diary 2017.3.

diary 2017.4.


2017.3.26 (Sun.)

埼玉県立近代美術館でやっている『カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命』が最終日なので行ってきた。

カッサンドルはグラフィックデザイナー。最も有名な絵は沢木耕太郎『深夜特急』(→2010.2.19)の装丁だと思う。
あの非常に印象的で力強い絵は、もともと1920年代から30年代にかけて最先端だった交通機関のポスターなのである。
この年代とはつまりアール・デコのど真ん中であり、カッサンドルはモダニズムの絶頂期を象徴する人物の一人だろう。

ポスター作品は大まかに年代に沿って展示されている。若い頃から彼の独特な大胆さは作品にはっきり出ていて、
それが時代の空気とともにどんどん洗練されていくのがわかる。作品からは1920年代という時代特有の躍動感、
資本主義も工業の発展もすべてがポジティヴだったあの勢い、そういったものが生々しく香ってくるのである。
テクノロジーの革新が無限の荒野を拓き、自分たちの生活が工業とともに大きく変化していく!というゾクゾク感。
時代の空気に煽られカッサンドルの作品は熱を帯び、また彼の作品じたいが時代の空気を激しく煽る。その共犯関係。
1920年代という一瞬にまさにマッチしたポスターたちを眺めていると、当時の雰囲気がきわめてリアルに感じられる。

この時代の芸術運動としては、ロシア構成主義も有名である。ウクライナに生まれたせいか、カッサンドルの眼差しは、
単純なアール・デコよりはむしろそっちに近いものがある。共通するのは、力強い「動力」を直に抽出した表現だ。
テコでも動かないクソ重い金属の塊が、人力とは比較にならない強大な力を生み出す(→2012.7.162015.1.2)。
生活どころか世界観を変えるエネルギー、その本質となる「動力」を礼賛すべく、機関部を極端なまでに強調する。
人間が人間をコントロールするのではなく、人間が機械をコントロールすることでより大きな効果を得るようになった、
そのある種の開放感をポスターの画面いっぱいに描き出す。ノール・エクスプレスとノルマンディーはその白眉だ。
(『深夜特急』の装丁は、そのいちばん優れた作品群を非常に贅沢に使っていることがよくわかった。ホントに贅沢。)

しかし時代は混迷を深めていき、ヨーロッパは再び戦争の舞台となった。カッサンドルは戦後アメリカを訪れ、
シュールレアリスムの影響を受けて画家としての活動に力を入れる。結果、グラフィックデザイナーとしての力量は落ち、
無残なほどの迷走ぶりが見て取れる。無邪気な憧れの眼差しで「動力」をもてはやす時代はすでに終わってしまっていた。
後半生の作品たちからは、時代の寵児だった人間が時代に消費され尽くしてしまった苦悩が色濃く感じられるのである。
大戦間の工業化社会の絶頂とともに生き、時代の変化とともに居場所を失った――カッサンドルの悲しい最期からは、
どこまでも冷徹な時代という波と、それでもそれに乗らんとする芸術家たちの果てのない競争との恐ろしさをただ感じる。

だからといって、カッサンドルは1920年代と30年代にしか通用しない人物だったかというと、決してそうではない。
やはり『深夜特急』の装丁となった作品たちは本質を衝いているからこそ、今も当時のワクワク感を明瞭に呼び起こす。
イヴ・サンローランの有名な「YSL」のロゴをデザインしたのは彼だし(1963年)、ペニョー体をつくった功績もある。
これらは時間という強固な束縛を抜け出した普遍性を確かに獲得していると思う。きちんとその点を評価したい人だ。

ところで埼玉県立近代美術館では館内のあちこちに有名な椅子を置いていて、自由に座れるようになっているのだ。
大学時代に武蔵野美術大学に行き、ムサビがコレクションしている椅子を(古くて座れないものは除いて)すべて座った、
そんな経験を持つ僕としては、これはちょっと無視できない。1階から3階までざっと座ってまわるのであった。
(僕がムサビの椅子を座り倒したことでマツシマ家では椅子熱が盛り上がり、circo氏が本格的なコレクションを始めた。
 もともとcirco氏はインテリアデザインも専門にしていたわけで。以来、椅子論は最も熱いテーマのひとつである。)

  
L: 奥がヴァシリー。M.ブロイヤーがカンディンスキーのためにつくった椅子ね。あとの3つはミースのバルセロナ・スツール。
C: 手前からアントチェア(A.ヤコブセン)、チェスカ(M.ブロイヤー)、ダイヤモンドチェア(H.ベルトイア)。どれも名作だねえ。
R: 駅でよく見かけるコイツ(ホームベンチ)は、なんと剣持勇だった。1964年ってことで、新幹線開業と同時に登場したのかな。

コンセプトじたいは大好きなので、もっと徹底的にやってほしいところである。やはりミッドセンチュリーを中心に、
体系的にやってほしいなあ。現状はどうにも中途半端。椅子はそれだけで美術館を建てられるほどの奥の深さなのよ?

