diary 2018.8.

diary 2018.9.


2018.8.31 (Fri.)

出発式なのであった。といってもわがサッカー部は明日試合を控えており、練習を優先させてもらって後から合流。
明日から9月ということで、もはや18時をまわるとあっという間に暗くなってしまう。夏の短さを実感する。

無事に店にたどり着くと、さまざまな話題で盛り上がるのであった。学生時代のアルバイト話になったのだが、
僕の場合は学生時代にはほとんどバイトをしておらず、本格的にやったのは会社を辞めた30代という珍妙な経歴だ。
イヴェントスタッフを中心に食いつないだ日々は、苦しかったけど今でもちょっと愛おしい(→2008.10.4)。
その中でも特にキテレツだった、東京ビッグサイトでのラベルはがし(→2008.10.72008.10.11)について話す。
これは序盤の説明が非常に難しいのだが、究極の単純作業っぷりが抜群に間抜けなので、絶対にウケるんだよね。
まあ冷静に考えると、この経験を笑い話にできている現状はたいへん幸せであると思う。……うーん、酔いが醒めた。


2018.8.30 (Thu.)

日記が超スランプでございます。未整理の写真が膨大にあって、なかなかこの作業が乗り気になれない。
では文章を書く方はどうかというと、これもなかなか厳しい。過去に遡ってよしなしごとを書くのはぼちぼちだけど、
ガッツリと旅行記を書くだけの集中力はない。ひとつひとつの旅は楽しいのだが、書くにはエネルギーが要るのだ。
でもいちばんやらなくちゃいけないのは旅行記なのである。どげんかせんといかんのだが、二の足を踏みまくっている。
そしてその一方で、次の旅行計画が具体化していく。すっかりダメ人間だと反省するも、夏はあっという間に過ぎ行く。


2018.8.29 (Wed.)

ウチの学校は社会の先生が2人いて、ひとりが男性でひとりが女性である。冷静に考えると女性の社会の先生は珍しい。
で、その女性の社会の先生曰く、地図でよくある等高線の密集している部分が、シワシワしていて気持ち悪いとのこと。
当方、そういう発想は今までまったくなかったのでびっくり。「ああ、急峻な山地やら崖やらなんだなあ」と思うのみで、
自分の中にあるその手の地形を頭の中ですぐに思い浮かべて、ハイおしまい。特に気持ち悪いと感じることはない。

これってどうなんだろう。僕はこの違いに、男性と女性という性差による感覚の差があるのではないかと思うのだが。
地図に慣れている男からすると、等高線が描く形状は現実の地形を象徴する記号でしかない。そう受け止められる。
しかし空間感覚が男性ほど緻密ではない女性は、象徴よりもまず目の前にある形状が現実として飛び込んでくるわけで、
不規則に密集した等高線は不安定な模様として認識されるのだろうと想像する。言われて初めてその感覚に気がついた。

同じ地図なら僕の場合は、何もない茫洋とした海に浮かぶ離島の方が怖い(→2017.1.20)。
この感覚はたぶん高所恐怖症と同じところから来ているので性差は関係ないだろうけど、やっぱりそっちの方が怖いなあ。
とはいえ地図を見てその光景を想像するプロセスを踏んで怖くなっているのは確かなので、多少は関係あるのかなあ。


2018.8.28 (Tue.)

日記を書く作業がぜんぜん進まないのに、旅行の計画はそれなりに組み上がっていくという悪循環。
というのも、9月にハッピーマンデーがあって、10月に学校の都合で月曜が振替休日になるパターンがいっぱいだから。
この10月の平日休みをどう使うか考えていたら、なんだか大胆な計画に変化していくのであった。しょうがないやね。


2018.8.27 (Mon.)

ついに夏休みが終わり、授業期間が始まってしまった。8月いっぱいよりも開始が1週間早いと本当に虚しい。
そんでもって、実際に生徒の前に立って授業するのはやっぱり疲れるのである。午前だけなのにいきなりヘロヘロ。

夜は写真の整理・加工に勤しむが、轟く雷鳴にかなりビビったのであった。恐怖を感じざるをえない大音量。
今まで雷でいちばん怖かったのは大学時代の教育実習で校庭に雷が落ちたときだが、それに次ぐレヴェルの怖さだった。


2018.8.26 (Sun.)

