ前へと突き進んで圧倒する。
長野も反撃しないわけではないのだが、松本の守備陣は静かに、でも明らかに燃えており、長野は前に運べない。
セカンドボールを拾うのはほとんどが松本で、長野が拾ってもそのままプレスをかけてボールを自由に出させない。
だいぶ手詰まりな長野に対し、松本はしっかり攻めきって前半だけで14本のCKを奪う。完全に一方的な内容だった。

  
L: 試合開始から松本が長野を圧倒。かなり一方的に押し込む展開となる。さすがに長野相手に3連敗はできないもんなあ。
C: 長野も反撃しないわけではないが、松本の守備が集中していて思うように中に入れない。遠めからシュートを試みるの図。
R: 青空が見えて日が差す時間帯も。松本はJ3得点ランキングのトップを独走する小松を中心に長野のゴールに襲いかかる。

  
L: スピードに乗って攻め込む松本。テンポよくボールを動かして長野をどんどん押し込んでいく。
C: ボールを奪ってカウンターを発動の図。  R: 松本で目立つのはやはり小松。勉強になるプレーを連発。

圧倒的に攻める松本で最も危険な匂いを漂わせているのはやはりFW小松で、その柔らかいプレーは明らかに別次元。
相手を背負いつつ競り合うと肩でボールをコントロールして落とすなど、体の使い方、対処の解釈が違うのである。
マークがキツいのは当たり前だが、それでもケガしないように配慮しながらしっかり役割を果たしてみせる。

  
L: というわけで小松特集。ボールをキープして味方の上がりを待つ。  C: 競り合って味方にボールを確保させるの図。
R: 44分、味方がつないで山口が出したボールを菊井がスルー。これに小松が反応してネットを揺らすがオフサイドの判定。

前半終了間際の小松のシュートは惜しくもオフサイドで、いちおうスコアレスでハーフタイムを迎えたものの、
松本の方に得点の匂いがプンプン漂う内容。長野も後半に勝負を賭けるだろうが、松本と比べると選手の力に差を感じる。
先週スタジアム観戦した天皇杯準決勝の熊本×柏戦では、J1とJ2の差を痛感することとなったが(→2023.10.8)、
ログでは「守備でのポジショニングや体の向き、攻撃でのボールのコントロール精度」を具体的な差として挙げた。
やはりJ3は技術が大きく落ちるが、特に、急に来たボールをダイレクトでコントロールする技術に決定的な差を感じる。
上位リーグではひとつひとつのボールが、味方にとってはいい位置、相手にとってはイヤな位置に的確に送られる。
そうしてわずかなプレーの精度を積み上げ、どんどん相手を追い込んで大きな差をつけるサッカーをやっているのだ。
前半を見た限り、この点において長野は明らかに松本と比べて劣っていた。どうしてもボールの扱いが雑なのである。

  
L,C: 後半に入って攻め込む長野。しかし松本の守備は集中を切らさない。  R: 長野のカウンター。オープンになってきた。

後半の長野は少し改善してかなりオープンな展開となってくるが、シュートがなかなか決まらない。
松本も粘ってなかなか状況をひっくり返すまではいかず、双方とも気持ちはしっかり入っているが決定力に欠ける、
そんな展開が続く。技術的には確かに3部のレヴェルだが、目の前の一戦にすべてを賭ける姿勢は見応え十分の好ゲーム。

  
L: CKからヘディングシュートを放つ小松。  C: これを長野の守備は撥ね返し、安永がダイレクトボレーを狙うがミートせず。
R: 地元出身で今シーズンから10番をつけるMF山中がシュート。というか、この位置でしっかり守っている小松もすごいと思う。

そして試合終了間際の86分、GKが大きく蹴ったFKを渡邉千真が競り合って頭で落とすと、FW野澤が抜け出す。
バウンドするボールを冷静にループで蹴り込んで松本が決勝点を奪ったのであった。最後にやっぱり地力の差が出たか。

 GKをよく見てシュートを決める野澤。やっぱり松本の方が地力が上だなあと思った。

このまま1-0で松本が雪辱を果たしたのであった。アルウィンは歓声に包まれ、スタンドのあちこちで感情が爆発。
喜んで『信濃の国』を歌う山雅サポたち。松本山雅は会社レヴェルではダービーの特別感を出さなかったわりには、
サポーターはしっかり「ダービーマッチでの勝利」を喜んでいる。パルセイロだけには負けられないー♪と歌っているし。
ここまで2敗でナーヴァスになっていて、ダービーを変に意識して硬くなったらマズい、という気持ちになるのはわかる。
でもやっぱりせっかくの機会なんだから、サポーターも会社も信州ダービーを強く意識して盛り上げてほしいと思う。
去年は去年で噛み合っていなかったし、今年は今年で噛み合っていない感じがする。サポと会社に一体感が欲しい。

  
L: 試合終了のホイッスルが鳴り、アルウィンは歓喜の声に包まれる。これで松本は6位に浮上し、J2昇格の可能性を残した。
C: 選手を拍手で迎える長野のゴール裏。レヴェルアップに期待しよう。  R: メインスタンドに挨拶する松本の皆さん。

帰りの特急あずさ車内でいろいろ考える。信州ダービーそのものについてよりも、J1とJ2、そしてJ3の差についてだ。
かつてのJ2は、選手の技術を監督の戦術で補うサッカーだったと認識している。しかしコロナの間にレヴェルが上がり、
今はどのカテゴリーでも勝利に占める技術の割合が大きくなってきたと思う(代表のドイツ戦もそうだ →2023.9.10)。
もしかしたら、今の日本のサッカーは、戦術よりもまず技術を育てることが勝利につながる段階にあるのではないか、
そう考えさせられる内容だった。「選手の技術を鍛える監督」「選手の能力を引き出す監督」が求められる時代なのかね。


2023.10.14 (Sat.)

明日は信州ダービーということで長野県にゴーである。昨年は安曇野・大町を動きまわったが(そしてカメラを壊したが)、
今年はあずさでさらに先、白馬まで行っちゃう。白馬村に来るのは初めてだと思うので、天気もいいし、楽しみである。

 
L: あずさの車窓から見た青木湖。幼少期に泳いだことがある気がするのだが……。  R: 山頂で舞うパラグライダー。

新宿を出たのが8時ちょうどのあずさ5号で、白馬に着いたのが11時42分。午前中をほぼ犠牲にした感じである。
本当はもっと早い時間に到着できるとよかったのだが、ダイヤの都合でこれが限界。致し方ないのだ。
まずはやっぱりエネルギーを充填しないといけないわけで、駅前の土産物店2階にあるレストランに突撃する。
観光客だけでなく地元の消防団の皆さんもいて、けっこうな繁盛っぷりなのであった。カツカレー旨かった。
そして反対側の土産物店でレンタサイクルを借りる。電動だとお値段が跳ね上がるが、思いきって決断する。
土産物店のおばちゃんによると昨日まで雨の変な天気が続いていたそうで、今日は最高の秋晴れとのこと。やったぜ。