 マリリン(スタジオ65)。こういうポストモダン椅子は座りやすさが命。

なお、埼玉県立近代美術館は常設展ならぬ「MOMASコレクション」ということで、テーマ性を重視した展示をしている。
ざっと見てみたのだが、玄人好み(と言えるほど僕は詳しくないが)というか、やや地味ながらも実力派の確かな作品を、
しっかり押さえて展示している印象である。地方の県立にしては、なかなかいいセンスでがんばっている美術館だと思う。


2017.3.25 (Sat.)

午前中はどうも気分が乗らなくて家でうだうだしていたのだが、昼も近くなって一念発起して街に出る。
本来なら美術館に行く予定だったが、それを明日に延期して新宿へ向かう。今日はFC岐阜が味スタに来るので、
その観戦ついでに一仕事しようというわけだ。実は、circo氏からバスタ新宿の写真を撮影するように頼まれた。
こないだ帰省した際に絵コンテ付きで「こういう写真を撮ってほしい」と依頼されたので、まずそのタスクをこなす。

  
L: 小田急とサザンテラスをつなぐ陸橋から撮影したバスタ新宿。  C: バスタといえばこの大エスカレーターだよな。
R: 今日も大混雑のバスタ新宿。個人的には一箇所に集めた弊害しか感じない。詳しくはcircoさんの記事を待ちましょう。

しかしバスタ新宿もひどいが隣のNEWoManはもっとひどい。一刻も早くつぶれてしまえばいいのに、と本気で思う。

 新宿南口を象徴する建築とSuicaのペンギンの像。

昼飯を食べると京王線に揺られて飛田給へ。寝過ごして府中まで行って引き返すという情けない有様である。

  
L: 東京ヴェルディのホームタウンとなっている市の名前と市章が描かれた横断幕がお出迎え。立川・多摩・日野・稲城……。
C: 選手入場時の東京Vゴール裏。以前より減ってないか?  R: 岐阜からようこそ。そんな僕も2週連続の観戦だよ。

というわけで、東京V×岐阜である。しかしまあ客が少ないこと。バックスタンドのホーム側がいちばん入っているようで、
僕が陣取ったバックスタンドアウェイ側から見るとスカスカ感が強調される。ストレスなく観戦できるのはありがたいが。
とはいえ肝心の大木監督率いる岐阜のサッカーがストレスフルなのでニンともカンとも。今日も悪い方の大木サッカーだ。

 攻撃時にサイドのこの位置で必ずバックパス。前を向けないなんて情けない!

まあ客観的に試合じたいを見れば、見せ場はそれなりにあるのだ。序盤は岐阜がよく攻めたが決めきれず。
これはむしろ東京Vの守備を褒めるべきか。で、岐阜のミスからカウンターで東京Vが反撃する。そんな展開。
攻めて守っての動きがややバスケットボール的で、膠着した感じではない。惜しいシュートも多かったし。
でも岐阜贔屓の目線だと不満の多い内容となる。ペナに入りきらないで横パスバックパスばっかりなんだもん。

  
L: 岐阜のシュートが決まったと思ったら、この後に国立市出身の安在(6番)が掻き出した。安在は毎回いいプレーするなあ。
C: 前半は岐阜がよく攻めたが、シュートを決めきれず。  R: 東京V・高木善のオーヴァーヘッドを岐阜のGKビクトルが弾く。

今日の岐阜はパウロと風間弟がスタメンから外れており、庄司のプレー位置も先週(→2017.3.19)よりは高い。
大木さんはこの日記を読んでんじゃねえかと思ってしまうではないか。しかし根本的な問題は解決されていない。
サイドで勝負を仕掛けずにバックパスする癖、パスコースをつくるあと少しの動きが足りない点、カウンターの遅さ、
ディフェンスの不用意なパス、そういった改善点がまだまだいっぱいだ。縦に速くないサッカーは怖くないのよ。

  
L: パスコースがないの図。ラインを上げ、中央に庄司が構えているべきなのだ。山口時代にはそれが効いていたのだが。
C: で、結局、アラン ピニェイロ(左端)がシュートを決めて決勝点。東京Vは縦に速く仕掛け、岐阜は対応できなかった。
R: 岐阜のカウンターはボールを持ってからビハインドとは思えない遅さ。お前ら負けてる自覚あんのかと思うほど全体が重い。