本日はシード権大会のリーグ戦・第2試合。11人相手に後半2点もぎ取って2-5という結果に終わった。
1勝1敗で2位通過、来週末のトーナメントに駒を進めることができた。8人のチームとしては上々である。
攻撃に関してはよくやっているかなと思う。人数が足りないのでどうしてもFWが足りなくて攻める位置が遠いけど、
こぼれ球への素早い反応で合理的に戦えている。後半に入っても走り負けないでプレーできているのも大きい。
あとは守備で、押し込まれての失点というよりは、相手を有利な位置に入れてしまっての失点が続いている。
サッカーでの常識をもう少し整理して、プレーに定着させるようにこちらがアドヴァイスしないといかん。
そういう意味では、生徒の課題である以前にこちらの課題である。具体的に指導できるようにがんばらんとなあ。


2018.8.25 (Sat.)

夏休み最後の週末はシード権大会である。勝てば新人戦のシード権がもらえるという大会で、正直意味がわからない。
意味がわからないし平日開催で負担が大きかったし顧問は実質オレ一人だったしで去年は出場しなかったのだが、
今年は土日開催に講師がコーチでついてくれているしで、だいぶ負担が軽めになったので出場したというわけで。
まあ要するに、区内の強豪ではないサッカー部にとっての夏休み総仕上げの場として機能している大会というわけだ。

3チームのリーグ戦に放り込まれて今日は初戦。われわれは8人しか部員がいないので、当然苦戦が予想されたのだが、
相手の学校も部員がそろわずに9人という有様なのであった。最近になってどこも急激にサッカー部員が減っている。
いざ試合が始まると攻撃大好きなウチの生徒たちはガンガン攻める。ときたまカウンターが来ても落ち着いて対処。
炎天下のつらいコンディションだが非常によく戦えている。問題は人数不足で、純粋なFWの枚数がどうしても足りない。
それでもこぼれ球に素早く反応することで相手DFやGKの隙を衝いて2点奪って勝ったのであった。ナイスゲームである。

それにしても人数不足は本当につらい。3年生の元部長がマネージャー役で動いてくれたのでどうにかなった感じ。
受験生なのに大丈夫かよと思わないでもないが、こういう気配りができることが重要なので、全力でフォローしますです。


2018.8.24 (Fri.)

実家には潤平の土産である東工大のツバメマークの入ったマグカップがあって、母親が一橋のマグカップも欲しいと言う。
こちとら基本的に平日には自由に動けない生活をしているので、夏休み中最後のチャンスということで国立に行ってきた。

台風が去って日は差しているが風だけは強い、そんな中をのんびり歩いて一橋大学へ。郵便局に寄るつもりだったが、
サンモーク(ないものはない)のビルごと建て替えということで消えていてびっくり。駅前の7階に移転したそうで。

西生協に行ってみたら食堂はお休み中で、売店だけが開いていた。コロンバンの一橋クッキーがあって驚いた。
そのほかにもクリアファイルやノートなどが置いてあり、いろいろつくるようになったんだなあとしみじみ思う。
しかしマグカップは置いていなかった。東生協はカフェテリアも売店も丸ごと夏休み。見事な空振りっぷりである。
後で大学生協のサイトを確認したら、PDFのグッズリストと配送の説明が載っていた。便利な世の中になったものだ。

先日の奥多摩探検の帰りに溝の口でスタ丼を食っており、生協も休みだし、昼飯はどうしようかと少々悩む。
でも考えれば考えるほどロージナ茶房のシシリアンを食いたくなって、部活着のお一人様だが勇気を出して飛び込んだ。
ロージナというとザイカレーが有名だが、僕は在学中の後半あたりからシシリアン中毒になってしまったのである。
HQSで行くときも毎回僕だけシシリアンなのであった。今回はランチなのでコーヒーとサラダもついて980円。
感動にむせび泣きながらいただくが、久々のシシリアンは量が凄まじかった。やっぱり学生街のお店なのである。

 ロージナのシシリアンは僕にとって究極のパスタと言える存在なのだ。

余韻に浸りながら夕方の部活へ。シシリアンのおかげで最高級の夏休みの締め方ができたように思う。



2018.8.5 (Sun.)