  
L: 白馬駅に到着。白馬に来たのは初めてだと思う(11年前に通過はしている →2012.8.11)。長野県だけど未踏の地で新鮮。
C: 駅のロータリー脇の土産物店。昭和の雰囲気が微笑ましい。  R: 駅から延びるメインストリート。北アルプスがきれい。

まずはやっぱり役所なのだ。白馬村役場は駅の北西、メインストリートから奥まった位置にある。
手前のAコープで飲み物を確保すると、いざ撮影を開始。高さがないのはいかにも役場だが、建物じたいは大きめ。
1979年の竣工で、北にそのまま白馬村多目的研修集会施設がくっついており、白馬村観光局はこちらに入っている。

  
L: 駐車場越しに眺める白馬村役場。土曜日なのにいっぱい。  C: 白馬村役場。高低差をそのまま生かしている。
R: 反対側の北東から眺めたところ。手前の木々でわかりづらいが、右側は白馬村多目的研修集会施設である。

  
L: エントランス手前のオープンスペース。  C: 右を向いてエントランス。規模の大きい感じは80年代の到来を予感させる。
R: 白馬村多目的研修集会施設の前から眺める白馬村役場。低層の建物のわりにはピロティなどスケール感がやけに大きい。

  
L: 白馬村多目的研修集会施設。  C: 裏にまわり込んで北西から眺める。右が村役場、左が多目的研修集会施設となる。
R: 白馬村役場、南側の側面。多目的研修集会施設とセットで面積があり、なかなか全体像をつかみづらい役場だ。

そのまま裏にある平川神社八幡宮に参拝する。いかにもこの辺りの産土神といった雰囲気が漂う神社である。
隣には護国神社も鎮座している。御守はないようだが、きちんと二礼二拍手一礼。すっきりした気分で神社を後にする。
が、いざ出発!とペダルを踏み込んだところで虫が口の中に入った。すぐに吐き出したものの、しっかり脚を感じたぜ。
無味無臭だったからセーフ。何の虫だったかはわからないが、自転車をこいでいてやたら虫が顔に当たって困った。

  
L: 平川神社八幡宮。  C: 境内に入って眺める拝殿。左隣に護国神社がある。  R: 奥の本殿。

さて白馬でレンタサイクルを借りた最大の目的は、重要伝統的建造物群保存地区である青鬼(あおに)を訪れるため。
最初、地図で位置を確認して「こんなん公共交通機関ないやん……」と途方に暮れ、信濃森上駅からの徒歩も覚悟したが、
白馬駅前でレンタサイクルが借りられることがわかってから計画が一気に進展。満を持してのアタックとなったのだ。
国道148号を北上していき松川を渡るが、まあとにかく冠雪しだした北アルプスの美しさといったら! ただ見惚れる。
今年は北アルプスでの登山の事故がやたらと多かった印象だが、中高年が魅力に惹かれてしまうのもわかる気がした。
白馬三山の最高峰は白馬岳(しろうまだけ)。後立山連峰(→2015.8.2)の最高峰であり、人気の日本百名山である。
もともとは春に雪解けで現れる黒い馬の形を「代(しろ)掻き馬」と呼んでおり、それが「しろうま」と縮まって、
「白馬」となってしまったそうだ。でも訓読みが音読みの「はくば」に転ずるのは、いかにも日本語らしい現象だと思う。

  
L: 松川橋から眺める北アルプス。縮小した写真だとわからないだろうが、息を呑むほどに美しいのだ。
C: 白馬三山をクローズアップ。左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。この威容、登りたくなるのは少しわかる。
R: 橋のたもとにある酒屋がえらく個性的なデザインなのであった。シャチホコ? 逆エビ?

信濃森上駅の手前で国道から分岐して姫川第二ダム方面へ。穏やかな長野県の田舎の景色に、落ち着いた気分になる。
どこまで行っても美しい山並みが人間の生活を見つめている、それこそが盆地を問わない長野県の本質だと思うのである。
それにしても北アルプスは強烈な存在感だ。南アルプスはただの緑の壁でしかないが、北アルプスは厳然としている。

  
L: いかにも長野県の田舎らしさ全開の光景が広がる。人々の生活を見つめる北アルプスは厳しくも頼もしい。
C: 姫川の対岸。この山を越えた向こうに青鬼があるのだ。  R: 姫川第二ダムから見上げる大糸線の第一姫川橋梁。

姫川の対岸はなかなか急な山道で、電動自転車にして正解だったと心底思う。おかげで思ったよりスムーズに到着できた。
青鬼は完全に山の中の集落ということで、本当に小規模。伝統的な家屋は15棟もない。今までの重伝建でいちばん小さい。

  
L: 青鬼へと向かう山道。  C: 青鬼集落に到着。ここより先に集落はなく、棚田が広がるのみである。
R: 青鬼で典型的な家屋の一例。建てられたのは江戸後期から明治後期にかけてだが、全般的にきれいにしてある。

最も代表的な建物であると思われる「お善鬼の館」に行ってみる。1908(明治41)年に建てられた旧降籏家住宅で、
改修して交流・体験施設として利用されている。裏にトイレが併設されていたので入ったが、カメムシ天国で困った。
というか、この時期の青鬼はどこもカメムシだらけ。さっき口に入ったのがカメムシだったら、オレは即死していた……。

  
L: お善鬼の館。たいへんフォトジェニックに改修されている。  C: 反対側から眺めると家屋が並んでたいへんいい感じ。
R: 裏から見たお善鬼の館。こんな感じの家屋がのんびりと点在している。が、正直なところ、ひと気はあんまりない。

  
L,C: お善鬼の館の脇にあるガッタリ。昭和初期に水力で米をついていた。  R: 青鬼の案内図。小規模なのが一目瞭然。

「青鬼」という地名がなんとも特徴的だが、伝説によると東隣の村に鬼が現れて暴れたので村人が追い出し(鬼無里村)、
穴に閉じ込めた(戸隠村)。すると今度はこちらの村に鬼が現れたが、改心したのか鬼は村人を助けたとのこと。
それで鬼を神の使い「お善鬼様」として神社で祀り、村は青鬼村と呼ばれるようになったそうな。めでたしめでたし。

  
L: 青鬼神社の石段から見た家屋。見てのとおり集落は南向きの斜面にあり、家屋は南面して建てられているのだ。
C: これまた青鬼の一般的な風景。緩やかな斜面と同じ向きで並ぶ家々。  R: 棚田方面への出口から集落を振り返ったところ。

集落の東端にはイノシシ除けのゲートがあり、そこから坂道を上っていくと棚田が広がっている。
さっき書いたように、この棚田がどん詰まりである。展望スペースから集落を振り返ってみたのだが、
中心部は右手の森に隠れてしまってぜんぜん見えない。かわりに白馬の街と北アルプスが遠くに見えて、
手前の小ぢんまりとした里と雄大な山々との対比が印象的だ。やはりこれもまた、長野県の本質なのだろう。

  
L: 青鬼の棚田へと向かう一本道。  C: 展望スペースから棚田を眺める。  R: 姫川対岸の街と山々をクローズアップ。

最後に青鬼神社に参拝する。上述のように祀られているのは善鬼大明神こと「お善鬼様」。創建は806(大同元)年で、
つまりはそれだけ古くからこの集落があるということになる。石段の参道は長く、いかにも村の鎮守らしい雰囲気である。