時間が経つにつれて東京Vの動きはよくなっていく。相手の裏、空いているスペースにボールを出して走り込む、
そのシンプルな攻撃が効いて岐阜の余裕がない状態に。足元へのパスしか出さない岐阜に足りないものは明らかだ。

 東京Vは最後までよく走っていたなあ。

岐阜は大木さんの戦術が悪いのか、選手の判断が悪いのか。僕はまず、選手の質に疑問を感じてしまう。
甲府のときはそんなに観戦していないのでなんとも言えないが、以前の京都と比較すると技術が明らかに低い。
少なくともディフェンスラインでの変なパスはなかった気がする。今の岐阜は恐る恐るの変なパスが多すぎる。
結局のところ責任は監督がとるものなので、選手の質を嘆いたところで、指導しきれない大木さんが悪い、となる。
この状況を打開するためには……まずは守備なんじゃないですかね。攻めきれないなら4バックはやめた方がいい。
3バックで中央固めてラインを上げて、その前でシシーニョに危機管理させれば、庄司はもう少し自由に動けるかと。
岐阜はもともと降格危機のチームなんだから、その立ち位置を謙虚に受け止めておいた方がいいと思います。

夕方から姉歯メンバーで新年会の予定だったが、体調不良だったり急な仕事だったりで結局ポシャってやんの。
全力でがっくりだよ。しっかりしてくれよみんなー。



2017.3.22 (Wed.)

国際法のテスト勉強を準備してみたのだが、出題範囲が限定できないので対策の立てようがない。
過去問をチェックしてみても、出題される問題に脈絡がまったくないのだ。もともとヤマを張るのは苦手だし。
また、どこまで詳しく覚えておけばいいのかの加減もわからない。ただただ頭を抱えるよりない状況である。
まったく気分が乗らない。でもやるしかない。これほどやりにくい戦いはそうそうないと思う。

そんなわけで、今日からまたしばらく日記の更新を控えます。頭を勉強に集中させないとマズい。



2017.3.19 (Sun.)

3連休の初日は部活だったわけだが、じゃあ残りの2日間はどうするか。当初は特にアイデアはなかったのだが、
青春18きっぷを使わないともったいないし、実家へのお土産もあることだし、岐阜×横浜FCが観戦できそうだし、
ということで、朝の5時から電車に揺られること7時間ほどで岐阜へ行き、サッカーを観戦し、実家に帰ることにした。

横浜から東海道線でひたすら西へ。三島、静岡、浜松と予定どおりに静岡県を通過したまではよかったのだが、
豊橋に着いたところでまさかのトラブル。岡崎辺りで問題が発生したそうで、復旧に時間がかかりそうとのこと。
とりあえず改札内のラーメン屋でズルズルすすりながら様子を探るが、JRは運休を連発してどうにも旗色が悪い。
学生証を提示して当日券の自由席というお安い観戦もできたのだが、今回は奮発してメインスタンド指定席だ。
指定席ならそんなに焦ることもない。が、のんびりしているわけにもいかない。しょうがないので名鉄にスイッチ。
慌てず騒がず次善の策を講じるのだ。そんなわけで名鉄岐阜駅を目指すのであった。なんとか12時台に到着できた。

 JRの岐阜駅に到着。悪運が強いというか、悪運で済ませる判断力があるというか。

メモリアルセンター行きのバスに乗ったはいいが、これがけっこう遠回りしてくれやがって、13時過ぎにスタジアム着。
大木監督や選手たちの幟がお出迎えである。対戦相手の横浜FCは前節にカズが50歳ゴールを決めたこともあり、
スタジアムはなかなかの賑わいである。長良川競技場に来るのは3回目になるが(→2014.8.102015.8.8)、
今回がいちばん盛り上がっている印象。なんだかんだでFC岐阜は着実にサポーターを増やしているように感じる。
ちなみにFC岐阜では入場時に両チームのスタメンを印刷した紙をくれるのだが……カズ、ベンチ外じゃん!!

試合前には各種のセレモニー。南山大学チアリーディング部のふとももが大変まぶしゅうございました。
あとは岐阜バスのキャラクター「あゆかちゃん」の着ぐるみが登場したのだが……、頭身が恐ろしいことになっておった。
お願いだから早くなんとかしてあげてください。完全に百鬼夜行に出てきそうな感じですよありゃ。

そんなこんなで見どころ満載の前座の後は、いよいよ試合である。FC岐阜は今季、大木さんが監督に就任したが、
第3節が終わった時点で早くもいろいろ話題を提供してくれている。第2節では史上初となる名岐ダービーが開催され、
J1から降格してきたばかりの名古屋を相手に互角以上に戦って、ドローに持ち込まれたものの大きな話題となった。
そして前節はここ長良川に松本山雅を迎えたものの、ユニの色が近くてパスミス連発、ホームの岐阜が着替える破目に。
結局負けちゃって、なんだかんだでいまだに勝ち星がないという状況なのである。なんとか今日は勝ちたいところ。