マサルと遊ぶ約束をしたのだが、毎回毎回歌舞伎町で謎解き(→2018.3.42018.4.22)では芸がない。
そしたら「Maker Faire Tokyoへ行ってみませんか」という提案がマサルから出たので、「じゃあそっちで」と返事。
マサルは午前中に別の用事があり、こっちはこっちで千代田区探検が終わらないのでそれに取り組んでおり、
会場のビッグサイトがある国際展示場駅に集合できたのは14時過ぎ。ドトールで軽くダベると、いざ出陣。

そもそもが「Maker Faire Tokyo」とは何なのか、という話である。「地上最大のDIYの展示発表会」とのことだが、
もともとはアメリカのDIY雑誌『Make』からスタートし、現在は世界各地でイヴェントとして盛り上がっているとのこと。
「Maker Faire」という形で東京で開催されたのは2012年からで、2014年からはビッグサイトに定着している。
とにかくロボコンに出たかった思春期からずっと理系への憧れを捨てきれないマサルには、見るものすべてが尊敬の対象。
対する私は東工大大学院修了という経歴を持ちながらやったことは教員とのケンカだけであり、やはり憧れがあるわけで。
そんなふたりが気ままに見てまわって聞いてまわって写真を撮ってまわったレポートを、ざっくりご紹介するのだ。
なお、今日の日記は出展者の情報を極力オープンにする。拡散希望する勇者たちばかりなので、彼らに敬意を表して。

マサルの興味関心をベースにしているので、入口からかなりバカ丁寧に見ていくことになり、そうとう時間がかかった。
計画的に動くこともなく、ひたすら目についたものに反応していく感じ。で、気が向いたらちょろっと出展者の話を聞いてみる。
「地上最大のDIYの展示発表会」という触れ込みだが、実際には扱っている対象がかなり広範囲にわたっていて驚いた。
クリエイティヴな要素があればなんでもありなのである。その分、ソフト的にもハード的にも非常に刺激にあふれている。
まず最初にあったのがボードゲームの展示で、なるほどこれもまたクリエイティヴだな、と納得しつつ話を聞くのであった。

  
L: まずは建築家の卵のためという「LEGO Architecture Studio」。白いレゴには箱庭療法的なものを感じるのですが。
C: 加藤明洋「TRUSTLESS LIFE」。ボードゲームは結局のところ、ミニマルでポップなデザイン勝負な気がします。
R: 24th floor「マネースパイラル」。仮想通貨をテーマにしたゲームとのこと。じっくり遊ぶ時間が欲しいです。

いきなり結論じみたことを書いてしまうと、やはり見た目のインパクトがないと多数の中に埋もれてしまうのである。
ヴィジュアル的に惹きつけるものがあるというのは大きいなあ、と思いつつ見ていく。まず何よりも目立たないとダメだ。
その点で、マサルも僕もグイグイ惹きつけられたのが数学模型。世の中の大半の人々は専門的な数学の知識がないが、
ヴィジュアル先行でパンチをかまされると一気に引き込まれる。数学の苦手な生徒も得意な生徒も楽しめると思うなあ。
冷静に考えると、方程式をグラフにすることってとんでもない発想だと僕は思っているが、その凄みをあらためて味わった。

  
L: ほりたみゅ「数学模型」。こちらはグラフを立体化した「線織面模型」で、左の2つが双曲放物面、右の2つが一葉双曲面。
C: 「自然数の平方和証明模型」。1^2+2^2+3^2+…とやっていくと1/6・n・(n+1)(2n+1)となって、6個で直方体ができる。
R: 「正n胞体展開模型」。多胞体は4次元における超多面体(3次元の多面体に相当)。120(青)や600(赤)はもうすごい形だ。

序盤は学校の先生や現役の学生による作品が並んでおり、ある種の真面目さとユルさの共存がなかなか心地よい。
パペットロボットは見事に技術科と家庭科の融合からスタートしているが、これ、こだわればとことん研究できる。
中学生たちがあれこれ自分好みの方向に伸ばしていけば、めちゃくちゃやりがいのある授業になってしまうだろう。
個人的に爆笑したのが、ベルト駆動1球ニキシー管時計。ニキシー管はやはり非常に人気のあるアイテムで、
今回あちこちで見かけたのだが、「値段が高いので1個だけでなんとかしました」というこちらの工夫に脱帽である。
(名古屋駅の東急ハンズ「男の書斎」でニキシー管の時計を売っているけど、高くて手が出ないんだよなあ……。)
また、マサルも高く評価したのが鉄球を使った電子迷路。傾けて鉄球を動かすだけでは終わらず、発光する場所へ行くと、
迷路の一部が回転したり扉が開いたりして、より奥深い仕上がりとなっている。サイズを大きくすると絶対凄くなるね。