  
L: 青鬼神社への入口。  C: 苔生した長い石段を上っていく。  R: 本殿向かって左手に神楽殿。物置になっている。

  
L: 青鬼神社の本殿。拝殿はなくていきなり本殿。  C: 本殿を横から見たところ。1893(明治26)年の再建である。
R: 本殿の右隣にある諏訪社。これは覆屋であり、中には1747(延享7)年築の本殿が収められているそうだ。

 本殿を背に境内を振り返る。僕には「荘厳」という言葉が思い浮かぶ。

これにて青鬼探検は終了。帰りの坂道はあっという間で、位置エネルギーの偉大さを実感するのであった。
姫川第二ダムを戻ると国道ではなく西へと向かう道に入る。松川に沿って山へ向かっていく道なので、
これまたなかなかのじっとりとした上り。しかし雰囲気はなんとなく高原の観光地らしさが漂っており、
駒ヶ根のドライブイン太郎を思いだす。祖母の妹である森おばちゃんが経営しており、さんざんお世話になったのだ。
すずらん牛乳を飲みながら『がんばれゴエモン2』の伊賀で阿鼻叫喚した記憶が蘇ってくるのであった。
昭和の高原の観光地らしさが原風景に刻み込まれている辺り、やっぱり自分は長野県民なんだなあと思う。

白馬大橋から眺める白馬三山も見事だったが、手前の山が近くなってしまう分だけ焦点がブレる感じがする。
そんなことを考えつつ白馬八方エリアへと入る。白馬八方尾根の麓のこの辺りは完全にリゾートなのだが、
温泉もあるので昔ながらの雰囲気も残っているのが面白い。村というベースの上にいろいろごちゃ混ぜ感がある。
その中心に鎮座しているのが、霜降宮こと細野諏訪神社。無人で御守はないようだが、きちんと参拝しておく。

  
L: 細野諏訪神社の入口。八方ゴンドラリフトへ向かう道の裏に位置する。  C: 境内入口。  R: 緑に包まれる静かな境内。

  
L: 拝殿。雪を意識した簡素さという印象。  C: 大きめの幣殿の奥に本殿。  R: 脇にある若宮社。

とりあえず周辺を徘徊してみるが、歩いているのは登山客がチラホラという程度。夏は高原リゾートで儲かるはずで、
冬はスキーで儲かるはずだ。もしかしたら今がいちばんの閑散期なのかもしれないと思う。そういうことに僕は疎いのだ。
八方の店は特に多国籍な印象で、白馬は海外でそんなに有名なのかと驚く。訪日観光客はどんどんマニアックになっとる。

  
L: 八方ゴンドラリフトへ向かう道。HEADの店やらメキシコ料理店やらに混じって純日本的な旅館もあり、実に多国籍。
C: いかにも外国風なカフェ。  R: 江戸時代初期から八方地区にあるという薬師堂。現在の建物は1965年の再建。

  
L: 八方地区の中心付近。もともと村らしい道が複雑に入り組んだ土地だが、オープンスペースで上手く広場感を出している。
C,R: 昔ながらの店舗とオシャレな最近の店が混じっており、おかげでどことなく高級感と親近感を両立させている印象だ。

  
L: 白馬八方バスターミナル。八方インフォメーションセンターにもなっており、2階はモンベルの店となっている。
C: 白馬八方温泉・八方の湯。清潔だし温度絶妙だしで最の高。  R: 八方の交差点で名残惜しい気分で振り返る。

では白馬に来たもうひとつの目的である白馬八方温泉へ突撃なのだ。1982年にボーリングで掘り当てたそうだが、
pHが11とかなり強いアルカリ性で、これは日本でもトップレヴェルだという。特徴のある温泉は大好きなのだ。
八方の湯は2014年にオープンしたそうだが、かなりきれいに維持されている。温度も絶妙でとにかく最高でござった。

 八方の湯にあったカレンダー。6月始まりなのがいかにも山屋さんである。

帰りはまっすぐ駅へと向かうが、途中にスノーピークの店舗があってめちゃくちゃ大人気なのであった。
せっかくなのでちょろっと見てまわるが、北側のスタバが実に隈研吾。エヴァ参号機に寄生したバルディエルみたいだ。
スノーピークはチタン製のキットがいろいろあるので気にならないわけではないが、社長のドタバタがなんともねえ……。

  
L: スノーピーク ランドステーション白馬。客もいっぱい、駐車場の警備員もいっぱいで雇用を生み出していますなあ。
C: スタバを併設。これを見て隈研吾の設計とわかるのであった。太宰府スタバ(→2017.8.5)で味をしめて拡大した感じね。
R: 店舗の裏は芝生の広場となっており、アウトドアのイヴェントをやるそうだ。宿泊施設も併設し、隣には温泉もある。

以上でたぶん初めての白馬散策はおしまい。レンタサイクル返却時に「青鬼まで行きました」と言ったら呆れられた。
電動だったら十分行動範囲内だと思うのだが。おばちゃんは僕がジャンプ台に行ったと予想していたそうだが、
その発想はなかった。まあそれはいずれ機会があったら見てみましょう。しかし天気がいいと何でも楽しいな!

各駅停車でのんびり揺られて松本まで戻る。少し早いが駅ビルの榑木野で盛り蕎麦の大盛をいただいた。
昨年は朝蕎麦をいただいたのだが(→2022.10.30)、朝営業はもうやめちゃったみたいで非常に残念である。
その後、バスターミナル地下で買い物をしたが、松本山雅の酒や牛乳など、山雅関連商品にびっくりするのであった。

  
L: 榑木野の盛り蕎麦(大盛)。やっぱり旨い。切り方繊細。  C: 山雅仕様の真澄。諏訪は山雅の手に落ちたか……。
R: 今回いちばんびっくりしたのが、こちらの山雅牛乳。サポーターがすすんで飲むのか。長野県らしいっちゃらしいが。

さて今回の宿は、商業ビルの上階にあるホテル。どうやらもともとデパートで、カプセル中心に改修した感じである。
外国人も含めて客がめちゃくちゃ多く、チェックインするまで行列でやんの。駅前商業地の地盤沈下が起きて久しいが、
こういう形でしぶとく生き残るものなのか、と驚いた。いや、社会学的に勉強になります。おじさんびっくりだよ。


2023.10.13 (Fri.)