大木監督といえばショートパスをつなぐサッカー。甲府でも京都でも狭いエリアを高い技術で抜ける戦術だった。
今シーズンから指揮を執る岐阜で鍵になるのは、山口から移籍してきた10番・庄司。山口もパスサッカーを標榜し、
非常に攻撃的なスタイルを貫いてきたクラブだ(→2016.4.3)。両者のエッセンスがどう融合するのか、とても楽しみ。
ところがどうにも、庄司の位置が低いのだ。得意の縦パスは健在なのだが、CBの位置まで下がってしまっており、
前線ではなく中盤にパスが入るというレヴェルなのである。これでは彼の良さがまったく生きないではないか。
そしてもうひとつ、右WGの田中パウロ淳一がボールを持ちすぎる。ドリブルから中に切り込んで左足のシュート、
これを狙ってばかりで完全に読まれている。確かに大木サッカーにパサー以外の異分子は必要だが(→2013.12.8)、
それはドリブラーではなくバレーや長谷川太郎といった純粋なストライカーなのだ。CFが風間弟って、なんで?

  
L: 10番・庄司の位置が低すぎる(副審=ディフェンスラインからわかるはず)。横浜FCのコースを切るボジショニングも巧み。
C: 攻めあぐねる岐阜の図。岐阜はパスをつなぐのはいいが、肝心のペナルティエリア内に侵入する策がなかったと言えよう。
R: それでもPKで岐阜が先制する。ワンツーから切り込んだシシーニョのプレーはこの後のヒントになるものだったが……。

先制した後も岐阜はボールを保持して攻めるが、気になるのが縦への推進力の弱さだ。効率が悪いというか。
パスをつないで隙をつくる、そこまではできている。でもその瞬間的な隙を突く判断が絶対的に遅いのである。
言い換えると、岐阜のパス回しには緩急の「急」がない。崩すためのスイッチが全然入らないパス回しなのだ。
そうこうしている間にバックパスのミスからあっけなく失点。逆にさっきPKを与えた横浜FCの佐藤はいいプレー。

  
L: 42分、パスミスからあっけなく失点。自滅でリードを守れずハーフタイムに入るって、けっこうキツいものがある。
C: ハーフタイムにインタヴューを受ける大木監督。この試合は大木さんの良くない部分ばかりが目立ってしまったなあ。
R: 「清流の国ぎふ」キャラクター・ミナモ。確かに岐阜県の川はきれいな印象がある(→2009.10.112009.10.12)。

後半に入っても構図は一緒。岐阜はボールをつなぐがペナルティエリアの中に入れず、その手前で横パス。
横浜FCはそれをかっさらうとカウンター。しかしへニキの兄貴が圧倒的な身体能力にモノを言わせてつぶす。
特に目立っていたのは、横浜FCのFWイバの着実さ。デカくて強いだけでなく、欲しいプレーを確実にしてくれる。
イバが体を張ってチャンスをつくってくれれば、そりゃあ抜け目のないカズはゴールを決められるわなと納得。
そんなイバとへニキのマッチアップはJ2レヴェルとは思えない迫力。この2人だけ別世界の戦いをしていた感じ。

  
L: ゴール裏の岐阜サポはかなりの数になっている。Jリーグ参入10年目となるが、サポーターは着実に増えている。
C: イバとへニキの兄貴の異次元フィジカル対決。どっちもいい選手だなーとウットリしながら見るのであった。
R: 62分、横浜FCがスルスルとボールをつないで途中出場の野崎が逆転ゴールを決める。岐阜はお株を奪われた格好。

攻めあぐねる岐阜は逆に横浜FCにボールをつながれ、クリアしきれないところにシュートを撃たれて逆転される。
岐阜のGKビクトルは立っている姿はいいのだが、ビッグセーヴはできないタイプのようで。ニンともカンとも。
その後も岐阜は攻めたてるが、人数をかけてペナルティエリアを守る横浜FCを崩せず。ペナの中で前を向けないのね。

  
L: ゴール前でシュートにもっていけないの図。ボールを入れても、結局セカンドボールを横浜FCが押さえてしまう。
C: サイドで攻めあぐねるの図。岐阜はペナの中へ入れない。  R: ペナに入っても前を向かせてもらえないの図。

というわけで大木サッカーの悪いところ全開で岐阜が敗れたのであった。パスをつないでいるつもりなんだろうけど、
緩急のスイッチを入れるだけの連携ができていない。だからパスミスして失点するのだ。まだまだ完成度が低すぎる。
あとは湘南のようなフィジカルの強さがないのも実は致命的だと思う。身体的接触を避けるのが悪い方向に作用している。
体を上手く使って相手をかわすことでパスコースがぐっと広がるのだが、それがないままで攻めるので効率が悪い。
しかしサポーターは予想外にポジティヴな反応をしていた。降格危機が当たり前の状況に置かれているからだろうか。
期待値が低いのは大木さんにとってやりやすいだろうから、腰を据えて取り組んでほしいものだ。頼みますよ。

岐阜駅で一休みすると、名古屋に移動してそこからバスで飯田へ。いや、なかなかに疲れましたわ。



2017.3.12 (Sun.)