  
L: 技術教室グループ「パペットロボット」。中学校技術科の教師が中心だそうで、なるほど技術科と家庭科の融合だ。面白い。
C: 神奈川工科大学オリジナルロボットプロジェクト「ベルト駆動1球ニキシー管時計」。移動して時・分・秒の位置で数字を表示。
R: 名古屋工業大学 Edison Project「A mazeing!!」。床が回ったり扉が開いたり鉄球がワープしたりと存分に楽しめる。

さてそんな具合に見てまわっていたら、何やらパソコンのBEEP音で曲を演奏しているような音が聞こえてきた。
こりゃなんじゃと行ってみたら、高電圧のテスラコイルを放電させた音での演奏だった。2つ使ってパートを分けている。
知っている曲ではなかったがファルコムのソーサリアンらしく、なるほどゲームミュージックは相性いいよなと納得。
見た目も派手だし、曲目も工夫すれば絶対に盛り上がる。調べたら、P-MODELの平沢進が使ってんのか! さすがだ!

  
L: 高エネルギー技術研究室、テスラコイルで発生させた稲妻を使った演奏。後ろから黒い紙で稲妻を見えるようにしている。
C: 演奏の様子。ケーブルをあちこちワンサカつないでいるのが初期のYMOのようだ。そういうのには憧れてしまうのよ。
R: A4walleT「A4walleT 薄すぎる財布」。紙を折りたたんで財布にするキット。元プリンスの漱石、白雪姫の諭吉などが面白い。

ありとあらゆるジャンルでクリエイティヴィティが繰り広げられていたのだが、なるほどと思ったのがファッション。
テクノロジーを直接的にファッションの要素として取り込む、そういう発想がだいぶ一般化してきているなと思った。
同じようなジャンルとして、手芸とテクノロジーを組み合わせた作品も多く見られた。これは2つの方向性がある。
「美/カワイイ」というソフトウェア的な概念をテクノロジーのハードウェアによって実現するという方向性と、
むしろ逆にテクノロジーやハードウェアそのものに「美/カワイイ」という要素を見出すという方向性である。
この両者のせめぎ合いが、どちらも個人の作品レヴェルで活発に実現されているところがすごいなと。いい時代だなと。

  
L: すいラボ「電子部品アクセサリー」。電子部品はカワイイのである。無限にカチカチできるキーホルダーを買ってしまったわ。
C: denha's channelのLEDバッジ。これも電子部品の「カワイイ」を直接的に取り出した作品ということになりますわな。
R: GIF+で展示されていた、グンゼの「ニット配線」。これを使えば光るバッグも光る手袋もつくれますよ、っていう作例。

そんなところで登場したのが、マーブルマシンと呼ばれるおもちゃたちである。世間一般にはピタゴラ装置でおなじみ。
これにはマサルも僕も夢中で見とれてしまうのであった。こんなん、キットで売ってくれれば絶対に買うんだけどなあ……。

 denha's channelのマーブルマシン。どれも魅力的なギミックを持っている。

マーブルマシンはなぜこんなにも魅力的なのか。洗練された機構は、決して何かの役に立つためにあるのではない。
ただ純粋に、純粋に機能を果たすのみである。そして、ただただ同じことだけを繰り返す。等速で運動するだけだ。
でもその小さな球たちの冒険は、たまらなく愛おしいのである。破綻なく完結させる技術に対する憧れだけではなく、
やはりどこか「美しさ」「カワイさ」を感じずにはいられない。マーブルマシンの不思議な魅力にただ酔いしれるのであった。

  
L: 球をポンと飛ばして六角形で受け止めるというギミック。炎の男・三っちゃんもびっくりの精度を誇る。
C: 左端の階段が上下にスライドすることで球が一段上がる仕組みになっている。単純な機構だけに美しい。
R: 透明なアクリル板が絶妙な角度で設置されており、球がゆっくり斜め下へと沈むように移動する。