『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』。あんまり期待せずに拝見。

冒頭からキャッツ・アイでツッコミ待ち。個人的にはそれはそれで嫌いではない演出なんだけど、
怪盗の目的をシティーハンターに寄せてしまうのはやっぱり疑問である。まあ、あくまで好みの問題だが。
テンポのよさは相変わらず。キャラクターの掘り下げ改善や舞台空間へのこだわり度合いが薄くなったことなどで、
「シティーハンター的要素」を最優先した印象は、今作についてはあまりない。リズムのよいギャグという感じ。
ただ、舞台空間を新宿とともにお台場に広げたのはどういう意図なのか。平成初期には存在しなかったお台場で、
単なる回顧ではないことを強調するつもりなのか。でもお台場の描き方は単調で、無理して闊歩させている感触である。
声優についてもやっぱりヴェテランが苦しい。それに対して脂の乗っている中堅声優はさすがの力量で、
究極的には沢城みゆきの実力を味わう映画になっている。ジャイスネコンビは狙ってキャスティングしているな……。

さて、ここからはネタバレ風味。制作側は前作から「シティーハンター的要素」にこだわっているわけだが、
原作が避けてきたことをやってしまったのは、こりゃどうなのか。おそらく次回作を意地でもつくって、
三部作にしたいわけだ。そこを考えると致し方ない退場劇とはなる。まあサブタイトルもそういう意図だろうし。
それでもやっぱり原作ファンとしては、絶対的に違和感が拭えないのである。そうしないでやりきるのが腕だろうに。
というわけで、前作からの改善点はわかるけど、やっちゃいかんことをやっとるのでやっぱり評価は低めとなる。

個人的に最も「よけいなこと」なのは、ルパンとガンダムである。意味がわからない。むしろ世界観を壊すだけだ。
意外なコラボ!とか必要ないのである。そんな暇あったら本編しっかり練り込まんかい! 本末転倒だバカモノ!


2023.10.12 (Thu.)

『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』。新作映画の予習ということでDVDを借りてきた。

シティーハンターといえば、代名詞とも言えるフレーズが「もっこり」である。
かっこいいオープニング決めといて最後に「もっこり」で、まず大爆笑。でも「もっこり」はセリフだけで、
絵としてはないのが現代のコンプライアンスなのねと思う。いろいろ気を遣ってのリヴァイヴァルなのだなあと。

僕にとって『シティーハンター』はもっぱら原作マンガで、アニメにはとんと興味がない。理由は神谷明である。
前に書いたとおり、二枚目と三枚目が一体化されていない演技がまったく気に食わないからだ(→2005.1.27)。
なので以前のTVシリーズやスペシャル番組をきちんと見ていないため、それらとの比較ができない。
そのうえで感じたことを書くと、異様にテンポがいいのが気にかかる。むしろテンポが早すぎてワケがわからない。
なんだか予告編のようなスピード感でギャグとシリアスの緩急が続く。「タイパ」を意識してそうなっているのか。
これは後述する「練り込んだドラマの欠如」をもたらす要因になっていると思う。話が薄っぺらいのである。

やけに新宿にこだわるストーリーのわりには、まったく新宿を描けていないのが非常に腹立たしい。
清濁併せ吞む新宿という空間を描くことに時間をかけず、ハイテンポなギャグとシリアスの応酬に時間をかける。
なるほどそうして「シティーハンター的要素」をどんどんぶち込んでいるわけだが、逆を言うとそれしかやっていない。
たとえば家族の過去や敵が悪に堕ちた理由。また、なぜ新宿なのかという理由(主人公が暮らすから、ではダメだ)。
本来なら必要である練り込んだ設定を見せていく機会を犠牲にして「シティーハンター的要素」を優先しているので、
展開が唐突になってしまうのだ。新宿讃歌をやろうとしているが、観客に感情移入させるほど新宿を描けていない。
すべてにおいて下準備が足りないので、ドラマが薄っぺらい。そこをヴォーカル曲で盛り上げているつもりなのか。
いちいちヴォーカル曲が入るのが鼻につく。アクションではリアリティよりドラマ性を優先するのはいいとしても、
過剰演出で醒めてしまうレヴェルである。また、キャッツ・アイの使い方もこの設定でいいのかと疑問に思う。
結局はすべてにおいて、制作側が想定している客に対して「シティーハンター的要素」を連発することで、
ただ媚びているだけではないのか。これは本物のシティーハンターなのか?……そう思えてしまうほどの茶番だった。

ヴェテラン声優の演技は正直かなり苦しい。神谷明は三枚目の切れ味は落ちていないし、アクションも違和感ない。
が、抑えた二枚目の演技がだいぶひどい。役者にとって難しい演技とはそこなんだな、と逆説的に理解できた。
まあ劣化したのは声優だけではないのだが。ストーリーをまるで練り込めていないことが、とにかく致命的である。

でもやっぱり、いちばん悲しかったのはエンドロールでの「In memory of 藤田淑子」だなあ。キテレツぅー!


2023.10.11 (Wed.)

ついに藤井八冠が爆誕である。初タイトル奪取からひとつも失冠することなく達成してしまった。
ほんの5年前まで8人8冠の群雄割拠、戦国時代だったのに(クリアファイルがめちゃくちゃかっこいいことで有名)。
来たるべき時が来たのかもしれないが、実力がすべての世界において、これはもうとんでもなく恐ろしすぎる快挙だ。
いや、もう、言葉がない。こんなことが可能なのかと。何の才能もねえ自分には想像がまるで及ばない領域ですわ。

あちこちで反応があるように、自分も永瀬先生の人間くささに心を打たれた一人であります。
極限状態ではあるものの、それまで想定どおりに運んでおいて、まさかの失策。それに気づいたときの心の叫び。
八冠制覇もドラマだが、こっちのドラマも壮絶で、人間として共感する気持ちが止まらない。同情ではない、共感。
そしてみんながそうなっている。game(英単語にするのが的確 →2020.9.6)にすべての感情が乗っかった瞬間を見た。
これがあるからこそ、プロの指す将棋というものは絶対的な存在価値を有するのだろう。何かの真理を目にした気分だ。


2023.10.10 (Tue.)

テストづくりが佳境でヘロヘロである。確実に授業が増える来年度が本当に恐ろしい。



2023.10.8 (Sun.)

3連休の中日はサッカー観戦である。天皇杯準決勝・熊本×柏だ。大木監督率いるJ2熊本のジャイアントキリング、
どこまで行けるのかこの目で見てやろうというわけである。日立台での観戦は、実に16年ぶりだ(→2007.11.24)。
当時の大木さんはJ1在籍2年目の甲府を率いていた。が、あまりにも予算の規模が小さく、J2降格となってしまった。
その悔しい瞬間を目の当たりにしたのが、16年前の日立台である。自転車で行ったのだが、あのとき僕は若かった。

せっかくなのでいったん我孫子まで行って、弥生軒で唐揚げそば(→2021.12.29)をお昼にいただいた。
2年経って490円に値上がりしていたが、それでも500円以下に抑えていることにたいへんな意地を感じる。
でもまあ正直、もっと値上げしてもいいので麺のクオリティを上げてほしいと思う。本来、主役はそっちなんだから。

 唐揚げそば。値段以外はまったく変わらないなあ。

柏に戻ると両サポーターと一緒に日立台まで歩く。16年前は自転車なのでぜんぜん気にすることがなかったが、
歩いてみるとなかなかしっかり距離がある。住宅地をのんびり行くのは牧歌的でそれはそれで味があるが、
J1のクラブがずっとこれを続けているというのも意外な感じ。まあ、もはや風物詩なのだろう。