Jリーグも開幕していろいろ盛り上がっているようで、そろそろ今年の月イチ観戦も始めないといけない。
それでどの試合がいいかチェックしてみたところ、J3開幕戦で長野パルセイロが相模原に来るということで即、決定。
しかしただサッカー観戦するだけではもったいないので、近くで何かしら組み合わせられないかを考える。
相模原のスタジアムは相模線の原当麻が最寄駅で、これは自分にとって非常に面倒くさい位置なのである。
なんとかならんかと調べてみたら相模大野からバスがあるので、じゃあ町田に寄って新しい市役所を見よう、となる。

まずは長津田まで東急で揺られて、横浜線で町田へ。町田といえば大学時代の同級生・ダニエルの出身地である。
当時は「神奈川の属国」ということでさんざんからかったが、自転車で実際に町田に行ったら都会で驚いた記憶がある。
そのときに出迎えてくれたダニエルにいろいろ案内してもらって、JRとはまったく異なる私鉄の街の面白さに目覚めた。
そんなわけで、僕にとって町田はちょっと特別な街だ。去年の6月にも来たけど毎回必ず迷うんだよな(→2016.6.19)。
初町田の2年後、大学院生だった僕は多摩地区全市の市役所について聞き取り調査をやっており、町田を再訪問した。
このときにはまだ町田街道沿いの旧庁舎で、「これから移転を計画しまーす」というところだった(→2002.9.24)。
あれから10年、町田市役所は横浜線沿いの自転車工場跡地に移った(旧市役所跡地は芝生広場になったそうだ)。
今回は時間的余裕がそんなにないので、町田では現市役所の撮影のみとする。芝生広場もいずれ行きたいね。

カフェで朝食をとりつつ時間調整すると、町田市役所へ向けていざ出発。スマホのおかげでどうにか迷わず進む感じ。
小田急町田駅の北に抜けると住宅地としての雰囲気が急に濃くなり、町田のややこしさをあらためて実感するのであった。
そうして町田市民ホール前の交差点に出たら、ちょうど町田名物・神奈中バスのツインライナーが走り去るところだった。
やっぱり町田というのは面白いところだなあと思う。神奈川に囲まれた東京は、そのせいか独特な進化を遂げている。

 
L: 町田市民ホールの前を走っていくツインライナー(→2016.6.19)。ゼルビアの試合はぜひこれで行こう。
R: 町田市民ホールはもともと1972年竣工のボウリング場だったそうだ。1978年にホールとしてオープン。

町田市民ホールの裏にあるのが町田市役所。ホールと市役所を隣接して建てる手法はかつて革新自治体で目立ったが、
町田の場合は30年以上の時を経てそうなったわけだ。ちなみに町田は1970年から20年間にわたり革新の市長が治めた。
2002年の聞き取りでは、道路整備より福祉を優先したので町田の道路は複雑、との話を聞いて妙に納得したもんだ。
実際に自転車で走ってみると、町田の道路は迂回迂回でまっすぐ目的地に行けないことがよくわかるはずである。

  
L: 2012年竣工の町田市役所。多摩地区ではここ10年で、青梅・国分寺・福生・立川など市役所の新築が続いている。
C: 東側より撮影したところ。こちらが正面かな。  R: 少し北に進んで振り返る。手前にバス停がある。町田はバスの街ね。

町田市役所は槇文彦の設計により2012年に竣工。なお、設計者の選定は3段階のプロポーザル方式で行われている。
仕上がりを見るに、どこかの組織事務所が手堅く設計したような印象。なんか誰が建てても大差ない時代なのかね、と。
さすがにきれいだなあとは思うのだが、個性的ではないと感じる。建築の作家性とは何なのか、と考えてしまうなあ。

  
L: 交差点を挟んで北側から眺める。  C: 近づいてみた。  R: 横浜線を背にして西側から眺める。

敷地のすぐ西を走る横浜線の向こう側に出られたので、そこからも撮影する。少し距離をとって眺めやすいと思ったら、
電車の電線が邪魔なのであった。まあとにかく、なんだかんだで新しい町田市役所はスケールが大きいということだ。