「美/カワイイ」あるいは「役に立たないけど面白い」というのは、かなり強い行動原理になっていると思われる。
まあ中には、どれだけくだらないことに全力を傾けるかにこだわっているチームもいっぱいいたけど。
価値観は人それぞれだが、そこに向けてのエネルギーの投入というスカラーはお互い十分わかっている。
褒め言葉にしろ作品の購入にしろ、こちらの敬意や評価の表現形態も、価値観によってさまざま。何から何まで多様だ。

  
L: ホームセンターてんこ「ミニチュア工具」。ミニチュアとはカワイイの極致のひとつであると思う。買ってもうたわ。
C: つつうらら「ハッピーフォンホルダー」。人の温かみを感じるスマホホルダーとのことで、温かみを感じているマサル。
R: 後ろから見るとこんな感じになっております。こういう一工夫加える感じの作品もけっこう多かったですな。

じっくり見ていったせいで、後半は本当にざっくりと見てまわった感じになってしまった。終了時刻も近づいているし。
体験型のゲームなんかもいろいろあって、チャレンジさせてもらったものもあったので、いくつかご紹介。

 
L: Hands-On 部「デッキブラシでカーリング」。写真はチームの方に撮影していただきました。
R: 全力でゴシゴシやるのでけっこう疲れる。「そだねー」とか言っている余裕はぜんぜんなかったです。

  
L: 月刊大人の起業「VRブロック崩し」。自分がバーになってボールを撥ね返すという設定。バツ印がスタートの合図。
C: 挑戦中のマサル。手元のバーを握ることで位置を判定するとのこと。反復横跳びできていませんの図。
R: こちらは金網デスマッチ……ではなく、ドローンのレースを開催中。すげえ時代になったなあ、と思うわ。

雨の日だけ抜けるというエクスカリバー傘にもマサルは挑戦。地面から煙が噴き出し、雷の音が鳴ると、
それまで抜けなかった傘を抜くことができるというアイデア勝負の作品である。実際にやることに意味がある。

 
L: Azb.Studio「エクスカリバー傘」。雨の日だけ抜けるということで、雨の演出が始まると……
R: このように傘を抜くことができるというわけです。正当な王であるかどうかは関係ない模様。

そんな具合に後半もあちこちでいろいろ体験していたのだが、ここでもトップレヴェルの衝撃を受けた展示が。
電卓でおなじみの7セグメントディスプレイ(6本の線+点1個で7つのI/Oだから7セグメント)がメインの展示の中に、
フリップドットディスプレイ(表と裏で色を変えた点をひっくり返して表示する仕組み、LEDのやつの元祖)があり、
それでテトリスが遊べるという展示があった。なんてオシャレなことを思いつくんだ!とマサルも僕も大興奮。
残念ながらフリップドットディスプレイ自体が失われつつある技術だそうで、売るとなると15万円くらいになってしまうとか。
いやいや買い手はいくらでもいるでしょーと思うわれわれ。インテリアとして十分に需要があると思うんだけどなあ。

  
L: 魔法の大鍋「7セグメントディスプレイ大集合」。パタパタ変化するさまは、機械制御だけど非常にアナログ感がある。
C: フリップドットディスプレイ。電磁石で表裏を回転させる。蛍光イエローは目立つだけでなく、紫外線の退色に強いそうだ。
R: 特に衝撃的だったのが、フリップドットディスプレイによるテトリス。これは絶対に売れるよ! つーか欲しい!

かっこいいだけでなくバカバカしいものにも魅力的なものがいっぱい。マサルが注目していた「セルフ記者会見セット」も、
ついにここで登場。実演してくれたが、頭を下げるとちょうどあの感じでフラッシュが点滅。これがまた絶妙な加減なのだ。
こういうことを思いつくのもうらやましいし、実現できる技術力もうらやましい。ドラえもんの世界に片足つっこんどるね。

  
L: nanka「JIKKALARM」。実家を思い出させる目覚まし装置ということで、包丁の音と味噌汁の匂いが出る。
C: ねくある [NEXT+α]の「論文まもるくん」。自動的に「Ctrl」と「S」を押してくれる装置で、高い評価を得たそうだ。
R: 同じく、ねくある [NEXT+α]の「セルフ記者会見セット」。写真だとフラッシュっぷりがわかりづらいのが残念だ。