 
L: 住宅地を20分ほど歩いて日立台へと向かう。歩くとそこそこあるが、バスだと短い微妙な感じ。  R: レイくんの像。

日立台公園に到着。日立柏サッカー場(三協フロンテア柏スタジアム)は公園の先にある。まずは柏サポーターに混じり、
ホーム側(北西側)に行ってみる。しかし敷地内には余裕がなく、恒例のスタジアム一周は不可能ですぐ戻ることに。
後述するが、日立柏サッカー場はもともと日立製作所が建てた施設で、公共の施設ではない。その不自由さを感じる。

  
L: 日立台公園。中を突っ切ってスタジアムを目指す。  C: 途中の日立稲荷神社。  R: 柏レイソルの奉納した幟がいっぱい。

  
L,C: ホームゴール裏。2012年に改修工事が完了してこのような姿になった。  R: 北から眺める。

スタジアムすぐ脇の道路をさらに行ってアウェイ側の出入口へ。どれくらいの比率が遠路はるばるなのかはわからないが、
熊本サポーターがいっぱい集まっていた。その中に混じって僕もスタジアム内へと入る。16年ぶりの日立台だが、
仮設感がいまだにしっかり漂っているのがなんとも印象的である。さっきも書いたがもともとは日立製作所の持ち物で、
柏レイソルのJリーグ入りにあたっては柏の葉競技場を使用する予定だった。しかし日立台がサッカー専用であるのに対し、
柏の葉にはトラックがあって評判が悪く、結局は日立台がレイソルに譲渡されてクラブの所有するスタジアムとなった。
(ちなみにJリーグのクラブがスタジアムを所有している例は、この柏の一例だけである。あとは関連企業や自治体。)
クラブがスタジアムを所有するのは、たとえば北海道日本ハムファイターズの事例を見ればよくわかるように、
ある意味では理想形である。しかし財政的に改修・移転が難しいため、仮設感の漂う日立台をあらためて見てみると、
現実の厳しさもまた感じる。柏はこのままいくしかないのである。それは現状維持という名の停滞のようにも思えるが。
改修工事によってホームのサポーターはだいぶ快適になったはずだが、アウェイ側は昔のままで時間が止まっている。
応援するのには非常にいいスタジアムだが、観戦するには困る部分も多いスタジアムである。なんとか改善してほしい。

  
L: スタジアムを自由に一周して全体を眺められないのは淋しいなあ。建物としての全体像が見えないのである。
C: メインスタンドのアウェイ側。仮設感がすごい一角。  R: メインスタンド側から見たピッチ。近いが、角度はない。

  
L: バックスタンド席へ行くのにはゴール裏を通ることになる。こうして見ると、ゴール裏での応援には抜群にいいスタジアム。
C: バックスタンドにやっと到着。やはり客席に角度がないので近くて遠い感じに。  R: 熊本サポーターに挨拶する大木さん。

じっくりとスタジアムのテンションが上がっていく。実は柏と熊本は指導者レヴェルで縁が深く、2016年の熊本地震では、
スタジアムが使用できない熊本に代替開催地として日立台を貸し出した。試合前のウォーミングアップで熊本の選手は、
中央に一列に並んで柏サポーターに向けて一礼。礼儀をしっかりする熊本らしさ(→2023.8.6)を感じるシーンだった。

いざ試合が始まると、いきなり接触プレーで熊本の選手が出血(熊本側のファウル)。治療の時間がかなり長く、
のっけから不穏な雰囲気を感じてしまう展開となった。これで熊本の集中が途切れたわけではないとは思うが、
9分に柏が先制。熊本はうまくボールを運べずにいたところを奪われて、少ない手数であっさり決められた。
あまりにも早い時間なので熊本は気を取り直して戦いたいところだが、どうにも柏の方が余裕を持って戦えている感じ。
セカンドボールを拾う速さと体の強さ、また気の利いたプレーで連携のとれているところを見せるのはさすがである。
あとはファウルのもらい方がたいへん上手く、熊本はいいようにイエローをつかまされていく感じ。これはもどかしい。
熊本は持ち味のつなぐサッカーで柏ゴールに迫るシーンもあったが、全般的にはボールの持ち方に余裕がなく、
はっきりと個のところで差をつけられている。前半アディショナルタイムには柏がCKから混戦に持ち込み2点目を奪う。

  
L: 柏が先制。左からのピンポイントのクロスに戸嶋がヘッドで合わせた。これをあっさり決められるのは痛い。
C: CKから柏が2点目を奪う。  R: 日立台のテレビカメラは屋根なのね。ちなみに両クラブのフラッグはホームゴール裏。

後半に入っても柏が優位で、早くも54分にはクリアしきれないところを奪われてマテウス サヴィオがシュート。
これが細谷に当たってコースが変わってゴール。ツイていないといえばツイていないが、カウンターで押し込まれた、
ということでもある。熊本は地道に戦うが、得点の匂いがするプレーまでなかなかたどり着かせてもらえない。
最後、アディショナルタイムで柏のCKからこぼれたボールを高嶺がダイレクトで決めて4-0。さすがJ1、柏は強かった。

  
L: 後半に入ってもなかなか前にボールを入れられない熊本。柏はよく分析している。  C: 競り合う島村。
R: 終盤になってヴァイタルエリア付近までボールを運べるようになったが、突破はできず。悔しい。

  
L: 逆に柏が決定的な3点目を決める。シュートを撃ったのは右端のマテウス サヴィオ、当たって決めたのは真ん中の細谷。
C: GKでのカモンロッソ、実に劇場である。日立台はゴール裏で応援するには最高に楽しいスタアジムなのだろう。
R: 後半アディショナルタイムに柏の4点目が決まる。決めた高嶺をひたすら褒めるしかないファインゴール。まいりました。

ここまで快進撃を続けてきた熊本だったが、ついに敗れた。結局はJ1とJ2のレヴェルの差を実感する試合になったかな、
そう思う。これまでも何度か書いたが今のJ1のレヴェルは以前よりそうとう上がっており(→2023.6.32023.9.24)、
守備でのポジショニングや体の向き、攻撃でのボールのコントロール精度など、「当たり前のプレー」のレヴェルが高い。
その日常に揉まれている柏とそうでない熊本との差が4-0というスコアに現れていると思う。そう実感する試合だった。

  
L: バックスタンドに挨拶する熊本の選手の皆さん。  C: 続いてゴール裏へ。お疲れ様でした。
R: 改修されたホームのゴール裏と盛り上がる柏サポーターの皆さん。アウェイ側もぜひ改善してー。

晩飯にはちょっと早いがスタ丼食って帰る。駅からスタジアムまでもそうだったが、東京から柏は微妙な距離があるなあ。


2023.10.7 (Sat.)