  
L: 横浜線の線路を挟んで眺めた町田市役所。  C: これは線路より手前から見上げたところ。  R: 南西側より。

南側からまわり込んで、エントランス付近を撮影しながら建物の中へと入る。オシャレだがやや殺風景に感じるのは、
日曜日に訪れたからだろうか。しかし窓口はしっかり開いており、休日にしてはわりと頻繁に人が出入りしている。

  
L: 南側から見た市役所前のオープンスペース的空間。   C: 建物のすぐそばに寄るとこんな感じ。  R: エントランス。

町田市役所の中はかなり開放的。1階北側にはカフェが堂々と併設されている。そして中心部は巨大な吹抜空間。
イヴェントか何かを開催できるようにするためか、窓口を端に寄せて真ん中をかなりしっかりと空けている。
何も置かない空間をこれだけ広くとっている市役所は初めて見た。具体的にどう活用してきたのか知りたいところだ。
そして奥に進んだところにあるエレヴェーターからは屋上階に行くことができる。せっかくなので屋上に出てみた。

  
L: 1階北東側のカフェ。役所を見てきた人間として、こういう店舗空間を堂々と用意するようになった点に時代を感じる。
C: 1階のど真ん中にはこのような巨大な空間がある。ここまで大胆な事例は初めてだ。どう活用されてきたのか気になる。
R: 屋上に出てみました。このガラス張りの部分からスロープで外に出るというわけ。詰めている警備員さんも大変ですなあ。

最上階を展望スペースとする市役所はけっこう多いが、実際に屋上に出られるようになっている市役所はわりと少ない。
パッと思いつくのは安曇野市役所だが、屋上全体が開放されているわけではなく、北西側の一角に出られるだけである。
安曇野市役所の場合、自販機のほか椅子やらテーブルやらがあって屋上でくつろげるようになっていた(→2016.4.9)。
しかし町田市役所は安曇野同様に北西側の一角が開放されているが、何もない。コンクリート上から景色を眺めるのみ。
案内板を見て驚いたが、横浜線のすぐ西を流れる川は境川といい、その名のとおり東京都と神奈川県の境界とのこと。
もしかしたら、町田市役所は最も県境に近いところにある市役所なのかもしれない。その端っこぶりにびっくりしたわ。

  
L: 北側を眺める。すぐ脇の横浜線を電車が走り抜けていく。それにしても平地いっぱいに住宅が広がっているなあ。
C: 南西側の都会は相模大野か。すぐ手前を流れているのは境川。町田市役所の立地って市域の端っこすぎるでこりゃ。
R: 南側のフェンスの向こうをクローズアップ。町田駅周辺はさすがの都会なのであった。屋上一周できないのが淋しい。

市役所の撮影を終えると、小田急で1駅移動して相模大野へ。ムーンライトながら目的の乗り換えで来たことはあるが、
この場所を目的地にして来たのは初めてだ。ペデストリアンデッキで北口に出てみると、すごく都会ではあるんだけど、
なんとなく空間に余裕を感じない。相模原の都会はそれぞれに独特な個性がありそうだけど、詳しくないのでよくわからん。
相模原市は立派な政令指定都市なのだが、個人的には「とらえどころのない街」という印象しかない(→2011.5.4)。
人口の多い東部と山の中の西部、JRと私鉄、宅地と商業地と米軍の土地など、対立する要素が含まれすぎている。
相模原市が開発されていく経緯も複雑で、昭和初期の軍都計画と小田急による林間都市構想が並行していたのだ。
もちろんこれらの多層性は独特の魅力につながるが、相模原という都市の特徴をつかみづらくしているのも確かだ。
いずれ都市社会学的にきちんと考えてみたいテーマではある。でもスケールがデカすぎて、なかなか踏み切れないのね。

昼飯を食べると、女子美術大学行きのバスに乗り込む。相模原麻溝公園競技場(相模原ギオンスタジアム)は、
西を走る相模線の原当麻駅からは徒歩圏内だが、東の相模大野駅からだとバスでのアクセスとなるのだ。それにしても、
女子美術大学がここにあるとは知らなかった。バスは狭っこい住宅地を抜け、フェンスで囲まれた米軍の住宅の脇を行き、
広い工業団地の中を通って麻溝公園に到着。20分ほどの旅だったが、相模原の多層性がはっきり確認できたなあ。

 女子美術大学。アート系の女子がいっぱいいるんかなあ……。

女子美術大学の脇を抜けると相模原麻溝公園競技場に到着するのだが、バックスタンドのアウェイ側に出るようだ。
初訪問のスタジアムなのでいつものように一周してみる。開幕戦ということもあってなかなかの賑わいなのだが、
やはりオレンジ色のユニフォームが目立っている。長野サポも松本に劣らない「熱」が徐々に入ってきたかな、と思う。