最後に音楽方面の展示を見たのだが、なるほどこれまたクリエイティヴィティが炸裂するジャンルである。
大爆笑してしまったのが、ツイスターゲームでクラブミュージックを演奏する装置。色にそれぞれ音が割り当ててあり、
ベースとなるリズムを鳴らしながらその場で音に変化をつけて音楽として成立させている。いや、発想がすごい。
これを男2人のバカバカしいヴィジュアルでありながらめちゃめちゃグルーヴィーに演奏したら最高だろうと思う。

 
L: mi:muz「缶たたき機mini」。いい音鳴らしていたけど、これがきちんと曲を演奏するともっと魅力的だと思う。
R: Inagi Records「ツイスターゲームシーケンサー」。割り当てた音を組み合わせつつ変化させて演奏。考えたモン勝ち。

では「Maker Faire Tokyo」に対する僕なりの結論。ありとあらゆるジャンルのクリエイティヴィティが詰まっていて、
ありとあらゆる方向から刺激が来る、とにかく面白ければなんでもいいという非常に贅沢なイヴェントである。
これは絶対に、お客さんになるよりも出展者で参加する方が楽しい。何もできない自分がひたすら歯がゆかったなあ。
あと、外国(アジア方面)からの参加者もちょこちょこいたのだが、日本語でコミュニケートする人が多かった。
英語で済ませるのではなく、わざわざ日本語で、という手間と熱意には頭が下がる。偉いよなあ、としみじみ思った。

さて、展示を見ていて気がついたのは、このクリエイティヴィティあふれるイヴェントで目立つには、
2つの力が必要になるということだ。それは「何をやるか」と「どうやるか」、whatとhowという2つの発想力だ。
言い換えれば、想像力と創造力ということになるのかもしれない。この両輪のバランスが絶対に欠かせないのだ。
理系のモノづくりイヴェントということで、展示は全体的に「どうやるか/how/創造力」に力が傾けられている印象だ。
しかし多くの人を立ち止まらせるためには絶対に、「何をやるか/what/想像力」が十分に練られていなければならない。
これは目的と手段の関係そのものだから、必ず目的が手段の上に立つのだ。ブレない目的=whatで勝負はほぼ決まる。
そのうえで序盤で書いたように見た目のインパクトを確保するとなると、デザインの左右するものはやはりかなり大きい。
世の中、実にいろんな才能があるなあと思う。whatを見つける才能、howをやり抜く才能、デザインで価値を足す才能。
そして才能を組み合わせるのもまた才能。「Maker Faire Tokyo」は、そんな才能の片鱗があちこちでギラギラしていた。



2018.8.1 (Wed.)

青春18きっぷを利用して、めがね橋に挑んできました。正式名称を「碓氷第三橋梁」という重要文化財である。
実はこちら、公共交通機関だと訪れるのが大変だ。おぎのや帝国でおなじみの横川駅と軽井沢駅を結ぶバスがあるが、
めがね橋があるのは国道18号の碓氷バイパスではなく旧道の方なので、時期限定で一日1本しか便がないのである。
このバスと青春18きっぷが上手くリンクするのがちょうど今の時期だけということで、なんとかチャレンジしたしだい。

横川駅発の便は11時10分で、午前中にある程度の余裕がある。それなら信越本線で途中下車だ、ということで、
群馬八幡駅から歩いて上野國一社八幡宮に参拝する。炎天下の住宅地をのんびり歩いていくと、大きな門が現れた。

  
L: 上野國一社八幡宮。見てのとおり、境内は周囲より一段高い場所にある。  C: 神門(旧仁王門)。こりゃ山門ですな。
R: 石段を上っていくと随神門。朱色というよりは赤い色合いが個人的には少し残念だが、この神社の特徴と言えばそんな感じ。

随神門を抜けて拝殿と向き合うと、しっかりと歴史を感じさせるその迫力に思わず声が漏れてしまった。
悪く言えばあまりきちんと改修をしていない感触なのだが、本物ならではの質感に見とれてしまう。
さらに本殿を覗き込むと、そこには見事な彫刻。群馬県の神社は一宮の貫前神社(→2014.9.13)といい、
榛名神社(→2016.3.30)といい、妙義神社といい(→2017.9.9)、凝った社殿がわりと特徴的であると感じる。
それらと比べると知名度はやや落ちるが、こちらの上野國一社八幡宮もそういう雰囲気をしっかりと持っている。