3連休だが、天気がいいのは今日だけということで、江戸東京たてもの園に行ってきた。
今年の夏にも行っているが(→2023.8.20)、途中で陰って建物の写真を撮る気が萎えてしまって中途半端になっており、
あらためてきちんと撮影し直してまとめようというわけである。これでもか!というほど写真を撮りまくったが、
まとめのログはまた後日。どうせ2日分の合成になるので、ネタのない日の分ということにさせていただくのである。

しかしながら、せっかく晴天の下で小金井市役所も撮影したのだから、それはきちんと本日のログということにする。
20年以上前に(うわあ……)訪れているが、あのとき(→2002.10.7)とまったく変わっていない。いや、本当に。
あの当時でさえ市庁舎の建設でモメていたのに、何も事態が改善されないまま20年。いくらなんでもヤバいでしょ。

とりあえず、武蔵小金井駅に近い第二庁舎から撮影するのだ。1993年竣工で、翌年から賃貸借を開始している。
小金井市が蛇の目ミシンの土地を購入したものの、市庁舎整備に時間がかかるとして応急処置的に建てたのが第二庁舎だ。
それがそのまま30年、である。いちおう蛇の目ミシンの工場跡地に福祉会館とセットで新庁舎を建てる計画が進んでおり、
実施設計まで終わったらしいのだが、コロナやら資材高騰やらで着工できずにいる。最悪の場合は計画見直しだとか。

  
L: 距離をとって眺める第二庁舎。  C: 北東から眺める。  R: 北から。ちなみに正式な名前は「小金井大久保ビル」。

  
L: 北西から交差点越しに眺める。  C: エントランス付近。  R: 中に入る。いかにも平成オフィス建築である。

  
L: 西から見たところ。  C: 南側にまわり込んで見上げる。  R: もう一丁。周囲は完全なる住宅地。

西の第一庁舎に向かうが、途中にあるマンションが面白かったので撮影。シャトー小金井という建物だが、
アーケード商店街はあるわ大型スポーツクラブはあるわで実に個性的。黒川建設の「シャトーシリーズ」は有名だそうで。

  
L: シャトー小金井。下層に大胆なアトリウムで商店街を設けている。  C: 南西から眺める。  R: 裏のマンション入口。

シャトー小金井から消防署を挟んで小金井市役所第一庁舎。過去ログで書いたとおり(→2002.10.7)、
もともとは1965年に分庁舎として竣工した建物である。中を覗き込むと、いかにもそれらしい質素なつくり。
もっとも1960年代という時代を考えると、それなりに本庁舎としての利用を意識している規模であるとは言える。

  
L: 小金井市役所第一庁舎。昭和の雰囲気がよく残る。  C: 敷地内で撮影。  R: 敷地が狭いのですっきり撮影できない。

  
L: エントランスから中を覗き込む。これは1960年代とはいえ明らかに分庁舎らしい殺風景さである。
C: 敷地が狭いので側面や背面もやっぱり撮影できる余裕がない。  R: 裏通りから眺める第一庁舎。

  
L: 背面。これが限界だ。  C: 反対の北東側から見た背面。  R: 北東から側面と背面を眺める。

小金井市役所の新庁舎建設問題が解決する日は来るのだろうか。ここまで迷走するとは、いくらなんでもひどすぎる。
東日本大震災以降、さっさと市役所を建て替えてしまう市が多いのだが、そういった事例とはまったく対照的である。

さて、マサルから連絡が入り、夕方以降に遊ぶことに。それまでの間、いいネタはないか探そうというわけである。
僕はカフェで日記を書きながらあれこれ考えるが、ここ最近はマサルと好みがイマイチ合わなくなってきたこともあり、
もう完全にギヴアップ。そんなわけで、マサルの出してきた案に素直に乗ることにしたのであった。

16時半に現地集合でTOKYO MYSTERY CIRCUSへ(→2018.3.42018.4.222020.3.1)。これくらいしかネタがなかった。
「歌舞伎町探偵セブン×エヴァンゲリオン『謎のスパイと伝説のホスト』」が今月で終わるそうで、まあエヴァだし、
まあやってみましょうかってわけである。しかしまあ、スパイはともかく、エヴァで「伝説のホスト」ってなんなんだ。
説明文を読んでみると、「依頼人は加持リョウジ、そして渚カヲルは伝説のホストとして登場!!!」とのこと。
意 味 が わ か ら ね え !!! ……まあつまりは、山寺宏一と石田彰のイケボを聴きたいということなのか。
腐女子の皆様はそれでびゅくびゅくしちゃうということなのか。石田彰ももう55歳だぞ。声が若いけど(→2019.12.29)。
まあとにかく、マサルのLINEを頼りに(LINEに登録しないと遊べない)ゲームスタートである。オープニング動画が13分。
途中で飽きちゃう現代っ子なわれわれ。完全に集中が切れている僕を見かねたマサルが「最初の謎解いとれ」と言うので、
暗号を秒で解かせていただきましたわよ。そんなわけでマサルが動画を見終わると即、歌舞伎町を徘徊開始である。
前に徘徊したとき(→2018.4.22)と同じような感じで、新宿バッティングセンター周辺を動きまわるわれわれ。
やはり法学部出身のマサルはルールに忠実で、社会学部出身の僕は早けりゃなんでもいいという態度を窘められる。
でもやっぱり知的生命体として「早くゴールにたどり着きたい」という欲はあり、ゴールを仮定して考える傾向はある。
僕がその状態を指摘して「お前はオレか」とツッコミを入れるたび、「マツシマになってしまった……」と凹むマサル。
一方、僕は僕で「出題者の意図がわからない……」とフリーズする場面がわりと多く、こっちもまた凹むのであった。
(出題される問題には「生徒を成長させる」とか「こういう受験生が欲しい」とか、必ずメッセージが込められている、
 という環境でずっと生きているので。ただの娯楽として問題を消費する、という考え方にはなかなか慣れない……。)

  
L: 『謎のスパイと伝説のホスト』だと。「なぜ渚カヲルがホストなんだ……?」と考えてしまう時点で僕の負けだったのよね。
C: 渚カヲルが店長というホストクラブにて。  R: 腐女子の皆様はこのイラストでびゅくびゅくしちゃうということなのか。

しかしマサルはロールプレイが得意でうらやましい。僕はどうしても照れが入ってしまってダメである。
その辺に、メイドカフェでコミュニケーション(→2005.9.11)やガールズ居酒屋でガッハッハ(→2010.12.29)ができる、
そういう能力の違いを感じてしまう。僕は「出題者の意図」と同じで相手に合わせようとして、千日手状態になるのだ。

 当然の碇ゲンドウポーズ。

すべてのチェックポイントをクリアして最後の謎に臨むが、ここでマサルも僕も大いに苦しむのであった。
「こういう最後の謎は今までやってきたことの中にヒントがあるんよ!」と、マサルは様式美を指摘する。
結局、用意されたストーリーにきちんと入り込むことが必要で、僕なんかは上っ面だけで謎を解こうとするので、
そこでギャップにハマってしまうわけだ。「渚カヲルがホスト」という設定ですでに入り込めなくなっている僕は、
もう完全にお手上げ状態。最終的にはLINEでもらえるヒントをとことん見ていって「あーそういうことかー」となる。
確かに、問題文(であるところの動画やシナリオ)をよく読めば、ちゃんと納得できる展開になっているのだ。
きちんとストーリーに入り込まなかったオレたちが悪い、と反省した。反省はしたが、渚カヲルがホストって……。

晩メシはマサルが見つけた「6年4組」という店にお邪魔する。懐かしの小学校がコンセプトになっており、
給食メニューを楽しむことができるのだ。まあ、3年前まで食ってましたけどね。おかげで体重が増えたままだぜ。