  
L: 相模原麻溝公園競技場(以下、ギオンス)。  C: バックスタンド。赤い線はランニングコースとのこと。
R: 正面入口は東南側のようだ。グッズ売り場に人だかり。SC相模原のエンブレムは六角形で、なんとも珍しいなあ。

正面入り口に掲げられたSC相模原のエンブレムのフラッグ前には、昨年9月に採用された新入社員のガミティがいた。
広報部ホームタウン担当であり、さらにマスコット業務をやっているとのことで、いろいろ考えているなあと。

 ポーズつけてもらってありがとうございました。

ギオンスの特徴としては、ホーム側サイドスタンドの外側にあるスタジアムグルメの充実ぶりだろう。
そして並んでいる客も多いので、ものすごい人口密度で通り抜けるのが大変だった。なんとかならんか。
ハーフタイムには空腹に耐えかねて買い出しに出たのだが、どれもイマイチ高い印象。なんとかならんか。

  
L: どうにか人混みを抜けてメインスタンド側。  C: メインスタンド。  R: 反対側から眺めたところ。

本当は指定席でのんびり観戦するつもりだったのだが、ボサッとしていたらなんと売り切れになってしまった。
それでしょうがなくメインスタンドの自由席にしたというわけ。でも悔しいからできるだけ指定席に近い席を確保。
もちろんアウェイ側である。さっきも書いたようにオレンジ色の長野サポが目立っていたが、混み具合の予想がつかない。
席の埋まっていく様子を興味津々でチェックしていたのだが、最終的にはキツキツではないがまずまずの入り具合だった。
ゴール裏は長野の方がはっきり優勢だったが、バックスタンドはほぼ圧倒的に相模原。メインスタンドは互角っぽい。
そこから察するに、相模原の存在は定着しつつあるが、コアなファンはまだ少なめといったところか。今後に期待なのだ。

  
L: スタジアムのメインスタンドとサイドスタンドの間には、このように橋を模したオブジェがついていた。なんじゃこりゃ。
C: メインスタンドの端っこからピッチを眺める。陸上トラックのあるスタジアムとして、平均的かつ典型的な印象である。
R: メインスタンド側を眺めたところ。雨のときにはちょっとキツいかなと。今回はいつもより高い位置から観戦したのだ。

さて、両チームのサポーターの様子を見ていると、開幕戦ということもあってか、長野サポが面白い動きをみせる。
ゴール裏の人たちが大きな輪をつくって気合いを入れたのだ。芝生席じゃなくても今後もやるんだろうか。気になるわ。

  
L: 大きな輪をつくって気合いを入れる長野サポ。なかなか面白い試みである。  C: ゴール裏の相模原サポはやや少数。
R: 練習を始める前に挨拶する長野パルセイロの皆さん。選手の後ろで浅野監督が丁寧に礼をしているのが印象的だった。

そうこうしている間に試合前の練習が始まる。今シーズンから長野の指揮を執るのは、前鹿児島監督の浅野哲也。
2010年にはJ1福岡の監督にシーズン途中で就任し、評価は高かったが降格してしまったことで退任している。
長野としてはできるだけ浅野監督に長くやってもらって、「J2に定着する力を蓄える」ことが目標になるだろう。
つまりはJ3レヴェルで甘んじているわけにはいかないのである。クラブにとっても監督自身にとっても勝負どころ。

 
L: 選手のウォーミングアップを見守る浅野監督。試合前にこれだけ選手を見ている監督は大木さんとプシュニク以来。
R: さらに選手のシュート練習にまで、ボールを落とす役割で参加。これはもはや、監督というより部活の顧問状態だ。

開幕戦らしいセレモニーが終わるといよいよキックオフ。相模原のホームではあるが、構図としては長野の方が格上。
それで全体的には長野が攻める時間が多くなるものの、動きは明らかに相模原の方がいい。ストレスの溜まる展開だ。
パスの判断が遅い長野に対し、相模原のチェックは非常に速い。なかなかいい状態でボールを蹴らせてもらえない。
それでも長野はなんとかペナルティエリアまで入り込むが、最後のところが決まらない。重い展開で前半が終了する。

  
L: 長野の判断も遅いのだが、それ以上に相模原のプレーがよかった。複数でコースを消しつつプレスをかけるの図。
C: ゴール前まで迫るもシュートをはずすの図。なんだかんだで長野が攻める時間の方がかなり長かったが、決めきれない。
R: SC相模原の広告塔的な存在となっているのは川口能活。残念ながらこの日は控え。がんばってほしいものであります。