  
L: 拝殿。手前の灯籠と合わせてかなり重厚な印象。  C: 拝殿の中で横向きに撮影。これは実に立派だ。
R: 本殿を覗き込む。上野國一社八幡宮の社殿は1750(文化11)年もしくは1757(宝暦7)年の築とのこと。

無事に御守が頂戴できたが、なかなか興味深い建築群だった。群馬県の神社は社殿も凝っているものが多いが、
山がちな地形もあってか、境内じたいも高低差が大きいケースが目立つ(上記3つの神社もまさにそうである)。
なんとなく「群馬県らしい神社」が感覚的につかめてきた気分である。面白がりながら駅まで戻るが、とにかく暑い。
横川行きの列車が来るまで、駅舎内で水分補給しておとなしく過ごす。少林山達磨寺を目指す余裕はなかった。

  
L: 神楽殿。赤一色なのが神仏習合の匂いを漂わせていると感じる。  C: 少し離れて天満宮。コンパクトに美しい。
R: 参道を南下して碓氷川沿いの国道18号に面するところに大鳥居。地元ではかなり存在感のある神社なのだと実感。

列車がやってくると、そのまま終点の横川駅へ。メシを食うには中途半端な時間しかなく、素直にそのままバス乗り場へ。
乗客の数は思っていたよりもずっと多く、バイパス経由の便よりも時間のかかるこの便にわざわざ乗るってことは、
めがね橋目的の好き者がけっこういるのかな?と思ったら、下車したのは自分ひとりなのであった。そんなもんかね。

さて、本日のメイン・エベントであるめがね橋である。左サイドの席だったのでバスの車窓からだとわからなかったが、
バスを降りてびっくり。目の前に巨人が立ちはだかっているような迫力である。ここまで規模が大きいとは思わなかった。
川底からの高さで31mあるそうで、これが純粋にレンガでつくられている。こんなの、さすがに今まで見たことがない。

  
L: 「めがね橋」こと碓氷第三橋梁。さすがにこの規模のレンガ建造物を見るのは初めて。とにかく度肝を抜かれた。
C: 正面から見据えたところ。絵になりますね。  R: 下から見上げてみた。まさに巨人が立ちはだかっているかのよう。

カーヴを描く道路の端っこからスロープを上がっていくと、階段になってぐるっとまわり込み、めがね橋の上に出る。
かつてアプト式のレールが敷かれていためがね橋の上は、今は遊歩道として自由に歩けるようになっているのだ。
さっきバスを降りたのは僕ひとりだったが観光客は意外と多く、人の写り込まない写真を撮るのはけっこう大変。

  
L: トンネル出口から眺めためがね橋。かつては信越本線が走っていたのね。  C: 橋梁じたいの勾配もかなりのもの。
R: めがね橋の上はこんな感じの遊歩道となっている。めがね橋の全長は91m、1893(明治26)年の竣工である。

せっかくなので、めがね橋の上だけでなく、それに続くトンネルも歩いてみた。さすがにひんやりとしている。
6号トンネルは全長546mもあるが、それだけの長さをがっちりとレンガが守っている手間がまたすごい。

  
L: 碓氷第三橋梁の先にある6号トンネル入口。いざ出発。  C: 中はこんな感じ。レンガが頼もしいぜ。
R: 途中にはこんな穴も開いている。横から穴を開けて何箇所も同時並行で掘り進めることで期間を短縮したそうだ。

時間的にも余裕があるので、遊歩道の終点である熊ノ平駅跡まで歩いていっちゃうことにした。たーのしー!

 
L: こちらは碓氷第四橋梁。いったん下に降りて撮影してみた。  R: トンネルの入口デザインもいろいろである。

15分ちょっとで熊ノ平駅跡に到着。1950年に大規模な土砂崩れが起きて50名が犠牲になったとのことで、
殉難碑が設置されている。その隣には小さい祠があり、「JR一ノ宮 熊の平神社」と書かれた看板が立っていた。
碓氷峠熊野神社(→2017.9.9)でお札やステッカーが頂戴できるそうだ。うーん、去年参拝したけど気づかなかった。

  
L: 熊ノ平駅跡。のちに駅から信号場に降格したそうだ。  C: 熊の平神社。「JR一ノ宮」とは面白い表現だ。
R: ホームの跡には石碑が建っている。かつて駅だった面影は、もはやあんまりない。僕の鉄分が少ないからかなあ。