  
L: 店内はこんな感じ。けっこう人気があるようで、渋谷・池袋のほか大阪・名古屋にも店がある。
C: われわれが入ったのは「保健室」。男同士、保健室、20時予約で2時間制。何も起きないはずがなく……
R: 飲み放題にしなかったので、お通しということで駄菓子食べ放題。しかしこれが罠なのであった。

メスシリンダーに毒々しい色のノンアルコールカクテルを皮切りに、揚げパンやらソフト麺やらをいただく。
ぜんぜん世代ではないけどクジラのカツもいただいた。ABCスープの味は完全に給食そのものでございましたね。
ちなみに今回のダベり内容は「田中れいなはわからせメスガキの始祖的存在ではないか」「というかゴマキもなんよ」
というマサルの好みの話やら、「マツシマくんは将来どうするんよ」「墓守になる」とか、そんな感じなのであった。

  
L: メスシリンダーのドリンクを前に駄菓子に手を伸ばすマサル。  C: 飲む人。  R: ソフト麺をミートソースでいただく。

  
L: ソフト麺に興奮する人。飯田ではもうちょっとうどんに近い太さだったなあ。  C: クジラをカツで食うのは初めて。
R: ABCスープは肝心のアルファベットマカロニがすべて沈んでおり、最初は単なる給食のスープ。後でモソモソ食った。

僕もマサルも腹が減っていたのでたくさん注文することになるかと思いきや、お通しの駄菓子が効いて早めに満腹に。
「今の時間にお菓子を食べたら晩ご飯が食べられなくなるでしょ!」をまさに地で行く展開である。悶える45歳児。

  
L: ミルメーク。牛乳が風味豊かなせいでちょっと違う感が。昔は最初にちょっと飲んで体積を減らしてから入れたもんよ。
C: 締めは給食のカレーライス。いや、本物はもっとチープだ。  R: 駄菓子の威力に苦笑しつつカレーをいただくわれわれ。

ラストオーダーのタイミングで「テスト」と称するプリントを渡される。内容は、なぞなぞの問題が5問なのであった。
まさか最後の最後でもうひとつ謎解きがあるとは思わなかった。しかしこれが意外と手強くて、3問は秒で解いたが、
残りの2問がどうしてもわからない。ドツボにハマってぜんぜんわからない。僕もマサルものたうち回るが結局ダメで、
答えを聞いて納得。自分たちの頭の硬さを大いに反省するのであった。日頃から鍛えておかないといけませんな。



2023.10.4 (Wed.)

出張扱いで、某予備校で地理を担当している人気講師の講演を聴いてきた。内容はわりと広く浅くで、
授業をやるにあたっての総論的な話から地理の最新の事情についての各論的な話まで、社会人時代の経験談を交えつつ、
あえてある程度自由に話題を飛ばす感じで展開された。この話の飛び方が、地理としては勉強になる部分でもあるわけで。
僕なんかは自分のことに精一杯なので地理の最新事情には正直かなり疎く、その話だけでも大いに参考になった。
授業者としての姿勢については、言われるまでもなくできていることもあれば、できていないこともあるなあと。
中学校で英語を教えていたときには完璧にできていたこともあって、そのときの感覚を思いだせたのはよかった。
自分でも気づかないうちに硬直化していた部分を反省する、たいへんいい機会となったのであった。ありがたいことです。


2023.10.3 (Tue.)

昨日は早朝から働いた分、早く職場を脱出することができた。せっかくの平日早引けチャンスだったので、
国立新美術館でやっている『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』を鑑賞。そのレヴューを書くのだ。

やはり僕の中でイヴ=サンローランは熊本市現代美術館で見たサファリ・スーツの格好良さが圧倒的で(→2011.8.8)、
あれ以来「イヴ=サンローランすげえ」となっているのだが、そのすごさをできるだけ言語化するのが目標である。
同じく国立新美術館でやった『ファッション イン ジャパン 1945-2020―流行と社会』(→2021.8.12)でわかるとおり、
僕は現代のファッションにまったく興味はないが、1960年代までのファッションにはめちゃくちゃ興味がある。
そういう偏った人間がテキトーに書き散らすことなので、あまり深くツッコまれても困る。困るんだけど、書く。

16歳ごろの紙の着せ替え人形(ペーパードール)の時点でもうやべえ。いや、これはやべえ。笑うしかない。
すぐ上で「そのすごさをできるだけ言語化する」と書いておいて「やべえ」の連発という語彙力。でも本当にやべえのだ。
明らかに完成されてしまっている。実際、イヴ=サンローランはわずか19歳でクリスチャン=ディオールに見出され、
その2年後にディオールが亡くなると21歳で跡を継いで絶賛され、25歳で独立(1961年)。以後ずっと頂点に立ち続けた。

 カッサンドル(→2017.3.26)による「YSL」のロゴ。さすがやで……。

序章の部屋を抜けると「1962年 初となるオートクチュールコレクション」ということで、ランウェイを意識した展示。
このインパクトが最高で、展示されている作品も僕好みのモダンな時期なのでたまらない。ここを撮らせてほしかった。
続く部屋で「イヴ・サンローランのスタイル アイコニックな作品」として代表的な作品をジャンルに分けて一気に展示。
ただ圧倒されつつも、どうにか言語化を試みる。個人的にヒントになったのがマリー=クアント(→2023.1.6)で、
クアントがあくまで女性であることから離れないで1960年代にモダンの最終形を提示してみせたのに対し、
イヴ=サンローランはウィメンズに男性性を持ち込むことで「女性ならではのかっこよさ」を提示してみせた。
特にパンツスーツにはどことなくタカラヅカ感が漂う。あえてそれまでの性差を崩して女性の可能性を引き出したのだ。
(なお、個人的にはこのパンツスーツの延長線上にバブル期のスーツがあると思う。日本ではその方向に広がったか。)
やはり性差はすべての基本、大事だなあと思う(→2018.10.26)。女性であることを大前提として、男性性を足す。
それも女性にとって都合のいい要素だけを選んで足している。ここのバランス、そしてデザインへの昇華がすごいのだ。
異質なものをただ採り入れるのではなく、採り入れることで本体の可能性を広げた。新たな価値観を気づかせた。
悔しいが、このかっこよさは女性でないと実現できないかっこよさなのである。男性性が引き立て役となってしまった。
これは男性性の記号化ともちょっと違うと思う。イヴ=サンローランでないとできないバランス感覚での解釈とともに、
イヴ=サンローランでないとできないデザイン表現となっているからだ。誰でもできる記号化というレヴェルではない。