後半に入っても前半と同じような展開で時間が進んでいく。気になったのは長野の4バックの重さ。特にSB。
攻撃時の位置どりが非常に低く、「お前は一人でどこを守っているんだ?」と言いたくなる。サイドが重たいので、
チームとしては当然、中央からの突破が第一の選択肢となる。でもそこで相模原のプレスを受けて後ろを向かされる。
相手陣内の深い位置に入ったSHにボールが出ないことはないが、後ろに無駄な人員が余るのを見るとイライラする。
浅野監督がどういうヴィジョンで攻撃を組み立てようとしているのか、この試合ではまったく見えなかったなあ。

 CBがボールを持っているときの長野。ここからの創造的な攻め手がまるでない。

で、試合は結局、60分にFKがバーに当たったところを折り返し、最後は勝又が決めて長野が1-0で勝利。
やはり相手を押し込んだところから得たセットプレーから点をもぎ取るスタイルにならざるをえないのか、と思う。
もちろん勝たなきゃ何にもならないので、それは悪いことではないのだが、特徴のないクラブだなあと感じてしまう。
放り込んでばっかりの松本とは一味も二味も違うスタイルを期待したいんだけどね。J2昇格が最優先なんだろうけどね。

  
L: 60分、長野のFKがバーに当たる。  C: これを折り返すと、  R: 最後は勝又(スキンヘッド)がシュートを突き刺した。

高い目標を持ってJ2をぶっちぎった湘南ベルマーレというクラブを知っているので(→2014.4.262014.11.15)、
贅沢なのはわかっちゃいるが、今日の長野のパフォーマンスには不満しかない。こんなサッカーじゃJ3を制覇できない。
これから浅野監督がどのように独自のスタイルを構築するのか、あるいはしないのか、そして勝利を続けられるのか、
しっかりと見届けていきたい。長野の目標とするものは、「松本のいる位置」なんかに収まってほしくないんだよ。

 でも純粋なサポーターにはうれしい1勝だよね、そりゃ。

帰りのバスは臨時バスに混じった定期便だったので、散々な目に遭った。満員になっても定刻まで出発しないし、
バス停から出たところで大渋滞に巻き込まれ、麻溝公園を出るのに10分以上かかる始末。その後もダラダラペースで、
相模大野駅に着いたときにはかなりヘロヘロになってしまった。これは本気で改善してもらわないと困るひどさ。

本来なら早めに帰るつもりだったけど、ヘロヘロついでに相模大野で日記を書いて晩飯食ってから帰宅。



2017.3.9 (Thu.)

『攻殻機動隊ARISE PYROPHORIC CULT』。「ARISE」4部作の続編で、『新劇場版』の手前に位置付けられるそうで。
(border:1→2013.7.2/border:2→2013.12.12/border:3→2014.7.8/border:4→2014.9.12/新劇場版→2016.12.7

ファイア・スターターが物語の軸なのだが、結局のところ人がたくさん死ぬのはいつもの「ARISE」と一緒である。
ヴァン=ダインの二十則・第7項「長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。」
これを地で行く内容そのままで、底の浅いミステリ価値観を押し付けられてゲンナリ。面白いと思ってやってんのかね?

今回はいつも以上に、舞台が情報空間に限られている。確かにドンパチはあるが、メインとなる戦闘の舞台は情報空間。
本来、放火魔は空間を通してダメージを与える存在だが、「情報空間における放火魔」という概念を持ってきたのは、
実はかなり興味深い試みだと言える。しかしそうなると、情報空間における火災が人間にどのような被害を与えるか、
そこを熟考しなければ意味がない。簡単に表現すれば、「精神における火傷とは何か?」という問いにつながるだろう。
現実の火傷は体表の20%を超えると重症化する。これを精神に置き換えた場合に、どのような症状として表現するか。
あるいは「情報空間を焼失させられることで、人間はどのような生活上の困難に直面させられるか?」という問いもある。
つまりは火災をめぐる社会学という論点が広がっているのである。社会を描かなければ『攻殻機動隊』である意味がない。
『STAND ALONE COMPLEX』であれば間違いなく、火災からの復活・復興を通して人間性を描いてみせたはずである。

飛び火、バックドラフト、フラッシュオーヴァー、火災旋風……。そういった示唆に富む事象をまるっきり無視して、
よくわからないプログラム上のメカニズムで人間をあっさり殺してしまう。わざわざ火災をテーマにした意義がないのだ。
「ARISE」は本当にくだらない。つまんねえものはとことんつまんねえ、バカはとことんバカだ、と実感させられた。



2017.3.7 (Tue.)

トラス構造の偉大さを手軽に実感できる方法。

この安定感ハンパないっス。


diary 2017.2.

diary 2017

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