しばらく辺りを散歩して過ごしているうちに、気が変わった。というのも、さっき往路で横川駅を出たバスは、
峠の湯という温泉施設を経由してから旧道をめがね橋まで進んでいったのである。……温泉! 入っちゃえ!
というわけで、帰りは遊歩道を一気に下って峠の湯を目指すことにした。3kmちょっとの下り坂、大したことはない。

 
L: 熊ノ平駅跡から軽井沢方面を眺める。  R: 振り返って熊ノ平駅跡方面。秘境駅の雰囲気ですね。

さっき書いたように、旧道経由のバスは一日1本。温泉の後はそれに乗って横川駅まで帰ればいいのである。
高崎駅で、あえておぎのやの釜めしではなくだるま弁当を買っておいて正解だった。重さがぜんぜん違うもんね。
快調に下ってトンネルを10個抜けていくと、トロッコ列車の駅に出た。碓氷峠鉄道文化むらと峠の湯を結ぶ線だ。
この駅に峠の湯の裏口がくっついており、そこから中に入っていざ温泉。料金は時間制になっており、
マンガ喫茶のような感じで自分の好きなペースでくつろげるスタイルとなっている。休日のんびり過ごすのに最適だ。
とはいえそこまで余裕たっぷりというわけでもないので、さっさと入って全力でお湯に浸かってくつろぐと、
バスの来る10分前に着替えを終えてバス停で待つ。やはり客は僕ひとりだけなのであった。もったいない。

 
L: トロッコ列車・とうげのゆ駅。列車に乗るには乗車料金のほか、碓氷峠鉄道文化むらの料金も必要となる。
R: バスを待つ間、峠の湯を撮ってみた。地元で大人気の施設のようで、かなりの賑わいぶりだった。また来たい。

ところが、待てど暮らせどバスが来ない。こちとら信越本線に乗り遅れたら次の神社に行けなくなってしまうのだ。
それでバス会社に電話で確認したら、バスの車両が故障した関係で運行を取りやめてしまったとのこと。なんじゃそりゃ!
さっき往路のめがね橋で降りた客が現実にいたわけだから、一日1本の復路を運行しないとかおかしいだろう!と呆れる。
まあバス会社は代わりのタクシーを手配してくれたのでいいけどさ。でも確認したのが遅かったので列車には乗り遅れた。
次の列車を待つ間、おぎのや帝国の中心である横川駅でだるま弁当を食べるという反抗的態度に出たのであった。

帰りは北高崎で下車。高崎の先の北高崎である。ここからまっすぐ南下していったところにあるのが高崎神社。
高崎の先の北高崎の南にある高崎神社に参拝ということで、なんだかワケがわからなくなってきた。やたら暑いし。

  
L: 高崎神社入口。境内が道路の西側にあるので凄まじい逆光状態である。  C: 境内はだいぶ都市型のつくり。
R: 逆光に負けずに正面から撮影してみた。夕方16時近くになっていたので、西を向いて撮影するのは非常につらい。

高崎神社は、現在の高崎の礎をつくった井伊直政により、高崎市の総鎮守とされた神社である。
地方都市では珍しい、ビルのような構造の都市型社殿となっているのが大きな特徴と言えそうだ。
境内では結婚式場やらレストランやらを経営しており、商業都市の神社らしい合理的な面がうかがえる。

  
L: 鳥居をくぐって石段を上る。  C: 手水舎はド迫力の屋根が載せてある。  R: 本殿を覗き込む。都市型である。

また、高崎神社の境内には美保大國神社も鎮座している。なんで群馬で美保神社(→2016.7.24)なのか不思議だが、
これは世界恐慌の折に高崎市内の商工業者が事代主神を迎えたからだそうだ。神社の勧請関係は奥が深いと思う。

  
L: 高崎神社の社殿の隣には美保大國神社。こちらはふつうの社殿である。  C: 拝殿にくっついている本殿。
R: 高崎神社から見下ろしたところ。境内社にしては規模が大きく、それだけ重要視されていることがわかる。

以上で今回の青春18きっぷ日帰り旅行はおしまいである。めがね橋を訪れることができたのはよかったけど、
予定が狂って行けなくなってしまった神社へのリヴェンジもまた企画せねば。あれこれ考えて楽しむとしよう。


diary 2018.7.

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