というわけで、イヴ=サンローランは元ネタの消化能力、再解釈と再構成の能力がずば抜けているのである。
ネイヴィー(船乗り)とかサファリとか具体的な対象もあるし、上で述べた男性性も実はそのネタのひとつにすぎない。
説明によると、イヴ=サンローランは「読書や美術作品の収集によって想像を巡らせる『机上の』旅を通じて、
モロッコ、サハラ以南のアフリカ、ロシア、スペイン、アジアといった遠い土地へ抱いた幻想をデザインで表現」し、
さらに「古代ギリシア・ローマ彫刻がまとっているようなドレスや、中世、」さらには20世紀も10年ごとに分け、
自分のものとして消化し、再構成した。彼の作品は、時間的にも空間的にも、再解釈と再構成の嵐なのである。
(確かに「Chapter 4 想像上の旅」で並んでいた、世界各地をモチーフにした作品群は圧倒的な美しさだった。
 実際に現地で伝統衣装を見ることなくイメージだけで作品をつくりあげたのだが、あえて直に見ないことで、
 自らの独自性・主導権を保ったということか。それはそれで強烈かつ柔軟なイマジネーションが必要なはずだ。)
もはやイヴ=サンローランは次に何を再構成してくれるのか、みんながワクワクして待ち望んでいる状況なのだ。
まるで「イヴ=サンローランという関数」が存在し、そこから導き出される答えをみんなが期待しているかのようだ。
まあつまり彼は、ポストモダンの切り込み隊長にしてすべて、という位置を占めていたんだろうなと思う。
モダニズム大好きっ子な僕としては、特にシンプルなデザインに宿る研ぎ澄まされた美しさがたまらない。
イヴ=サンローランの恐ろしさは、モダンもポストモダンも、両方とも最高のレヴェルでやってのけたことなのだ。
圧倒的な説得力を持つデザイン。結局は、それは個人の才能に帰するしかないのか。一般化することはできないのか。

メインではなかったが、端っこにイヴ=サンローランがイラストで出した仕様書(バイブルページ)が展示されていた。
それを見るとどうやら彼の頭の中では3次元が完全に仕上がっているようで、少し腰をひねった斜めのアングルという、
だいたい固定された2次元のポーズですべてが表現されている。指示書きとともに使うべき生地の見本を貼って終わり。
僕はプロではないのでそこからどういうプロセスを経て作品が完成するかなんてまったくわからないのだが、
アウトプットが定型化されているのは非常に興味深い。上記の「関数」を分析するうえで、重要な要素だと思う。

では撮影OKだった「Chapter 9 アーティストへのオマージュ」で展示された作品の写真を貼り付けるのだ。
こちらは芸術家たちの美術作品をイヴ=サンローランが再構成。僕としては情報過多でそんなに魅力的には思えず、
それより「Chapter 2 イヴ・サンローランのスタイル アイコニックな作品」「Chapter 4 想像上の旅」を撮らせろよと。
でもまあ、「イヴ=サンローランという関数」を考えるうえではいい資料であるのも確かなので、いちおう撮ったわけ。

  
L: 撮影OKな「Chapter 9 アーティストへのオマージュ」のコーナー。なんでここだけ撮影OKなのか、よくわかんない。
C: 『《アイリス》イヴニング・アンサンブルのジャケット―フィンセント・ファン・ゴッホへのオマージュ』(1988年春夏)。
R: 『イヴニング・アンサンブルのジャケット―ピエール・ボナールへのオマージュ』(1988年秋冬)。

  
L: 『カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ』(1965年秋冬)。
C: 『カクテル・ドレス―セルジュ・ポリアコフへのオマージュ』(1965年秋冬)。
R: 壁に2段で並んでいる作品たち。まずは左上から『ドレス―アンリ・マティスに基づく』(1980年秋冬)。

  
L: 『イヴニング・アンサンブル―ジョルジュ・ブラックへのオマージュ』(1988年春夏)。
C: 『ドレス―ピエール・ボナールへのオマージュ』(2001年春夏)。
R: 『カクテル・ドレス―ポップアートへのオマージュ』(1966年秋冬)。

  
L: 『ドレス―パブロ・ピカソへのオマージュ』(1979年秋冬)。
C: 『カクテル・ドレス―ポップアートへのオマージュ 』(1966年秋冬)。
R: 『イヴニング・ガウン―パブロ・ピカソへのオマージュ』(1979年秋冬)。

  
L: 『ウエディング・ガウン―ジョルジュ・ブラックへのオマージュ』(1988年春夏)。
C: 『ドレス―アンリ・マティスに基づく』(1981年秋冬)。
R: 『イヴニング・アンサンブル―ジョルジュ・ブラックへのオマージュ』(1988年春夏)。

まあこんな感じで、展示じたいはイヴ=サンローラン没後日本で初の大回顧展にふさわしい充実の内容。
しかし物販がたいへんショボい。図録は4500円で、いちおう迷いはしたのだが、結局手が出なかった……。
服は3次元だから写真1枚ずつじゃダメなのよ。「Chapter 2 イヴ・サンローランのスタイル アイコニックな作品」と、
「Chapter 4 想像上の旅」があればそれだけでいいけど、よけいなものがいっぱい入ってデカくて4500円はねえ……。
絵ハガキのセットも売っていて、高めのお値段だがこれは上手いなと思ったけど、やっぱり写真1枚ずつじゃダメなのよ。
というわけで、何も買うことなく新美術館を後にする。マリー・クワント展ではデイジー柄のハンカチを買ったけど、
そこの差だなあ。逆を言えばイヴ=サンローランは「関数」なので、そこをグッズ化するのは難しいということかな。

 夜の国立新美術館外観。そういえば先週(→2023.9.25)撮っていなかったなと。

イヴ=サンローランの偉大さの質感がつかめたのはたいへんよかった。さあ、どこまできちんと言語化できたことやら。


2023.10.2 (Mon.)

本日から2学年は修学旅行である。担任の先生方と若手の副担任が引率メンバーだが、僕はというと……補欠なのだ!
まあ今のご時世、いつ誰がどこで調子が悪くなるかわからない。羽田の比較的近くに住んでるし、独身で身軽に動けるし、
2学年の授業しか持っていないしで、なるほど考えれば考えるほど僕は補欠にふさわしい条件を備えまくっている人なのだ。
だから打ち合わせにもすべて参加してきた。そして引率メンバーの皆様と同じく、本日は羽田空港に6時半集合なのである。
3泊4日分の着替えとCPAPまで背負ってやってきたぜ。で、先生方は無事に全員集合。というわけで見送り決定だぜ!
かりゆしウェアをわざわざ着てきた僕を見て、生徒たちは「気合い入ってますねえ」と声をかけてくるのだが、
「見送りだけどな!」と返すと、「えっ……」という反応なのであった。いやまあ、狙ってネタでやってますので。
ずーっと気をつかって好き勝手に動けない旅行は、僕にとっては罰ゲームに他ならないのであります。これでいいのだ。

 羽田空港第1ターミナル。

せっかく旅行の準備をしたんだから、そのままどこかにふらっと出かけちゃえばいいじゃんと思うかもしれないが、
当日の朝まで何がどうなるかわからないから、予約が入れられなかったのである。だからどうしようもないのである。
先発の便と後発の便が無事に出発したのを確認すると、電話で報告してからメシを食って職場へと向かうのであった。


2023.10.1 (Sun.)

『あやかしトライアングル』のアニメを見たよ。これはもう、矢吹神以前にまず玄田哲章を味わうアニメですな。
こんな玄田哲章、『こんなこいるかな』以来だぜ。あと新井里美もよい。この2人がいれば、もうそれだけで優勝。

一点、自主規制でシロガネの顔を使うのは、めちゃくちゃわかりづらい絵面になってすごくダメ。風車でええやん?


diary 2023.9.

diary 2023

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